地域づくりの新潮流―スローシティ/アグリツーリズモ/ネットワーク

副題に並ぶ3つのキーワード。いずれも気になるテーマである。 まずはおさらいしておこう。スローシティ。この母体はご存知「スローフード運動」だ。スローフード運動は、1986年にマクドナルドがローマのスペイン広場に進出するという計画を聞いたイタリアのジャーナリスト、 続き …

連帯と承認―グローバル化と個人化の中の福祉国家

日本はどこに行こうとしているのだろう。グローバル化、個人化を前提とした改革が進められた後、格差の解消が言われる現在は、あるいは福祉国家であろうとしているのか。そんな思いから、これはまさに副題にひかれて手にした本だ。 福祉国家という言葉を、精密に理解していたわけ 続き …

テレビだョ!全員集合―自作自演の1970年代

何度かテレビカメラの前に立ったことがある。 「カメラ目線ですか」「いえ自然な様子で」というわけで、あえてテレビカメラを見ないようにしてしゃべる、ところが、テレビカメラのある風景を普通に考えれば、むしろカメラが気になってそちらを見るほうが自然だったりする。とする 続き …

近代論―危機の時代のアルシーヴ

アルシーヴって言葉は知らなかった。安藤さんによれば、フーコーが『言葉と物』で見出し、『知の考古学』で発展させた概念だという。もともとは古文書や公文書、あるいはそれらを保管しておく施設を意味していたそうだが、フーコーはそれをあらゆる書物を混在させたまま収蔵すると 続き …

地域主権型道州制―日本の新しい「国のかたち」

まちおこしをやっていると、ときどき無力感にとらわれることがある。なるほど、観光収入を増やしたり、農産物のオンライン販売をしたりと、一定の効果を生む事業はあるだろう。成功している地域も少なくない。しかし、それが持続的なまちおこしにつながるのか。結局、大きなところ 続き …

さらば、“近代民主主義”―政治概念のポスト近代革命

副題にあるように、ネグリがいわば自らの思想を総ざらえしながら、現代における政治的概念を読み解いていく。それが「革命」であるのは、ぼくたちが慣れてきた「近代」の枠組みを破壊し、その後(ポスト)にくる枠組みの構築を目指しているからだ。 ところで、現代の社会を位置づ 続き …

普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓

徹底調査。223世帯に対して、自分の家のおせち料理とクリスマス料理をレポートしてもらう、しかも嘘をつけないように、写真とともに。 そこから見えたのは「破滅する日本の食卓」だと、岩村暢子さんは言う。 着眼点の良い調査だ。どちらも家族で過ごすものという通念があるふ 続き …

帝国の条件―自由を育む秩序の原理

橋本努さんの著作を取り上げるのは「自由に生きるとはどういうことか―戦後日本社会論」に次いで2度目だ。あのときぼくは、「本書で9.11やセカイ系について述べていないのはあえてそうしたのかな」と述べたのだが、本書ではまさに「9.11以降」がテーマ。なるほど、そうい 続き …

新「地域」ブランド戦略―合併後の市町村の取り組み

ほんの数年前まで全国に3200あった市町村の数は、2007年4月に1800あまりになった。2005年から2006年にかけて相次いだ市町村合併。いわゆる平成の大合併によるもの。 その背景には、地方交付税の取り扱いの変更による、財政的危機を乗り切ろうとする論理があ 続き …

過剰と破壊の経済学―「ムーアの法則」で何が変わるのか?

半導体の集積度は18ヶ月で2倍になる、というのがムーアの法則だ。1965年の雑誌記事内でゴードン・ムーアが述べた見解がもとになっている。 実際に計算量あたりのコストは、1960年頃からの20年間で1億分の1、ということは18ヶ月で半分という法則どおりに推移して 続き …