固定資産評価審査委員会委員を審査する

 9月議会に提案される事件は認定11件、同意4件、議案25件です。

 このうち認定は決算関係。一般会計、特別会計、公営企業会計、それぞれについての認定審査をしなくてはなりません。議案のうち11件は補正予算。丹波市は一般会計のほか、特別会計が8件、公営企業会計が2件あります。

 同意4件は人事案件。1件は人権擁護委員です。人権擁護委員については、「人権擁護委員というおしごと」にまとめましたので、ご参照ください。

 残る同意3件は固定資産評価審査委員会委員です。

 えっと、ちなみに投稿タイトルは語呂が良いので「審査委員会委員を審査」としました。
 厳密にはぼくは委員会での「審査」には加わらず(所管常任委員会が違うので)、本会議での「審議」に加わるだけなのですが、まぁ、そのあたりはお許しください。

固定資産評価審査委員会の根拠法

 固定資産評価審査委員会については、市のホームページにある「固定資産評価審査委員会について」をご覧ください。任期は3年、3名の委員さんから構成されます。
 根拠法は地方税法。第423条にあります。

第423条 固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服を審査決定するために、市町村に、固定資産評価審査委員会を設置する。
2 固定資産評価審査委員会の委員の定数は三人以上とし、当該市町村の条例で定める。
3 固定資産評価審査委員会の委員は、当該市町村の住民、市町村税の納税義務がある者又は固定資産の評価について学識経験を有する者のうちから、当該市町村の議会の同意を得て、市町村長が選任する。
(中略)
6 固定資産評価審査委員会の委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 第3項に「議会の同意を得て」とありますね。今回、これが求められています。

何を審査して同意するか?

 人事への同意案件の場合、議案審議資料として、各委員の経歴などが提供されます。各議員は、それに目を通し、適格性を判断しなくてはなりません。

 ぶっちゃけて言うと、行政が選んできているのだから大丈夫だろうと、深く考えない傾向がある気もします。
 そもそも、人を審査するって踏み込みづらいですしね。個人の好き嫌いで決めていいわけでは、もちろんない。

 でも。

 議会での同意が求められているっていうことは、それなりの理由があるわけですよね。やはり審査は尽くすのが議員の務め。

 じゃあ、何を審査するか。

 興信所を雇う? いやいや。そういうことじゃなく。
 法律に照らして行政行為を審査するということでしょう。

 なので、まずは先の法律の条文を照らし合わせ、人数、任期、住所要件(今回の場合、市に住所がある人のほか、そうでない学識経験者もOK)などの基本的な条件を確認。

 さらに、先に紹介した地方税法の条文に続く425条では、固定資産評価審査委員会の委員は次に掲げる職を兼ねることができないと規定されています。

  1. 国会議員及び地方団体の議会の議員
  2. 地方団体の長
  3. 農業委員会の委員
  4. 固定資産評価員

 議員は兼務できないということなので、仮にぼくが候補にあげられていたら行政の瑕疵ということでアウト(笑)。

 今回の3名のうち1名は丹波市の選挙管理委員会委員を兼ねられています。農業委員会の委員だとだめだけど、選挙管理委員会ならOKですね。
 このあたりはおそらく、農業委員会の場合は「農業委員会って何だ?-そして農地転用について-」で紹介したように、農地についての業務が入るので、固定資産の評価をする立場とは利益相反が起こる可能性があるといったことが考慮されているのでしょうね。

 念のため逆側の視点も確認。選挙管理委員会の委員については地方自治法(181条)に定められていますが、兼職禁止規定はありません。

 それともうひとつ。前条の2項で、固定資産評価審査委員会の委員は、本人または本人が経営に関わっている企業が、市との取引を行うことを禁止しています。
 このあたりは、これまで取引があったからダメという話ではないので、就任後の遵守ということにはなろうかと思います。

固定資産評価審査制度のあらまし

 ところで、固定資産評価審査委員会ってそもそも何をするんでしょう?

 先に紹介した法律にある通り、「不服を審査決定」する。

 自分の土地や建物をお持ちの方は、5月頃、固定資産についての納税通知書が届くことと思います。そこに記された評価額に不服がある場合、審査の申し出をすることができますが、それを審査するのがお仕事ってことですね。
 報酬は、審査会の出席1日につき、委員長で11,000円、委員で9,000円(「丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例」による)。

 資料請求したところ、現任の委員さんの任期中に審査をされた件数は2件。いずれも令和3年度です。
 1件は現地確認されているので、必要な場合はていねいに確認もされているっていうことですね。現地確認をされた案件の場合でおよそ3カ月で結論を出されています。
 審査会の開催回数としては、書面での表決を含めれば5回。

 なお、審査の申し出ができるのは「固定資産課税台帳に価格等を登録した旨の公示の日から納税通知書の送付を受けた日後3カ月までの間」です。

 ところで。

 丹波市の固定資産評価審査委員会の紹介ページってそっけないですね。
 たとえば検索上位で出てくる東京都とかさいたま市と比べると、審査の流れとか申出の方法とか、説明が足りない。

 おそらくはそもそも申出ニーズが少ないからでしょう。詳しくしろと目くじらたてるほどの話ではないと判断しますけれども。

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