<私たち>の場所―消費社会から市民社会をとりもどす

副題には、消費社会によって市民社会が奪われてしまったという含意がある。その思いが今の自分にすごくフィットしていたのが、本書を手にした理由。 市民社会、それは「あなたと私」の相互関係を調整する空間。国家でも市場でもない「第三の領域」だと、バーバーはいう。 彼は市 続き …

近代論―危機の時代のアルシーヴ

アルシーヴって言葉は知らなかった。安藤さんによれば、フーコーが『言葉と物』で見出し、『知の考古学』で発展させた概念だという。もともとは古文書や公文書、あるいはそれらを保管しておく施設を意味していたそうだが、フーコーはそれをあらゆる書物を混在させたまま収蔵すると 続き …

さらば、“近代民主主義”―政治概念のポスト近代革命

副題にあるように、ネグリがいわば自らの思想を総ざらえしながら、現代における政治的概念を読み解いていく。それが「革命」であるのは、ぼくたちが慣れてきた「近代」の枠組みを破壊し、その後(ポスト)にくる枠組みの構築を目指しているからだ。 ところで、現代の社会を位置づ 続き …

アメリカン・コミュニティ―国家と個人が交差する場所

なんというのだろう、愛すべき本だ。いいよぉって、薦めたくなるような。 9つのアメリカの都市、そこにおけるコミュニティが紹介されている。どのレポートからも、アメリカの大気と人々の息遣いが感じられる。「物語」を重視して選んだという渡辺靖さんの視点のゆえだろう。 国 続き …

自由に生きるとはどういうことか―戦後日本社会論

「戦後日本社会論」か。 じゃあ、まずは橋本努さんが戦後の日本社会をどのように論じているかをまとめてみよう。「はじめに」で、書籍の内容をほとんどすべてかいつまんでくれている。本書を手にとった人も、まずはそこをざっと読んでおくと理解が早いだろうね。 さて。まずは敗 続き …