市長部局と教育委員会の事務分掌

 12月定例会に上程された議案の紹介を続けます。(これまでの投稿は「子育て世帯への臨時特別給付金は年内スタート」「教育委員を選ぶときの条件」参照)

 今回、市長部局と教育委員会の間での事務分掌の移管があり、関連して組織条例の改正が提案されています。

議案90号 丹波市行政組織条例の一部改正

 この機会に両者の関係について整理しておきましょう。
 なお、予算権限との関係については、以前「議案撤回―市長権限をめぐる混乱―」でまとめていますので、そちらもご参照ください。

市長部局と教育委員会、それぞれの組織根拠

 市にどんな部を置き、どんな業務を所管するのかについては、地方自治法に次のように定められています。

第158条 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。
2 普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たつては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。

地方自治法

 これに基づいて、丹波市でも「丹波市行政組織条例」を定めています。

第1条 地方自治法第158条第1項の規定に基づき、次に掲げる部を設ける。
(1)ふるさと創造部
(2)総務部
(3)まちづくり部
(4)財務部
(5)入札検査部
(6)生活環境部
(7)健康福祉部(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第14条に規定する福祉に関する事務所がつかさどる事務を含む。)
(8)産業経済部
(9)建設部

丹波市行政組織条例

 上記に続き、2条以降で各部の事務分掌(どんな事務を行うか)を規定しています。

 一方で教育委員会は独立しています。「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第21条で所管事務が定められており、市で条例を制定することなく、この法律に基づいて組織されています。
 この法律から抜粋します。

第21条 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
一 教育委員会の所管に属する第三十条に規定する学校その他の教育機関の設置、管理及び廃止に関すること。
二 教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の用に供する財産の管理に関すること。
(中略)
十一 学校給食に関すること。
十二 青少年教育、女性教育及び公民館の事業その他社会教育に関すること。
十三 スポーツに関すること。
十四 文化財の保護に関すること。
(以下略)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律

教育委員会から市長部局への事務移管

 もっとも、ガチガチに分けてしまうと現場の実態と合いません。

 そこで、教育委員会の事務のうち市長部局でやった方が良いと思われるものについては、市長部局に移すことができるように先の法律の続きに記されています。

第23条 前二条の規定にかかわらず、地方公共団体は、前条各号に掲げるもののほか、条例の定めるところにより、当該地方公共団体の長が、次の各号に掲げる教育に関する事務のいずれか又は全てを管理し、及び執行することとすることができる。
一 図書館、博物館、公民館その他の社会教育に関する教育機関のうち当該条例で定めるものの設置、管理及び廃止に関すること
二 スポーツに関すること(学校における体育に関することを除く。)。
三 文化に関すること(次号に掲げるものを除く。)。
四 文化財の保護に関すること。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律

 範囲指定はされていますが、市長部局で管理執行できると。ただし条例が必要です。
 丹波市でも「丹波市教育委員会の職務権限の特例に関する条例」で以下のように定めています。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第23条第1項の規定に基づき、教育委員会の権限に属する事務のうち、次に掲げる事務は、市長が管理し、及び執行することとする。
(1)スポーツに関すること(学校における体育に関することを除く。)。
(2)文化に関すること(文化財の保護に関することを除く。)。
丹波市教育委員会の職務権限の特例に関する条例

丹波市教育委員会の職務権限の特例に関する条例

 これがあるから、市長部局でスポーツイベントや文化祭等の開催ができるのですね。

市長部局から教育委員会への事務委任

 一方、市長部局から教育委員会に移したい業務があるときはどうするか。
 市長権限に属する事務というのは、地方自治法149条で定められています。

第149条 普通地方公共団体の長は、概ね左に掲げる事務を担任する。
一 普通地方公共団体の議会の議決を経べき事件につきその議案を提出すること。
二 予算を調製し、及びこれを執行すること。
三 地方税を賦課徴収し、分担金、使用料、加入金又は手数料を徴収し、及び過料を科すること。
四 決算を普通地方公共団体の議会の認定に付すること。
五 会計を監督すること。
六 財産を取得し、管理し、及び処分すること。
七 公の施設を設置し、管理し、及び廃止すること。
八 証書及び公文書類を保管すること。
九 前各号に定めるものを除く外、当該普通地方公共団体の事務を執行すること。

地方自治法

 先ほどと違い、これらを教育委員会等に移管することを定める条文はありません。代わりに、同法180条の2の規定を使うことになります。

第180条の2 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務の一部を、当該普通地方公共団体の委員会又は委員と協議して、普通地方公共団体の委員会、委員会の委員長(教育委員会にあつては、教育長)、委員若しくはこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に委任し、又はこれらの執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員をして補助執行させることができる。ただし、政令で定める普通地方公共団体の委員会又は委員については、この限りでない。

地方自治法

 「協議」を行ったうえで「委任」できるということです。

 以前も触れましたが、教育委員会から市長部局に事務を移すことは範囲が制限されている上に条例が必要ですが、市長部局から教育委員会に委任する際には、協議でよいわけです。「委任」ですから責任の根源は市長部局に残っているということからでしょうか。

 協議の結果何を委任するかについては、「丹波市長の権限に属する事務の教育委員会への委任に関する規則」に記されています。

部以下の組織については規則に

 市長部局については条例、教育委員会については法律に基づいて部の事務分掌が決まると紹介しました。

 部以下の課などについてはどうなっているかというと、「規則」で定められます。

 規則については議会の議決は必要ありません。

 今回の条例改正は、これまで市長部局で行っていた「恐竜化石の活用に関すること」を教育委員会に委任するものです。
 上記までで整理した内容から、これに伴って必要な作業は何でしょうか?

  1. 丹波市行政組織条例を改正し、産業経済部の事務分掌として記されていた「恐竜化石の活用に関すること」を削除する
    議会の議決が必要です。今回の提案です。
  2. 教育委員会と協議して「恐竜化石の活用に関すること」について事務委任する
    11月25日開催の定例教育委員会にて承認されました。
  3. 委任した事務について規則で定める
    先に紹介した規則を改正するか、新しく事務委任についての規則を定めるか。
  4. 事務を担当していた「恐竜課」を市長部局から教育委員会に移行する
    丹波市行政組織規則と丹波市教育委員会事務局組織規則の改正。

 ということで、今回は市長部局と教育委員会の事務分掌について整理しました。実際の議案の中身については、「恐竜化石は地域のキラーコンテンツになるか?」にて。

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