一部事務組合の協議と議会の議決そして教育委員会の意見

 以前「丹波少年自然の家のこれから」で述べた、丹波少年自然の家の行方がようやく固まってきました。

議案56号 丹波少年自然の家事務組合の解散に係る協議
議案57号 丹波少年自然の家事務組合の解散に伴う財産処分に係る協議
議案58号 丹波少年自然の家事務組合規約の変更に係る協議

 一部事務組合である「丹波少年自然の家事務組合」を解散、その財産を丹波市が引き受けることになります。

 一部事務組合については「一部事務組合ってなんだ?」にまとめました。
 一部事務組合とは、複数の地方公共団体が、その事務の一部を協働して処理するために設置した、特別地方公共団体という位置づけでした。

 今回、いよいよ解散することになり、協議に入るので議会の承認をということです。
 丹波市が引き取り、今後の活用について責任を持っていく。今後のことを考えると、それがもっともふさわしい道であると考えています。

一部事務組合の事務処理にあたっての協議

 一部事務組合は複数の自治体が共同設置したものですから、大きな方針変更の場合には、当然、それぞれの自治体が寄り集まって協議する必要があります。

 どんなケースで協議するかについては、地方自治法に規定されています。

(設置)
284条 地方公共団体の組合は、一部事務組合及び広域連合とする。
2 普通地方公共団体及び特別区は、その事務の一部を共同処理するため、その協議により規約を定め、(中略)都道府県知事の許可を得て、一部事務組合を設けることができる。(後略)

(規約変更)
286条 一部事務組合は、(中略)規約を変更しようとするときは、関係地方公共団体の協議によりこれを定め、(中略)都道府県知事の許可を受けなければならない。(後略)

(解散)
288条 一部事務組合を解散しようとするときは、構成団体の協議により、(中略)都道府県知事に届出をしなければならない。

(財産処分)
289条 (前略)財産処分を必要とするときは、関係地方公共団体の協議によりこれを定める。

 そして、これらの協議を行うにあたっては、前もってその自治体の議会の議決が必要と定めています。

290条 第284条第2項、第286条及び前二条の協議については、関係地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

(地方自治法)

 今回の議案の場合、56号が288条の解散の協議、57号が289条の財産処分の協議、58号が286条の規約変更の協議についての提案です。

議会が教育委員会の意見を聞かなくてはいけないケース

 ところで、丹波少年自然の家は、規約に「教育事務」とありますので、教育関連施設ということになります。

(組合の共同処理する事務)
第3条 組合は、丹波少年自然の家の設置及び管理に関する教育事務を共同処理する。

(丹波少年自然の家事務組合規約)

 となると、議会としては、議決をする前に教育委員会の意見を聞かなくてはなりません

第12条 教育組合のうち(中略)関係地方公共団体が地方自治法第286条若しくは第288条の協議(中略)を行う場合においては、当該関係地方公共団体の議会は、同法第290条(中略)の議決をする前に、当該関係地方公共団体の教育委員会の意見を聴かなければならない。(後略)

(地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令)

 今回、9月12日の委員会における審議と採決の前日、11日に臨時の教育委員会が開かれ、財産処分に関する57号を除く、56号(288条解散関連)及び58号(286号規約変更関連)について、市の議案の方向で「異議なし」とする教育委員会からの書面が議会に提出されました。

 実はその際、ぼく自身ちょっと混乱することがありました。

 同じように「教育委員会の意見」を聞かなければならないとする規定が、前述の施行令の上位法である「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」にあるのです。

第29条 地方公共団体の長は、歳入歳出予算のうち教育に関する事務に係る部分その他特に教育に関する事務について定める議会の議決を経るべき事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見をきかなければならない。

(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)

 こちらは、市長が提案にあたって聞かなくてはならないとするもの。そちらは必要なかったのかなと。

 結果的に、今回の議案の場合、市ではなく一部事務組合に関するものであるため、この法律に基づく意見は市長としては聞いていないと。
 なるほどね。

市島地域小学校の統合関連議案

 なお、教育関連では、今回の議会では、来年4月からの市島地域の小学校統合に関連する以下の議案も提案されていました。

議案59号 丹波市立竹田小学校の廃止
議案60号 丹波市立前山小学校の廃止
議案61号 丹波市立学校設置条例改正
議案62号 丹波市アフタースクール実施条例改正

 竹田小学校と前山小学校を廃止し、新しく竹山小学校を開校することに伴う議案です。アフタースクールも統合されるため、条例変更されます。

 あえて確認していませんが、先ほど紹介した法律に基づけば、市長としては当然、これら議案の作成にあたって教育委員会の意見を聞いているということですね(福祉施設であるアフタースクール関連条例は除きます)。

 このあたり、教育の独立性を配慮した規定なんだなぁとあらためて感じます。

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