9月になると基金が積み立てられるのはなぜ?-補正予算を読む-

 今般の議会に提案されている補正予算についても見ていきたいと思います。
 一般会計では歳入歳出で1億160万円規模で、その結果予算総額は365億9,301万円になります。

債務負担行為と地方債

 予算というと歳入歳出っていうイメージですが、自治体の財政ではその他に「繰越明許費」や「債務負担行為」「地方債」などをチェックすることになります。

 これら費目については「繰越明許費そして債務負担行為」「地方債と充当率そして交付税措置ー将来負担を少なくする工夫ー」で紹介していますので、ご一読ください。

 さて。まずは債務負担行為補正です。

 「美しい村づくり資金利子補給補助金」が令和4年度から10年度という長期間の負担行為。限度額は「美しい村づくり資金利子補給承認額」とされているだけ。少々珍しいタイプの補正です。

 「美しい村づくり資金」は兵庫県独自の事業。農業のために必要な資金をJA等から借りたとき、県が利子補給をしてくれるという制度です。
 認定農業者向けには「農業近代化資金」などあるのですが、こちらは認定農業者でなくても借りられるもの。低利で借りられるので助かります。

 この対象となる農業者が1名見込まれるので、補正で予算化されたということです。7年という期間は据え置き期間2年に償還期限5年を見込んだものかな。

 地方債はどうでしょうか。

 商工債で「公園管理事業(一般単独・地域活性化事業債)」330万円が追加される一方で、土木債の「桜づづみ公園管理事業(一般単独・合併特例債)」470万円が廃止されているのが目につきます。

 桜づつみ公園ですが、国産材が高くなるいわゆる「ウッドショック」で地元産材も高くなり、予定していた展望台の改修を、価格が落ち着くまで見合わせることになりました。工事の延長に伴い、起債も現時点では行わないということです。

基金積立は9月補正であげられることが多い

 歳入については別のエントリーで検討します。

 歳出です。

 今回まず注目したいのが、次のそれぞれの基金の積立です(カッコ内は令和2年度末の基金残高)。

  • 地域振興基金 3億780万円(41億7,100万円)
    地域振興基金条例に「市民の連帯の強化及び均衡ある地域振興を図るため」と定める基金です。比較的利用目的の自由度が高い基金です。これまで地域医療の支援策など、主にソフト事業に使われてきました。
  • 情報基盤整備基金 5,000万円(4億3,200万円)
    情報基盤整備基金条例に定められた基金で、「情報基盤の整備及び更新に要する経費」に充当するとされています。今後行政DX(デジタル化)の進捗が求められますから、ますます必要度が高くなる基金と言えそうです。
  • 学校等整備基金 5,000万円(3億4,900万円)
    丹波市立学校等整備基金条例に定められた基金で、「丹波市立学校等の施設及び設備の整備に要する経費」に充てるものです。今後、厨房機器の更新などが想定されています。

 調べてみると、毎年9月議会でこれら基金の積立が提案されることが多いようです。

 どうしてなのでしょうか。

 これには9月特有の事情がありました。

 事情のひとつは当初予算で厳しめに見ていた歳入が確定し、予算的な余裕が見えてくるのがこの時期だということ。
 たとえば地方交付税の額などがそうです。夏に国から確定通知があり、それを反映させるのが9月議会での補正予算ということになります。

 予算に余裕が出たなら歳出に回せば良いのではないか。何らかの市民サービスを充実させるとかね。そういう意見もあります。
 しかし実際に9月から事業を起案して予算化するとなると、翌年3月までの年度内執行は難しいのではないでしょうか。これがふたつめの事情です。

 今は来年度予算を立てようとしている時期でもあります。年度内執行を無理に目指すよりは基金に積み立て、必要に応じ来年度以降に基金から繰り入れて事業化する方が手堅い。

 9月補正で基金積立が目立つのは、こういう事情があるのです。

 では、その他の歳出をみておきます。

集落の元気度調査が始まります

 地域づくり推進費では「小規模集落元気度調査」として152万円の委託料。歳入で県から120万円の地域再生大作戦補助金が入っています。

 県の「地域再生大作戦」の中で、元気度調査として小規模集落のアンケートや自治会長への聞き取りなどを行うということです。
 ただ丹波市としてはこの機会に、県の事業対象になっている地域だけではなく、すべての集落を対象に同様の調査を行いたい意向で、今回まずは遠阪地域の集落すべてを対象にします。これが市独自の予算を上積みしている理由。

 人口減少に伴い、集落の運営も難しくなっていきます。活性化という目線だけではなく、縮減していく村の将来をどう描いていくか、そうした政策へのヒントになるデータが得られればと願っています。

 移住促進関連では、UIターン推進事業で308万円増。
 これは住まいるバンクにこれまでの一戸建てだけではなく、アパートやマンションも対象に加えるための追加費用とのこと。

医療支援型グループホームに補助

 障害福祉費では「医療支援型グループホーム運営事業補助金」として45万円が計上されています。県から22万5千円の補助金が入ってくるので、市と県で半々を持つタイプの補助金ですね。

 グループホームというのは、障がいのある方が「世話人」等の支援を受けながら地域のアパートや一戸建等で共同生活する場のこと(兵庫県「障害者グループホームの支援制度について」参照)。医療支援型というのは聞きなれない(イメージはできますが)ですね。

 今回、加古川市にあるそうした施設に丹波市の方が入所されるのに伴い、予算化されたものとのこと。調べてみると加古川の施設の求人募集のページが見つかり、「2020年9月OPEN!兵庫県初の医療支援型グループホーム」と記述されていました。なるほど、県下でもまだ珍しいタイプなのですね。

 民生費では、「ひとり親世帯臨時特別給付金(3,722万円)」「母子生活支援施設措置事業(67万円)」「子育て学習センター運営(300万円)」などそれぞれで「過年度返還金」が計上されています。
 この言葉、この時期によく目にします。昨年度の事業実施結果が6月にはまとまりますから、それに基づいて計算される国などからの補助金等も確定します。その金額が、たとえば利用者減などで予定より減った分を返還するものです。

 衛生費の健康増進事業でシステム委託料が330万円。健診結果をマイナンバーと連携するための改修費だそうです。
 健康データをビッグデータとして扱えるようになることは、市の施策上有益だと思いますし、それをマイナンバーと連携させておくことで、個人の健康管理にとってもカードを便利に使えることになりますね。

丹(まごころ)ワークサポートたんばを移転

 雇用対策費では「丹(まごころ)ワークサポートたんば運営事業」で28万円の器具購入とともに20万円のパンフレット作製委託料が計上されています。
 これまで春日庁舎の4階にあった同窓口を1階に移すのに伴い、パーティションを新しく購入したりパンフレットを作成し直したりする必要があるっていうことです。

 農業総務費で備品購入に456万円。丹波おばあちゃんの里の農産物加工施設で利用するとのことです。どんな機器かな。

 ため池整備事業として調査委託料840万円。財源としては地方債で「ため池整備事業(公共事業等債)」610万円が計上されていました。業務量が増えたとのこと。一方で負担金(県等に支払う分かな)は391万円の減額。ちょっと分かりづらいので確認します。

 また公園管理事業で374万円の設計監理委託料を計上。330万円の地方債があがっていた分ですね。水分れの多機能ポンプとのことです。

 土木費では「桜づつみ公園」の工事費500万円を減額。これは先述した事情。

 教育関係では小中学校の清掃委託料、小学校で600万円、中学校で120万円を追加。夏のプールが中止になったのですが、その清掃を委託するためとのことです。

コロナ禍で浮いた予算をどうする?

 商工関連でイベント中止に伴う予算減額がいくつかあります。

 企業誘致推進事業では国際フロンティア産業メッセへの出展取りやめで22万円減、観光振興事業では神戸まつりへの参加負担金で49万5,000円減など。

 観光振興事業のサイト記事更新業務委託料も168万円の減額。こちらは入札した結果の減ということです。

 入札減は良しとして、コロナの影響で出展を取りやめて浮いた予算の方はどう考えるか。

 昨年度はそうして浮いた予算を「新型コロナウイルス等感染症対策基金」に積み立てていました。令和2年度末の基金残高は5,500万円です。
 昨年度と同じ考え方をとるなら、ここに積み立てるべきと思いますが、この基金に関連する補正は計上されていません。

 どこかで方針を変更したのか、あるいは特段の理由があるのか。確認が必要です。

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