縁故使用地と旧慣使用地

 先の「市有地を宗教法人に譲渡することは可能か?ー政教分離の原則に照らしてー」で、長年慣用的に自治会等が使用されてきた土地を、その使用者に譲渡する案件についてご紹介しました。

 丹波市内にそのような慣用的に利用されている土地はどのくらいあるのでしょうか?(キャッチ画像は内容に関係ありませんw)

「縁故使用地」は旧町以前から

 縁故使用地という呼称、ご存知ですか?

 ぼくは議員になって初めて知った言葉です。

 これがまさしく上述した、公有財産だけど慣例によって地元自治会等が使ってきた土地のことをいいます。
 慣例というのは旧町、ないしはその前身団体(村等)からのもの。

 ずいぶん昔からですね。

 当然、旧町時代から整理が進められてはきました。しかし譲渡先の団体に法人格がないと登記できません。
 なので時間がかかっています。

「旧慣使用地」の呼び方も

 縁故使用地と同じ意味を持つ言葉に「旧慣使用地」があります。丹波市には「縁故使用地」と「旧慣使用地」の2種類があります。

 どうしてでしょうか。

 地方自治法に次の条文があります。

第二百三十八条の六 旧来の慣行により市町村の住民中特に公有財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。その旧慣を変更し、又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なければならない。
2 前項の公有財産をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。

 そう、地方自治法では「旧慣」が定められているのですね。

 そこで、合併前の丹波市の旧6町のなかで氷上町においては、それまで「縁故使用地」として管理していた土地を地方自治法に基づき、「旧慣使用地」として整理されていたのです。

 厳密に言えば、「旧慣使用地」は地方自治法に基づいて使用権を設定しており、「縁故使用地」はそうした行為をしていないという違いがあります。

 したがって、無償譲渡にあたっては、「旧慣使用地」については「使用権の廃止」と「無償譲渡」議案がセットになりますし、「縁故使用地」については「無償譲渡」議案単独でオーケーということになります。

慣例で使用している土地の使用料は?

 縁故使用地(旧慣使用地)の登記上の名義は旧町等です。固定資産税は賦課できません。
 じゃあ、市はそれらから収入を得られないのでしょうか。

 そうではありません。先ほど紹介した地方自治法に、次のように定められています。

第二百二十六条 市町村は、第二百三十八条の六の規定による公有財産の使用につき使用料を徴収することができるほか、同条第二項の規定により使用の許可を受けた者から加入金を徴収することができる。

 地方自治法に基づいて使用権を設定した「旧慣使用地」であれば、使用料を徴収できるわけですね。

 氷上郡合併協議会においても、旧慣使用地について、次のような調整が行われていました。

  • 合併後5年を目途に地縁団体等へ譲与する
  • 平成18年度から固定資産税相当額の使用料を徴収する

 こうして旧慣使用地については「旧慣使用の使用料徴収条例」を定め、固定資産税相当額の使用料を徴収しています。

 え、待って。縁故使用地はどうなるの?

 使用権を設定していないわけだから使用料は徴収できないですよね。でも、旧慣使用地との間で不公平があってもいけない。

 実は先ほどの合併協議会の合意事項は縁故使用地にも援用されます。

 そして縁故使用地については、使用料という形ではなく、それぞれの自治会等と保有財産に関する契約を結んで「財産保有対価料」をいただく形をとっています。

で、いったいどのくらい残ってるの?

 令和2年度末の時点で、丹波市内に残っている縁故使用地は598筆。対象団体数は139団体です。
 そこから得ている市の収入ですが、縁故使用地については前述の通り「財産保有対価料」という呼称になりますが、63万4,900円を収受しています。

 一方の旧慣使用地は135筆16団体、いただいている使用料は22万1,800円です。

 平成18年まで遡ると縁故使用地の対象団体が192団体、旧慣使用地は21団体ありましたから、この10年で徐々に整理が進んではいます。

 譲渡は地縁団体等からの申請によることが原則ですし、その地縁団体が、法人格として認められる認可地縁団体でなくてはなりません(「認可地縁団体の制度について」参照)。

 認可状況はどうなっているでしょうか。

 令和2年2月時点の丹波市内の状況です。

種類総数認可数
単位自治会299団体222団体
自治協議会25団体13団体
連合区7団体6団体
財産管理組合等9団体
その他11団体
合計261団体

 これを縁故使用地(旧慣使用地)の対象団体に絞ってみると、縁故使用地の対象139団体のうち77団体、旧慣使用地対象16団体のうち10団体が認可済です。

 登記委託料は地縁団体の負担となってしまいますが、無償譲渡を受けることにより財産が明確になりますし、そこから得られる賃貸収入を自分たちの収入にするなど自由がききます。
 保安林や墓地、ため池、公民館用地等は固定資産税が非課税です。対象となる土地がある場合は、できるだけ進めてもらいたいと思います。

丹波市合併の経緯

 最後に。縁故使用地の登記名義となっている可能性がある丹波市以前の町や村、大字の経緯の一覧表をご紹介します。

 明治の大合併はそれ以前の自然村から行政単位を揃えるために行われたもの。昭和の大合併は主として中学校や消防、警察等のまとまりを作るために行われたもの。そして平成の大合併は地方分権の受け皿としての基盤強化が目的というのが教科書的説明です。

 地名というのは、合併を繰り返しても残っていくものですね。

“縁故使用地と旧慣使用地” への2件のコメント

  1. 青垣いきものふれあいの里の下に、煌石の砕石に上がる道があります。古い人に聞くと、道は山垣区の縁故使用地と聞きます。登記簿では丹波市になっています。どうなんでしょうか。

  2. コメントありがとうございます。個別の事情は分かりませんが、縁故使用地であれば、登記が丹波市ということで合っています。相談されれば、現在ご利用されている地域の名義として譲渡することは可能かと存じます。

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