6月議会では、一般会計で差引6億5,600万円増、年間353億6,000万円とする補正予算案が提出されています。
当初予算が動き出したばかりの補正額としては大きめですが、国からの新型コロナウイルス臨時交付金4億1,500万円を活用したコロナ対策予算が計上されていることなどが理由です。
そのコロナ関係事業もそうですが、率直な印象として、市としての羅針盤ないし方向性を欠き、積み上げだけで成り立たせた感じです。
これは「姿勢は良いが中身に乏しい(?)2021年度予算」として指摘した予算段階からの課題。市政としてどこに力を入れて将来を描くかという骨太の方針が欲しい。
丹波市の未来は大丈夫かな。気分はブルー。
生活支援に商品券2万円交付
議案の提案日に、多くのメディアが入っていてびっくりしました。
なんだろうと思っていたら、「商品券2万円議案」。NHKの報道を見るに、メディア的には、「5万円ばらまき公約」が「2万円商品券交付」に代わり、議会で否決されて、こんどは交付対象を5分の1に絞って提案と、どんどん後退しつつも当初公約にしがみついている印象なのね。
正直、そんなことどうでもいい。市長側はどうか知らないけど、こちらは変わらず市民の福祉向上に資するかで判断するのみ。
で。今回の交付対象は、次の方々です。
- 令和3年度住民税非課税世帯
- 家計が急変したことにより住民税非課税水準未満に相当する世帯
苦しい人たちを援けるべき。当初から訴えてきた方向で検討いただいたものと思います。
世帯とはいえ算定基準は個人です。世帯人数が5名なら、2万円×5セットの商品券を交付することになります。世帯人数には、今年末までに生まれる子を含みます。
11,000人を想定していて、予算総額2億4,900万円。
気になるのは引き換え方式になっている点ですね。市民が引き換えなくてはならない。そして引き換え業務委託費として1,600万円かかってしまう。
苦しい方を援けるのだから、引き換えと言わず送付するだけで良いとも思いました。
それができないのは、世帯でとらえようとするため、そして「家計が急変」の方々をカバーするためなのでしょう。だから申告いただいて内容確認し、交付することになる。
ややこしいですが、ひとつひとつ紐解きます。
住民税非課税世帯って?
そもそも市民税は、個人または法人が対象です。ここでは個人に話を絞ります。
丹波市では、個人のうち次の人には市民税を課さないとしています。
(1)生活保護受給者
丹波市税条例第24条
(2)障がい者、未成年者、ひとり親(前年の所得金額が135万円を超える場合を除く)
(3)前年の合計所得金額が「28万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+10万円+16.8万円(ただし16.8万円は本人のみの場合は加算しない)」以下
3番目の所得基準は分かりづらいかな。
夫と専業主婦と子どもの世帯を考えましょう。28万円×3人+10万円+16.8万円なので、年間所得(収入から必要経費を引いた額)が110.8万円以下なら、ご主人は非課税です。
ひとり世帯なら、28万円×1人+10万円で、年間所得38万円以下なら非課税。
丹波市で住民税非課税の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
1番目と2番目に関連する基礎的数値は次の通りです。
- 生活保護世帯数
平成30年度124世帯149人、令和元年度119世帯138人 - 障がい者手帳所持者数
令和元年度で3,254人 - 未成年者
20歳未満は今年5月末で10,351人 - ひとり親世帯数
平成27年で母子324世帯、父子37世帯
これらのうち対象者に、所得基準であてはまる人を加えて、住民税非課税者数は、令和元年度で20,382人、令和2年度で19,830人です。
これに対して今回の商品券交付対象は11,000人との想定。
どういうことかというと、仮に前述の3人世帯の場合、奥様やお子様が非課税でも、ご主人の稼ぎがあって年間所得110.8万円以上となれば、3人とも支給対象外となります。
同様のことが、ご家族に障がい者手帳のお持ちの方がいらした場合にも言えます。
なので、住民税非課税の方の数より、支給者対象者は減るのです。
住民税非課税「世帯」がどのくらいあるかという統計は、丹波市では持ち合わせていません。
5月末時点の人口が62,778人、世帯数は26,058世帯。さて、あなたならどのように「住民税非課税世帯」を推計しますか?
家計急変ってどういうこと?
今回、「家計急変」の方が対象に加えられています。
令和3年度の住民税は、令和2年の1年間の所得を対象に計算されます。
なので令和3年の課税状況だけで判定すると、今年に入って生活が急変された方をカバーできません。
今年に入ってコロナ禍は第3波第4波と続き、緊急事態宣言が出されましたね。そこで、今年に入ってからの1カ月の収入を12倍して、たとえば前述の家族構成の例で言えば110.8万円以下なら、その方も対象にしようと、そういうことです。
例えば。
昨年まではフルタイムで働いて月25万円稼いでましたと。それが今年に入って出社制限が入り、2月は月に8万円しか収入が無かったと。この場合、8万円を12倍すると96万円ですから、110.8万円以下になる。
このようにして、今年に入ってから家計が急変された世帯もカバーできるように考えられています。
実際の申請がどのような書類が必要でどのような手続きになるのかは、要確認です。
その他コロナ対策事業
その他の対策についても列記して紹介します。
- 介護予防事業の感染防止対策 519万円
いきいき百歳体操をされたり認知症カフェをされたりといった活動の再会や新規立ち上げを支援するため、マスクや体温計、パーティション等の衛生用品を配布します。 - 児童福祉施設におけるPCR検査費用補助 75万円
こども園やアフタースクール等で陽性者が発生した場合、基本は自宅待機なのですが、それが不可能な場合、検査費用の1/2を補助。これらの施設の職員さん750人の10%が必要になると想定し、検査費用2万円の半額を想定した予算です。
これについてはみんなに検査してはという議論もあろうかと思いますが、検査で陰性になったから感染していないという証明にはならないので、自宅待機を基本というのは理論上は正しい方向かと思っています。 - 学校教育活動継続支援 2,400万円
修学旅行のバス増便に330万円、その他は学校長判断で活用するものですが、たとえばCO2濃度測定器の購入などが想定されています。 - 修学旅行キャンセル料軽減 427万円
修学旅行が延期や中止になったとき、キャンセル料を保護者が負担しなくて良いように補助するものです。 - 図書消毒器 640万円
図書館の図書を紫外線消毒するためのものです。 - 生活困窮者家計改善支援 48万円
生活に困られている方にファイナンシャルプランナー等による専門的助言を行うものです。9枠程度を想定。これ、どのような効果を見込むのでしょうね。 - 外国人の福祉相談支援 105万円
市役所窓口8カ所及びよろづおせっかい相談所22カ所に自動翻訳機を導入します。 - 生活困窮者に対する食糧支援 100万円
「しゃきょうたすけあいフードドライブ」の食料品購入費補助。 - 農業者経営改善資金保証料補助 20万円
農業者団体への補助、1件を見込みます。 - 中小企業者事業継続応援 9,640万円
昨年好評だった、売上減少した中小企業者への支援。2カ月の売上を前年または前々年同期と比較。20~50%未満の減少の場合10万円(640者)、50%以上減少で20万円(160者)。ただしいわゆる飲食店の休業協力金を受けた企業は除きます。 - プレミアム商品券発行 1億4,538万円
25%のプレミアム。10月から1月の実施を予定。なお、たんばコイン促進のため、たんばコイン利用の場合は10%ポイント還元も。 - 議会会議システム更新 3,523万円
ネット中継システムの刷新を行います。どうなんだという思いもありましたが、コロナ禍だから議会活動を自粛というばかりでは市民の付託に応えられないと理解しました。 - オンライン移住相談導入 100万円
SMOUTを利用した移住促進サービスを利用します。 - 自治協議会デジタル支援 76万円、500万円
自治協議会向けのオンラインシステムにアンケート等の機能を追加します。また、自治協でのデジタル機器導入を補助します。 - 教育支援センターICT環境整備 54万円
この春開設した教育支援センターへのプロジェクター等の導入を行います。
アウトソースから会計年度任用職員へ?
コロナ関連以外の補正予算。
個人的に気になったのは、児童手当支給事業及び児童扶養手当支給事業で、現況届システム入力作業について、外部委託をやめて会計年度任用職員による作業に切り替えるという案件。
- ・児童手当支給事業
委託費 220万円減
職員報酬 60万円(通勤手当含む)増 - 児童扶養手当支給事業
委託費 88万円減
職員報酬 74万円(通勤手当含む)増
アウトソースって安くなるのが通例と思うのだけど、直接人を雇用した方が安いってこと?
どういうことかな。また、この件だけなのか、全般的にアウトソースの見直しをしようとされているのか、要確認です。
非課税世帯って税金0円の世帯のこと?。でも私の世帯は当てはまらないのよね。ものすごく不公平やわ。
若者の流出と政令指定都市からのシニアの移住。どちらが残念なのか。ワクチン接種が遅いのはなぜか。