提案されなかった5万円公約(2)―財源問題の不都合な?真実―

 話題になっている「5万円バラマキ公約」。

 「提案されなかった5万円公約(1)―庁舎整備基金問題はどうなった?―」に続き、その内容について考えます。

 おさらいします。今回の提案は、2万円の商品券の配布。予算規模13億2,948万円。財源は以下の通りです。

  • 5億7,986万円
    新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(国から)
  • 7億4,862万円
     市のお金。これは、以下の形でねん出されています。
     ・財源振替:4億1,619万円(一般会計予算を国からの臨時交付金に)
     ・予算削減:
       庁舎整備基金への積立中止 2億円
       水道料金の減免中止 8,400万円
       光ファイバー整備補助不要 2,750万円
       医療介護連携システム開発一部中止 1,200万円
       修学旅行キャンセル料補助不要 990万円
     ・財政調整基金:3万円

 前回は取り崩すと説明していた「庁舎整備事業基金」を利用しなかった背景について、解説しました。

 今回はその他の財源の内容を分析しましょう。

商品券配布の真の理由は?

 まず、国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を5億7,986万円分あてているということ。

 商品券にした理由の一つは、ここにあろうかと思います。現金の還元だと臨時交付金はそぐわないのです。
 臨時交付金の使途を「内閣府ホームページ」の説明資料から引くと以下の通りです。

地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに実施する、
・感染症に対する対応(感染拡大の防止策、医療提供体制の整備 )
・感染拡大の影響を受けた地域経済、住民生活の支援
等の事業

 この背景には、次のような理念があります。

全国民を対象にするような支援は国でする(「特別定額給付金」のように)ので、基礎自治体は住民に一番近い立場として、それぞれの地域の実情をしっかり把握し、それぞれにあわせた施策を打ってほしい。

 この理念から言えば、市民一律に給付金というのは、臨時交付金にそぐいません。一方で、地域商品券なら地域経済支援ということを言えるので、認められます。

 それともう一点、職員さんの負担軽減もあるでしょう。

 丹波市の場合、国からの特別定額給付金の際の事務コストは人件費で1,200万円、その他印刷代や通信費等を加えて5,000万円くらいかかりました。現金の給付ですから、外部委託できません。
 事務費という点では今回も同じくらい(6,400万円)かかるのですが、引換券の送付や引き換え作業は外部委託できるので、職員さんの負担は軽くてすむはずです。

説明不足が残る予算の削減

 市の財源からねん出されるうち、予算の削減については2種類に分けて考える必要があります。

 ひとつは個別の事業で、それぞれの理由があって中止されるもの。これらは、中止の背景が納得できるものかどうか、市民生活への影響がないかどうか。

  • 光ファイバー整備補助不用 ‐2,750万円
    予定よりコストが抑えられ、民間事業者が独自予算だけでやることになったそうです。ありがたい話です。そして、そんなことがあるのですね。
  • 医療介護連携システム中止 ‐1,200万円
    介護現場と医療現場をつなぐテレビ通話機能をつけるべく開発事業者と進めていた話ですが、技術的に不可能だったとのこと。ほんまかいな、みたいな。(総事業費は1,850万円、マイナンバー連携などは実施)
  • 修学旅行キャンセル料補助不用 ‐990万円
    修学旅行が実施できたため執行必要なし。これは素直にそのままですね。

 もうひとつは、政治判断が伴う削減です。こちらは、なぜそのように判断したか、しっかりした説明が必要です。

  • 庁舎整備統合準備事業基金への積立中止 ‐2億円
    提案されなかった5万円公約(1)―庁舎整備基金問題はどうなった?―」で説明した通りです。ただし当局はまだ財政シミュレーションをしていないとのこと。これでは説明責任の放棄。庁舎を凍結した場合や新築した場合等でシミュレーションし、だからやはり凍結しました、積立も不要ですと説明をし、理解も得た上で予算提案すべきです。それがないので、この中止が妥当かどうか判断できません。
  • 水道料金の減免中止 ‐8,400万円(システム改修費分300万円は実施)
    9月議会でさまざまな議論をして認めたばかり。商品券配布と重複するからとのことですが、「ポストコロナ社会へのメッセージとしての水道料金減免」で紹介したように、金額支援ではなく手洗い励行等新しい生活様式を応援する目的です。それに商品券で水道料金は払えません。減免に至った背景を示す根拠はないとのこと。乱暴な決定です。

どこか作為を感じる財源調整

 市の財源のうち、もともと独自財源で予定していた事業に国の臨時交付金をあてることで、新たに独自財源を確保する4億1,619万円。
 これはなかなかくせ者です。

 今回、丹波市への国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の決定額は、12億8,644万円です。1次、2次と募集がありました。

 1次(7月)に2億9,039万円2次(11月)に9億9,605万円を申請しています。

 1次分はすでに財源調整に充当されているので、今回財源調整にまわしたのは2次分。以下を足したものが2次申請の合計額です。

  • 財源調整  4億1,619万円
  • 商品券配布事業 5億7,986万円

 で。くせ者と表現した理由。

 確認のために、これまでコロナ対策関連事業として市の財源で計上した予算を合計してみました。
 9億3,700万円です。

 このうち、1次で財源調整したのが3億円分。今回財源調整するのが4億円分。

 あれ?

 合計で7億円。じゃあ、残り2億3,700万円分は市の財政負担のまま残っているっていうことですよね。

 具体的には、「商工事業者支援関連 1億円」「農業者支援関連 5,200万円」「感染症関連広報費 1,800万円」等の事業が、市の独自財源のまま残っています。
 先に紹介した「地域の実情に応じてきめ細やかに実施する事業」という臨時交付金の目的からすれば、商品券事業よりも、これらの事業に充当するのが筋です。

 なぜこんなことをしたのでしょう?

 仮にこれらに国の交付金を振り替えるとします。すると当然、商品券事業にあてる臨時交付金が減ります。
 つまり、商品券事業の財源の本質的な姿は以下の通りということです。

  • 臨時交付金 5億7,986万円
    -2億3,700万円 本来他事業に充当すべき臨時交付金
  • 独自財源 7億4,862万円
    +2億3,700万円 臨時交付金を充当できる事業分の市の支出
  • 差引結果
    交付金分が3億4,286万円市の財源が9億8,562万円。 

 これが、今回の財源の真の姿と考えた方が適切と考えられます。

 当初は庁舎基金と国からの交付金で賄えると言われていたので、約10億円も市の負担が必要となれば、ちょっとカッコつかないかもしれませんね。

 財源についてもう一点、ぼくとしてはもっと気になっている点があります。

 先の「提案されなかった5万円公約(1)―庁舎整備基金問題はどうなった?―」でも少し触れましたが、商品券事業以外のコロナ対策がすっかり後回しになっているという点です。

 次のページでその詳細を紹介します。

“提案されなかった5万円公約(2)―財源問題の不都合な?真実―” への3件のコメント

  1. そもそも全市民に5万円あげます(支給しますとは言っていない)財源はありますと言って市長選で当選したのに、前言を翻し、あると言っていた財源がないから、色んな施策を削って2万円商品券を支給しますとは?分からん人です。

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