提案されなかった5万円公約(2)―財源問題の不都合な?真実―

商品券事業を優先して進んでいない感染症対策

 手許に「令和2年度 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施計画」があります。
 11月の臨時交付金申請時に、丹波市から国に提出された計画書です。事業費総額20億4,018万円になっています(ただし交付決定額は12億8,644万円)。

 前市長の頃に提出されましたので、この中に商品券事業は入っていません。

 ですから商品券事業を入れるために、同実施計画書にあるその他の事業を調整しなくてはなりません。当局に確認すると、事業中止はしていないけれども、制度設計はまだとのこと。

 では、どんな事業が後回しにされたのでしょうか?

  • 医療関連の環境整備 3,900万円
    青垣診療所やミルネの感染症対策など地域医療体制強化
  • 子どもの支援環境整備 1億2,100万円
    こども園職員奨励金、アフタースクール感染症対策、公園整備等
  • 庁舎の感染症対策強化 9,280万円
    市役所テレワーク環境整備、窓口デジタル化など庁舎対策
  • ポストコロナの観光や移住施策 1億4,150万円

 これら項目の中には、ちーたんの館の化石標本購入費が入っているなど、コロナ対策としては生煮えのものもあります。
 しかし、医療関連の環境整備や庁舎の環境整備など、まさに今、必要とされているものも少なくありません

 本来なら今回の補正予算では、こうした事業が提案されるべきではなかったでしょうか?

 補正予算が編成された時期は、第三波が拡大し、このままでは緊急事態宣言だと騒がれていた時期に重なります。
 その時期に、こうした事業を後回しにして商品券事業を優先していた。それほど商品券事業って重要だったのか確認したく、優先順位の判断基準を尋ねましたが、回答はありませんでした。

財源の最適な活用方法は何か?

 整理します。

 商品券に充てる予定の臨時交付金は5億7,986万円です。うち2億3,700万円はより適した充当先があった。

 そちらに充当したとして、残り3億4,286円。仮に水道料金の引き下げを従来通り続けるならその財源として8,700万円が必要ですから、あと2億5,586万円です。

 この財源は、11月段階で計画されていた事業から、第三波対策に役立つものを優先して充てるべきではないでしょうか?

 議会では「今さら組み替えろといっても間に合わないから交付金を国に返還することになる」という議論もありました。
 確かに間に合わず、2億5,586万円のうち1億円くらいは返還することになるかもしれません。

 しかし。その1億円を国から受け取るために、さらに10億円もの市の財源を使ってまで商品券事業をすべきでしょうか?
 本質を見失った議論のように思います。

 なにより気になるのは、今後のコロナウイルス感染症対策への備えを尋ねたとき、当局からは「次の国の臨時交付金補正額をみながら検討する」という回答があったことです。

 これはつまり、独自の財源で対策を進められないほど、現在の市の財政状況が苦しくなっているということととらえます。実際、商品券事業に関連して10億円を利用することで、財政調整基金残高は40億円と、市が目標としている45億円を切ってしまいます。
 さらに、このままだと来年度末の財政調整基金残高は25億円と試算されているのです。

 この状況では、仮に来年度、感染症対策が新しい事態になったり、水害など複合災害が起こった際に、市の独自財源を使って迅速に対応できません。
 こんなことで、市民の皆様に安心してと言えるのでしょうか

 いわばパンデミック間、災間を生きるわれわれ。そこへの備えを進めるためにも、財源の余裕を失ってはいけないのではないでしょうか?

 財源についてはこれくらいにして、もう一度エントリーを分けて、そもそも今回の政策は妥当なものかどうか、チェックします。

「提案されなかった5万円公約(2)―財源問題の不都合な?真実―」への3件のフィードバック

  1. そもそも全市民に5万円あげます(支給しますとは言っていない)財源はありますと言って市長選で当選したのに、前言を翻し、あると言っていた財源がないから、色んな施策を削って2万円商品券を支給しますとは?分からん人です。

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