介護保険料はどう決める?

 3月議会で、新年度の介護保険料についての提案がなされます。

議案26号 丹波市介護保険条例の一部を改正

 介護保険料は3年ごとに見直されますが、令和3年度から5年度の介護保険料は、基準となる額でこれまでの70,680円から71,280円にあがります。

 前もって民生産建常任委員会で説明をいただいており、とても分かりやすかったので感動しました。1月に行われた介護保険運営協議会(第5回)で示された資料をもとにした説明です。

 良い機会なので介護保険について、予算とも関連する料金を中心に整理します。
 なお、介護保険全体の計画は新年度に策定される「第8期介護保険事業計画」に基づきますが、大きな話になるので、別の機会にさせていただきますね。

そもそも介護保険って何だ?

 そもそも介護保険って何だったでしょう? 厚生労働省の「介護保険制度の概要」を参考に振り返っておきましょう。

 創設は2000年のことです。

 ぼくにとっては「恍惚の人」っていう有吉佐和子の小説の印象が強いですが、これが出版されたのが1972年。今でいう「認知症」を先駆的に扱った作品でした。親の介護は子どもや家族が行うというのが社会の一般的な意識だったと思います。

 当時75歳以上人口の割合は2%そこそこ。今では約15%、2060年には25%を超える。
 介護を要する高齢者の増加が見込まれる中、いつまでも家族に頼ったままでは立ち行かない。そこで「介護の社会化」が進められ、介護を社会全体で担うための制度として始まったのが「介護保険制度」でした。

 少し脱線しますが、「社会化」というのは覚えておきたい用語です。たとえば「医療の社会化」といえば、日本では1910年代から意識され始めたようです。
 そこではどのようなことが目指されたのでしょうか?

 医療機関の整備、医療の非営利化、医療費負担軽減、などなど。
 社会資本の整備から所得格差に対応する制度の改正、必要な資金の負担方法まで、「社会化」に伴う課題は幅広いですね。こうした流れの上に1961年に国民皆保険制度が実現、2008年には後期高齢者医療制度が始まったわけです。

介護保険料の負担と給付

 閑話休題。

 介護保険料を負担するのは、40歳以上の人です。このうち65歳以上を第1号被保険者40歳から64歳までを第2号被保険者といいます。
 第1号被保険者については原則年金から天引きされます。
 一方、第2号被保険者については、健康保険に加入している方は医療保険料と同様に事業主が半分を負担し天引きされています。また国民健康保険に加入している方は、国民健康保険と一体的に徴収されています。

 第1号被保険者(65歳以上)であれば「要介護」「要支援」と認められれば、受給資格があります。第2号被保険者(45歳~64歳)でも、要介護(要支援)状態が老化に起因する疾病による場合には受給資格があります。末期がんや関節リウマチ、パーキンソン病等がそれです。

 受給する(介護サービスを利用する)には、市区町村の窓口で「要介護(要支援)認定」を受ける必要があります。
 申請があれば認定調査員が訪問し調査するとともに、主治医の意見書を確認します。コンピュータによる一次判定の後、介護認定審査会による二次判定を経て、要介護1~5要支援1~2、ないし非該当に分類されます。

 要介護の場合は居宅介護支援事業者のケアマネジャーが、要支援の場合は地域包括センターのケアマネジャーが「介護サービス計画(ケアプラン)」を作成します。(詳細は「介護サービス計画」参照。)
 利用者はケアプランに基づいて各種サービスを利用します。自己負担は、費用の1割(所得要件によっては2割)です。

 事業者に対しては、提供したサービスに応じて「介護報酬」が支払われます。サービス内容ごとに時間や「単位」が決まっていて、それを積算して報酬が決まるわけですね。
 ただし、要介護度によって支給限度額が決まっています。単位にして要支援1の約5,000単位/月から要介護5の約3万6,000単位/月まで差があります。(詳細は「要介護認定」参照。)

介護保険料はどんなことに利用される?

 それでは、介護保険料はいったいどのような事業に給付されるのでしょうか。

 利用者負担を除く部分を公費で負担するわけですが、主な給付は「介護給付費」と「予防給付費」に分かれます。内訳をみましょうか。
 実際に提供されている施設の一覧は「介護保険サービスを提供する事業所・施設について」をご参照ください。

 まず「介護給付費」です。これは要介護1~5の方を対象としており、次のような項目があります。

  • 居宅サービス
    自宅で利用する「訪問系」と日帰りの「通所系(デイサービス)」があります。入浴や食事等の介護、看護師による訪問看護やリハビリを行ったりもします。このほか、施設に短期宿泊する「短期滞在(ショートステイ)」、自宅を改修したり、福祉用具を貸与したりといったサービスがあります。
  • 施設サービス
    要介護3~5の認定を受けた方のための特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)や、病院等での治療の後のリハビリを受けられる要介護1~5の認定を受けた方のための介護老人保健施設等が含まれます。
  • 地域密着型サービス
    利用定員18人以下の小規模なデイサービス及び定員29名以下の介護老人福祉施設がこちらに分類されます。また、定期巡回や認知症対応型の介護、通いを中心にしつつ宿泊や訪問などを組み合わせる「小規模多機能型居宅介護」などが含まれます。
  • 居宅介護支援
    ケアマネジャーによるケアプラン作成等にかかる費用です。

 一方の「予防給付費」。こちらは要支援1~2の方が対象です。看護やリハビリテーションが中心で、一般的な介護は後述する「地域支援事業」に区分して対応されます。

  • 介護予防サービス
    訪問しての看護や訪問あるいは通所によるリハビリテーション、短期入所や福祉用具の貸与などが対象となります。
  • 地域密着型介護予防サービス
    認知症対応型の通所介護や「小規模多機能型居宅介護」などが含まれます。
  • 介護予防支援
    ケアマネジャー等にかかる費用です。

 これら「介護給付費」と「予防給付費」を合計して「総給付費」と呼びます。丹波市の場合、令和2年度で約61億円、高齢者の増加に伴い令和5年度では約70億円と見込まれています。

 介護保険料の使途は、このほかに低所得者を対象にした施設利用時の食費等の給付(年間2億円あまり)や、利用者負担が高額になった場合の超過分償還(年間1億5,000万円あまり)、審査手数料(年間約600万円)などがあります。

 これらすべての合計を「標準給付費」と言いますが、丹波市では令和元年度で約64億円、令和5年度予測で約74億円を必要とします。

 なお、ここまでで紹介した標準給付費はこれまでの推移をもとにしています。つまり現在の丹波市内でのサービス提供状況がベース。

 でも、たとえば介護医療院(ターミナルケア等の医療を兼ね備えた施設)は市内になく市外の施設を利用されているのが現状(もちろん介護保険の給付対象ではあります)。また、サービス付き高齢者向け住宅が増えていくとそこへの訪問介護や訪問看護も当然増えていきます。こうした高齢者向けサービスの増加とともに今後増えるだろう費用を加えておく必要もありますね。

 この増加分を「介護サービス整備分」として、今後3年間で約5億円を見込んでいます。1年あたり1億5,000万円強ということですね。

地域の特色が活かされる「地域支援事業」

 介護保険料の使途は「標準給付費」だけではありません。地域それぞれの特色が活かされる「地域支援事業」にも使われます。

 地域支援事業は、介護予防や地域として要介護者を支える仕組みづくりなどの事業です。具体的には「介護予防・日常生活支援総合事業」と「包括支援事業及びその他の地域支援事業」に分かれます。(「高齢者があんしんに暮らすための相談窓口」も参照ください。)

 「介護予防・日常生活支援総合事業」は要支援1~2のうち前述の「予防給付」に含まれない方と、介護認定がなくても基本チェックリストで該当した方が対象になります。
 これまで「予防給付」を利用して訪問介護なり通所介護なりを受けられていた方は、そのままこの事業の対象になります。

 加えて、市独自に基準を緩和した訪問型や通所型のサービスも行われています。
 訪問型の場合は、研修修了者による買い物や調理支援、あるいは住民主体で登録会員同士で掃除や洗濯などの支援を行います。
 通所型の場合は、通所介護施設で百歳体操を行うなどのミニデイサービスを受けることになります。

 介護予防・日常生活支援総合事業について、丹波市では令和元年度約1億1,000万円を必要としました。

 もう一つの「包括支援事業及びその他の地域支援事業」。こちらは、いわゆる地域包括支援センターの運営の他、配食サービスや介護用品給付事業など丹波市が独自に行う事業を言います。
 令和元年度で1億8,600万円を要していました。

 以上2種類の地域支援事業総額ではざっと3億円ということになります。

 ということで、令和元年度の介護給付費すべてをまとめると以下の通りとなります。

標準給付費64億円+介護サービス整備分1億5,000万円+地域支援事業費3億円
 =68億5,000万円/年

 丹波市の年間一般会計予算が約350億円ですから、介護保険にはその約2割が必要とされていることになりますね。実際には特別会計で組みますので、一般会計には含みませんけれども。

丹波市の高齢者人口はどうなる?

 令和2年9月時点の丹波市の人口は6万3,324人です。このうち65歳以上の高齢者が2万1,711人(34.4%)、75歳以上の後期高齢者が1万1,687人(18.5%)。全国平均より5ポイント程度高いです。

 要支援・要介護認定は、合計で4,365人です。認定率でいえば約20%。これは国の水準(18.6%)よりは高めですが、兵庫県とほぼ同じ。
 内訳を構成比にすると、要介護認定者の構成比が78.6%となっており、国の72.0%、県の63.9%より高くなっています。

 今後の推移予測としては、高齢者人口は令和3年をピークに減るものの、後期高齢者のピークは令和12年の1万3,029人と予測されており、要支援・要介護認定者のピークは令和17年の4,679人と予測されています。

 ただし。

 いくら高齢者人口が減るといっても、丹波市全体の人口はさらに縮んでいるわけで、高齢化率は上がり続けます。令和22年で41.3%(後期高齢化率25.6%)、介護保険負担も上がり続けることが想定されます。

 さて、以上で介護保険料を算定するもととなる諸条件について説明しました。

 次ページで、介護保険料の算定方法をご紹介します。

“介護保険料はどう決める?” への3件のコメント

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