まちなかホテルの迷走(への助走)

なんだか議論紛糾している感のある丹波市柏原の「農泊事業」。前回「まちなかホテルの可能性」で予告した現在の論点をまとめる前に、ここに至る経緯を整理します。

それというのは、今回の計画が議論紛糾している理由のひとつに、当局の進め方に対する不信感があるからです。

進め方については、市長も議会で「立ち止まったおかげで計画がより磨かれた」という趣旨の発言をされていますので、一定程度反省されている部分があるのではないでしょうか。

長くなりますが、年次を追ってまとめます。後編「まちなかホテルの迷走」もあわせてどうぞ。

  1. 昭和10年 旧柏原町役場 竣工
    柏原支所は昭和10(1935)年の建設です。80年を超える歴史ですね。レトロモダンな外観も印象的ですが、1階は寄木張り、2階は装飾的左官仕上げの凝った天井が特徴的です。
  2. 平成6年 柏原町商店街活性化事業 実施
    柏原城下エリアの活性化は、この頃に始まります。平成10年に国が「中心市街地活性化法」を施行、その後はこの法律のもとで事業が進められていきます。平成12年7月には事業主体となる「株式会社まちづくり柏原」が設立されました。
  3. 平成17年 旧柏原町役場 改修
    旧柏原町役場の建物を文化的遺産として将来にわたって保存することを目的として、平成16年から17年にかけて改修されました。改修費用はおよそ1億6,000万円でした。
  4. 平成21年 丹波市中心市街地活性化基本計画 認定
    柏原城下エリアに関して、歴史的建造物の利活用や公園整備、街並み修景などの事業を盛り込んだ基本計画が国からの認定を受けました。その中で旧柏原町役場については「観光施策の拠点施設」として整備すると書き込まれています。
  5. 平成22年 柏原支所についての要望書 提出
    柏原支所を観光拠点にとする要望書が、丹波市観光協会(平成22年8月)と柏原活性化協議会(平成23年3月)から出されました。一方で近隣の自治会からは、支所の移転は慎重にとの要望書が出されました(平成23年6月)。これらを踏まえつつ、丹波市としては平成27年4月に柏原支所を柏原住民センターに移転するとの方針が示されました(平成24年1月)。
  6. 平成26年 柏原支所の移転計画 頓挫
    移転に向けた地域の合意形成は柏原総代協議会(自治会の代表者によるもの)に委ねられました。しかし地域だけでの合意形成はできず、地域からは、平成25年3月、市が直接調整してほしいとの趣旨の返答が出されました。これを受けて、平成26年6月、合意形成が整わないので移転は取り消す旨、丹波市が発表しました。
  7. 平成28年 丹波市中心市街地活性化基本計画(第2期) 認定
    中心市街地活性化計画の2期目(計画期間:平成28年3月~平成33年3月)が、国から認定を受けました。この中に、以下の事業が含まれています。
    観光・文化情報発信拠点整備事業
    丹波市の玄関口として丹波市全域の情報発信拠点を整備する。
    旧役場等公共建物活用事業
    旧町役場の歴史的建築を活用し、丹波市全域の情報発信機能や集客機能を入れた観光拠点をつくる。
    商工会館リノベーション事業
    旧柏原町商工会跡を活用し、シェアオフィスなどインキュベーション施設を整備する。
    丹波らしい宿泊機能の整備
    古民家を活用し、ゲストハウス等の丹波の風土を体感できる宿泊施設を整備する。
  8. 平成28年6月 「ふるさと丹波市定住促進会議」法人化の方針
    (柏原から離れた話でが、後に関係するので紹介します)丹波市の移住・定住促進事業は、平成20年度から官民協働型組織である「ふるさと丹波市定住促進会議」に委託されてきました。しかし議会から、事務局を市の職員が務める任意団体に市から業務委託する運営形態に対して疑問が出たため、法人化を視野に組織強化するとの方針が示されました。
  9. 平成28年12月 谷口進一市長誕生
    公約の一つが、「柏原に観光拠点をつくり、移住相談窓口と併せて整備する」でした。
  10. 平成29年3月 柏原支所観光拠点化の検討 予算化
    柏原支所の機能を維持しつつ同支所の観光拠点整備方針について協議するためとして、「丹波市観光拠点整備懇話会」を開催する予算が可決しました(予算額113万円)。商工会や観光協会、中心市街地活性化協議会等から10名程度の委員が選任され、懇話会は5月に発足しました。担当部署は産業経済部観光振興課です。
  11. 平成29年6月 農山漁村振興交付金事業(農泊事業) 採択
    「ふるさと丹波市定住促進会議」が国に対して提案していた「古民家等を活用した滞在型施設整備プラン」が、農林水産省の農山漁村振興交付金(農泊推進対策)に採択されました。なおこの事業費は国からふるさと丹波市定住促進会議に直接交付されるので、丹波市の予算は通りません(ただし交付金は清算=事後=払いなので、実施段階の運営資金を丹波市の予算で同会議につなぎ資金として貸し付けます=平成29年度当初予算で計上)。
  12. 平成29年夏 農泊事業のモデル地域に柏原城下エリアを選定
    「古民家等を活用した滞在型施設整備プラン」の策定は、ふるさと丹波市定住促進会議から一般社団法人ノオトに委託されました。丹波市らしい滞在施設を実現することを目的に、モデル地域として柏原城下町地区と大路地区が選定されました。担当部署は、建設部住まいづくり課です。

長くなりましたので、いったんここで切ります。ここまではいわば迷走の「種」段階です。柏原の城下エリア(中心市街地)がどのようにして整備されてきたのか、また柏原支所の扱いはその中でどのように位置づけられていたのかをご理解いただけたと思います。

それと、観光拠点化の話と、農泊(まちなかホテル)の話が、別の部署の別の観点からスタートしていることもご理解いただけたのではないでしょうか。迷走の「種」がその後どのように育っていくのかは、後編「まちなかホテルの迷走」へ続く。

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