まちなかホテルの論点

まちなかホテルの迷走(への助走)」と「まちなかホテルの迷走」で示したような経緯を経て混迷する、丹波市柏原城下エリアの「まちなかホテル」構想。

計画の概要は「まちなかホテルの可能性」で示していますので、ご参照ください。ぼくは先に示した「これからの丹波市の姿」の視点から、「まちなかホテル」推進を応援したいと考える立場です(ただしいくつか指摘したい点はありますが)。

注目を集める「古民家ホテル」

3月の日経新聞で「昔話の郷愁に浸れる古民家の宿10選」特集が組まれていました。古民家泊は近年人気が高い分野です。

丹波市での農泊推進事業に知恵を貸してくれている一般社団法人ノオトは、篠山市での「集落丸山」からスタートして、現在では株式会社ノオトを設立、「篠山城下町ホテルNIPPONIA(篠山市)」「NOTE人吉球磨(熊本県)」「NIPPONIA HOTEL奈良まち(奈良市)」「竹田城城下町ホテルEN(朝来市)」など各地で古民家泊を提供しています。(上記のランキングでも複数入っていましたね。)※上の写真は、篠山市福住にオープンしたNIPPONIAのお風呂場です(^^

一時期丹波市に事務所を置いていた「自遊人」は、新潟で「里山十帖」を運営、今年の8月には滋賀県大津市に「商店街HOTEL 講 大津百町」を開業するなど、他地域での展開を進めています。

また、徳島県の祖谷で古民家泊を運営しているNPOちいおりは、福井県に「詰所三国」、香川県で「宇多津 古街の家」などを展開し、今年は京都府亀岡市の委託を受けて「離れ にのうみ」の運営を始めました。

他にも、「町家レジデンスイン金沢」「町家ホテル京都」などを運営するAJ InterBridgeなど事例には事欠きません。先日、金沢で予約しようとしたのですが、どの棟も満室になっているなど、人気も高いようです。

そういう意味で丹波市は後発になるのですが、成功のためには、「旧町役場に泊まれる」という、柏原ならではの物語性が欠かせないでしょうね。ですから、現在の柏原支所のホテル化も不可欠と考えています。

議員有志による「支所のホテル化中止」要望

では、そういう可能性を秘めた事業に対して、議論が紛糾するのはなぜでしょうか。

具体的な論点については、続編「まちなかホテルの論点(整理)」で整理していますが、まずは、先日議員有志11名(つまり過半数)から提出された「支所のホテル化中止」要望の要点をご紹介します。(ぼくがそこに加わらなかった理由も青字で併記します。)

  1. 懇話会の提言内容を無視
    産業経済部観光振興課のもとで「観光拠点」として進んでいた事業を、建設部住まいづくり課からの提案を受けて、市長の一存で「ホテル」に変更したこと。なかでも「丹波市観光拠点整備懇話会」の提言書を無視した結果となっていること。

    懇話会の提言書は、「まちなかホテルの迷走」冒頭で紹介したとおり宿泊機能案を排除しておらず、無視しているという指摘はあたらないとぼくは考えています。確かに変更の手順に拙速な面があったとは思います。しかし、事業は必要なものと考えており、中止要望には賛成できません。

  2. 市の財政負担
    1億円を超える初期投資額は過大ではないか。加えて、過去のリノベーション案件から推測するに改修を始めたらさらに追加予算がかかるのではないか。また、年間1億3000万円の経済波及効果というが、にわかに信じがたい。

    経済波及効果や空き家が再生されていく公益的効果をふまえれば投資額に合理性を認めます。また、これまでのノオトの案件を調査した限りでは、提示された予算を超えることはないと判断します。経済波及効果も、他の古民家ホテルの稼働状況、柏原の既存飲食店の売上を聞いた限りでは、妥当な数字と判断します。

  3. 公設民営のリスク
    市役所と田原邸を公設で整備し民間に委託するというが、事業が行き詰まり民間が撤退するリスクがある。

    これには同意します。しかしそのリスクと、今なにも投資せず、将来街がさびれ、「あのとき議会が反対しなければ今頃は」などという状態になるリスクを考えた時、ぼくは今挑戦することを選択します。また、当初構想のとおり株式会社まちづくり柏原が運営に手をあげてくれるなら、撤退リスクを指摘するのはあたらないと考えます。

ざっとこんなところです。

お読みいただいてわかる通り、要望のタイトルこそ「支所のホテル化中止」ですが、実際の指摘内容は多岐に渡っており、賛同された11人の中には、いったん市長に立ち止まって欲しくて賛同した事情もあったようです。

したがって、今後議論するにあたっては、もう少し論点を分解する必要があります。続編「まちなかホテルの論点(整理編)」で触れます。

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