指定管理者制度とPFI~PFIってどんな制度なの?

 指定管理者制度については、以前「指定管理者制度について考える」にまとめました。

議案55号 丹波市公の施設の指定管理者の指定手続き等に関する条例の一部改正

 今回の「丹波市公の施設の指定管理者の指定手続き等に関する条例」改正は、公募にかけなくてもよい特例を規定する条文の変更です。新旧を併記します。

(旧)
市長は、第2条の規定にかかわらず、同条第2項の規定による申請がなかった場合又は市長が特に必要と認める場合においては、公の施設の設置目的を効果的かつ効率的に達成することができると認められる公共団体若しくは公共的団体等、市が出資等をしている法人又は地域の活性化を図ることを目的として設立された団体を指定管理者の候補者として選定することができる。

(新)
市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、第2条の規定による募集によらず、指定管理者の候補者を選定することができる。
(1)募集に対し申請する団体がないとき。
(2)公の施設の性格、規模、機能等を考慮し、その設置の目的を効果的かつ効率的に達成するため、特定の団体が管理を行うことにより事業効果が相当程度期待できると思料するとき。
(3)民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の規定により選定した事業者が整備した公の施設の管理を当該事業者に行わせようとするとき。
(4)前3号に掲げるもののほか、公の施設の設置目的を効果的かつ効率的に達成するために市長が必要と認めるとき。

指定団体の緩和とPFIの明記と

 比較して明らかな違いは、次の2点です。

 最初の変更は、指定管理を行わせる団体の対象を、公的な団体に限らず、一般の民間企業も含めて可能とするもの。
 参入規制の緩和です。指定管理者は民間企業でも当然良いでしょうし、それが時代の流れでもあるので、歓迎すべき方向でしょう。

 2点目はいわゆるPFIを想定して文言を追加しているもの。

 これまで、条例で書ききれない特例は、「指定管理者制度ガイドライン」を作成して判断基準としていました。
 ガイドラインには、以下の例示がなされていました。

  • 施設の設置目的及び利用が地域住民に限定されるなど、地域の住民グループによる管理が効果的であると考えられる場合
  • PFI等の選定事業者が、管理運営を含めて一体的に事業を行う場合
  • 施設利用者に対し極めて高度の専門性を要する場合
  • 利用者等との関係性の維持が極めて重要である場合
  • 将来(当該指定期間内)にわたり他の担い手が存在しないことが見込まれる場合
  • 災害など緊急性がある場合
  • その他特例にすることに合理的理由がある場合

 もともとPFIもガイドラインでは特例対象になっていたわけですが、それを表に出してきたということになります。
 まあ、現時点で明らかにできるかどうかは分かりませんが、そういう(PFI導入)想定が生まれてきたと考えてよいでしょう。

PFIってどんな制度?

 PFIについては、内閣府の「民間資金等活用事業推進室(PPP/PFI推進室)」の情報が詳しいです。

 PFIはPrivate Finance Initiativeの略。民間の資金が主導する、といった意味合いで、公共施設の建設や管理を民間の資金、あるいは能力を活用して行う手法のことを言います。

 たとえば図書館を建設するとして。

 普通は自治体が自らの予算で設計、建設し、そして運営もまかないます。あるいは、運営部分だけ民間事業者に委託する形をとります(指定管理者制度)。
 PFIの場合だと、民間事業者が独自のノウハウを投入して設計、自らの資金で建設し、運営もまかないます。ただし建物の所有権は自治体にあるものとし、自治体は運営の対価を事業者に支払います。事業者はこのサービス対価の他、図書館にカフェを併設して収入を得るなどの工夫を行うことで、収益を確保します。

 自治体にとっては財政的に安定するという効果がある一方、民間ノウハウを入れることでサービスの質の向上が期待できます。
 民間団体にとっては、あらたなビジネス拡大のチャンスとなり、雇用の創出等につながることが期待できます。

 内閣府が公開している事例集から、ユニークなものを抜粋しておきます。

  • 北海道伊達市「学校給食センター」
    設計建設及び維持管理は民間事業者が行うBTO(Build To Order)方式。センターの所有権は市にあり、民間事業者は使用料を支払う。事業契約を交わし、給食は市が買い取る形で確保する。食育レストランを併設し、地域の方が食事を楽しむ場所となっており、その売上は民間事業者に入る。
  • 神奈川県茅ケ崎市「柳島スポーツ公園」
    設計建設及び維持管理は民間事業者が行うBTO(Build To Order)方式。スポーツ公園の所有権は市にあり、民間事業者は使用料を支払う。公園の利用料金は民間事業者の収入となり、公園内に民間が整備するレストランやスタジオ等の施設は民間が貸し出して賃料収入を得る。
  • 岡山県津山市「旧家を活用した宿泊施設」
    改修工事は市が行うコンセッション方式。ただしその後の運営事業者を早期に選定することで改修工事への要望を反映。市は民間事業者に運営権を設定、民間事業者はその対価を支払う一方で、宿泊施設を運営し、利用料金を収受する。
  • 静岡県沼津市「少年自然の家跡施設」
    都市公園法第5条に基づく公園施設設置許可及び管理許可による方法。つまり、本来都市公園は地方公共団体が管理するものだが、許可を得た場合は民間事業者が行うとされる方法。民間事業者は使用料を市に支払う一方、公園の設計、建設、維持管理等を行い、そこからの売上収益を得る。
  • 岩手県紫波町「オガールプラザ」
    民間の資産保有会社(SPC)が町から年を借り、図書館等の公共施設とテナント式の民間収益施設を建設。公共施設部分は町が買い取り民間側に売却益をもたらす一方、民間収益施設はSPCの所有のままとし、テナント賃料を収受する。
  • 大阪府貝塚市「新庁舎整備」
    設計建設及び維持管理は民間事業者が行うBTO(Build To Order)方式。庁舎の所有権は市に帰属するが、庁舎内の販売業務等は民間事業者の売上になるほか、敷地内を民間事業者が賃借し、収益施設を建設し、その売上を得る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください