提案されなかった５万円公約(1)―庁舎整備基金問題はどうなった？―

出し入れがしやすい「財政調整基金」

　使い勝手のよい基金。

　それが、「財政調整基金」です。

　財政調整基金の残高は、令和元年度末で54億7,215万円。

　使途については、「丹波市財政調整基金条例」に、次のような目的で処分できると定められています。

(1)　経済事情の変動等により財源が著しく不足する場合において、当該不足額を埋めるための財源に充てるとき。
(2)　公共施設の建築事業及び大規模な設備、備品の整備に要する経費の財源に充てるとき。
(3)　高率の補助金又は起債が得られず災害の応急復旧又は救助を要するとき。
(4)　前3号に掲げるもののほか、必要やむを得ない事由により生じた経費の財源に充てるとき。

　けっこう自由ですね。

　令和2年度は当初予算での引き出し（繰入）予定が7億4,300万円となっています。本格的なコロナ対策補正となった5月の第3号（3回目）の補正予算で、さらに8億3,789万円を引き出すことにし、手厚い対策を打っています。
　3号以外の補正時も、以下のように、いわば全体の調整として適宜利用されています。

・1号　3,000万円
・2号　1,724万円
・4号　-1,646万円（積立）
・5号　5,268万円
・6号　3,093万円
・7号　-1億6,133万円（積立）
・9号　-5,366万円（積立）
・10号　3万円

　ここまでの推移で今年度およそ15億円を繰り入れる予定なので、年度末基金残高は40億円程度と予想されます。

　参考までに、令和元年度の当初予算では10億7,600万円を引き出し（繰入金）、1,939万円を積み立てる計画となっていました。それが決算で、繰入金4億4,443万円に対して5億3,903万円の積立金となり、最終的に基金残高は増えています。

　なので、年度末にかけて予算執行に不用額が出てくれば、いくらか積立が増えるものと予想されます。

財政調整基金はどのくらいが適正か

　ところで、丹波市の財政調整基金54億7,215万円の規模感をどうとらえたらいいのでしょう。

　毎年の予算額350億円に対して15％、標準財政規模212億円からすれば25％。

　総務省が公表している「地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査結果」を見てみましょう。
　市町村では標準財政規模に対する比率で管理しているところが多く、5～10％が39.1％、10～20％が37.8％となっています。
　一方で予算規模に対する比率で管理していると回答した市町村は標準財政規模と回答した市町村の約6分の1と少ないですが、5～10％が47.4％、10～20％が26.3％です。

　丹波市が40億円程度まで減らしたとして、標準財政規模比19%、予算比11%。他自治体の水準と比較するなら大丈夫じゃない？　という側面はあるわけです。

　一方で。

　合併後長らく、丹波市の財政調整基金は60億円を超える規模で推移してきたという経緯があります。豪雨災害があり、平成26年度に前年度の67億円から47億円まで、一気に減ったのです。

　そう考えると、今後の災害のことなどを考えて、やはり現状くらいの規模は確保したいとも思えます。今年度のような非常事態だと予算が約435億円になっていますから、40億にしてしまうと予算比は一気に9%台まで落ちます。

　丹波市の行政改革アクションプランでは、財政調整基金の目標を45億円としています。

　なお、このほかに使い勝手のよい基金としては、「地域振興基金」があります。現在の残高は40億円強。こちらは「丹波市地域振興基金条例」に、以下のように規定されています。

第1条　丹波市における市民の連帯の強化及び均衡ある地域振興を図るため、丹波市地域振興基金(以下「基金」という。)を設置する。

　これまでは、地域医療対策や地域経済の活性化に役立てたりされてきています。

　今回の補正予算について、エントリーを分けて引き続きお伝えします。