条ずれにともなう改正、わりと見かけます。
条例で引用している法律が改正され、条番号が変わったので条例の表記も変更するという議案です。
・議案51号 丹波市ふるさと寄附金基金条例の一部改正
これもそう。
「丹波市ふるさと寄附金基金条例」の中で引用している「地域再生法」が改正されたことで条ずれが生じたため、新しい条番号に修正する、という単純な内容です。
ただ、こういうとき「あ、そう」で終わってしまってはもったいない。
そのもととなる法律の改正ってどういう主旨なの? と辿ってみることで、国の政策変更など、大きな流れをつかむことができます。
地域再生、現在の方向性は?
ということで、「地域再生法」の改正です。
内閣府の「地方再生法改正経緯」から「概要」の図を引用します。
まず、「官民共創による住宅団地の再生」があげられていますね。
そういえば、近年問題になっていますね。かつての「ニュータウン」がオールドドタウン化しているって。
昭和時代に作られた「ニュータウン」が老朽化、住んでいる人も高齢化。まぁ、いってみれば地方と同じく、生活の質が心配だし、先行きが見えづらくなっているわけです。
そのあたりの社会背景があっての改正でしょうね。
ニュータウンというのは本来住居専用ですが、コワーキングスペース等にも改装できるように規制を緩和するためのものです。
PFIへの流れを背景にした改正も
2つめにあるのが「民間事業者の施設整備に関する地方債の特例の創設」。
公共的施設を民間事業者が整備するときに、自治体がデジタル田園都市国家構想交付金を利用して補助すれば、その補助に対して地方債を利用できる、というものです。
これは、丹波市でも使えるかもしれない。
仮にある公共的施設を整備するにあたって、2億円かかるとします。民間企業がその整備を担うことにしました。
そこで、地方公共団体は、国の「デジ田交付金」を利用して、整備費用の半分1億円をこの民間企業に補助すると。
デジ田交付金は、2分の1を国が出してくれるスキームです。なので、1億円の補助金のうち残り半分の5,000万円は地方自治体が負担しなくてはなりません。
このとき、この負担分を地方債を起債することで賄ってもいいよというのが、今回の特例です。
一般的に地方債は建設債にしか利用できず、補助金にあてることはできないけれど、この場合は可能だと(「地方債の発行条件と充当率及び交付税措置率」参照)。
地方債は、後年償還するにあたって、国から交付される地方交付税に繰りこまれるので、自治体にとっては有利な形ですよね(「地方債と充当率そして交付税措置-将来負担を少なくする工夫-」参照)。
民間の資金やノウハウを活用して公共施設等の建設や運営を行う手法を「PFI」と言いますが、国としてもこの手法を後押していると読み取れます。
都市から地方への企業移転の促進拡大
また3番目には「起業の地方移転を促進する地方拠点強化税制の対象拡大」があります。
地方拠点強化税制というのは、事業者が「特定業務施設」を地方に整備する場合、知事の認定を受けることで減税されるという仕組みです。
特定業務施設というのは、いわゆる本社で行うような機能を行う施設で、営業所等を地方に設けるのではなく、調査や企画、研究開発や社員研修所などの機能を備えた施設のことです。詳細は「地方拠点強化税制(オフィス減税・雇用促進税制)について」参照。
で、今回の改正は、これに合わせて子育て施設等を整備する事業も含むことにすると。
地方再生法については以上です。