議会を通さない市長による専決処分

 6月議会が始まりました。
 議会の初日は、市長から議会への報告事項の他、議会の閉会中に市長が専決処分した案件に対する承認から始まります。

専決処分とは何か、そして不承認の場合は?

 専決処分というのは、議会にかけるべき案件でありつつ、それを経ずに市長が決裁して処理した事件について、議会の追認を得るものです。
 今回であれば、「地方税法の一部を改正する法律」が平成31年3月29日に公布されたことを受けての専決処分がその一例です。

 同改正法のなかには、住宅ローン控除の拡充など、平成31年4月1日から施行という内容があります。改正内容に基づく徴税業務は4月1日から始めなくてはなりませんから、それまでに丹波市税条例を改正しておかなくてはなりません。
 条例改正は当然、議会の議決事項です。

 ところが議会は3月27日に閉会し、次の開会は5月末です。議会に諮る時間的余裕がなく市長決裁で条例を改正したと。それを承認してくださいという話です。
 これは地方自治法179条で認められた市長の権限。以下が条文です。

普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第百六十二条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意及び第二百五十二条の二十の二第四項の規定による第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意については、この限りでない。

(地方自治法179条)

 副市長については必ず議会の議決が必要とありますが、それ以外の内容については案外広く解釈できます。そして議会が承認しなかったからといって専決処分が無効になることはありません。その場合どうするかというと、同条4項に記されています。

条例の制定若しくは改廃又は予算に関する処置について承認を求める議案が否決されたときは、普通地方公共団体の長は、速やかに、当該処置に関して必要と認める措置を講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならない。

(地方自治法179条4項)

 条例や予算に関連した場合は措置して報告しろ、というだけですね。

専決処分を避けるためには

 二元代表制の主旨から言えば、本来的に専決処分は望ましいことではありません。

 それを防ぐためには、臨時議会を開会するという方法があります。
 議会は通常、3月、6月、9月、12月の定例会を基本にしています。しかしそれ以外にも臨時的に開会できますから、臨時議会を開会して議会に諮ればいいわけです。

 とはいえ、休会中に議会を招集するのは手間といえば手間。というのは、地方自治法の第101条7項に議会の招集について次のようにあるんですね。

招集は、開会の日前、都道府県及び市にあつては七日、町村にあつては三日までにこれを告示しなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。

(地方自治法101条7)

 市議会の招集には開会日までに7日の余裕が必要。緊急を要する場合はこの限りでないと補足されているものの、解釈の幅がありますから、なんでもかんでも緊急で開くというものでもありません。

 そこで議会を閉会せず、年中開会しておくという方法が、最近の議会改革のなかで注目されています。
 年4回集中的にやるというスタイルは同じですが、その間を閉会ではなく休会にしておく。これなら、随時本会議を開催できます。
 今年度からおとなりの丹波篠山市議会が採用されました。

 丹波市議会での議論は進んでいませんが、丹波篠山市議会の事例なども研究しつつ、考えていきたいですね。

もうひとつの専決処分

 なお、専決処分にはもうひとつ、地方自治法180条に基づくものがあります。

普通地方公共団体の議会の権限に属する軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長において、これを専決処分にすることができる。

(地方自治法180条)

 以上がその条文で、これに基づき、丹波市では「議会の委任による市長の専決処分について」として、平成21年3月26日に次のように議決しています。

  1. 市がその当事者である訴えの提起、和解、あっせん、調停及び仲裁に関することについて、事件1件につき300万円を超えないもの
  2. 丹波市市営住宅条例(平成16年丹波市条例第216号)第42条第1項又は丹波市特定公共賃貸住宅条例(平成16年丹波市条例第217号)第33条第1項の規定に基づく当該住宅の明渡しを求める訴えの提起

 これに基づく報告は、たとえば今回の議会であれば、公用車の事故により保険金を支払ったといった事件があります。

専決処分を避けるための業務適正化

 ところで今回の専決処分では1件、議論になった事案があります。

 それは「繰越明許費」の追加です。
 繰越明許費というのは、今年度の予算のうちの一定額を翌年度に繰り越すというもの。予算審議の際の審議対象として当然、議会の議決事項です。

 通常は、3月までの予算なり補正予算を上程するまでの段階で、「これは今年度は完了しない、来年度に繰り越そう」と見通せますよね。なので、3月議会に出される補正予算までには審議にあがってきます。

 ところが今回、それが間に合わず、急遽追加して専決処分したと。

 聞くと、その予算に関連する団体との調整が3月下旬までかかったり、発注先の業者との調整が3月下旬までかかって、間に合わないと明らかになったのが3月25日頃になったため、3月27日に閉会する議会への上程が間に合わなかったとのこと。

 こういうのはね、業務管理をしっかりしていれば避けられた気がするんですよね。
 繰り越すことが悪いということではなく、もっと早くにめどをつけて、繰り越すなら繰り越すで3月議会に間に合うように判断すべきだったのではと。

 そういうことも踏まえて、専決処分をできるだけしないでおこうとすることは、業務の適正化に欠かせないことのように思います。

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