農業委員会の委員構成についてのきまりごと

 この3月の定例会では、同意案件が28件提案されています。
 人権擁護委員の候補者の推薦への同意が4件、農業委員会委員の任命が24件です。

同意1号 人権擁護委員の候補者の推薦

 人権擁護委員については、以前「人権擁護委員というおしごと」にまとめました。今回、4名の方の推薦です。
 うち3名が再選、男女比は変わらずです。

同意5号 丹波市農業委員会委員の任命

 農業委員会については、「農業委員会って何だ?-そして農地転用について-」でまとめています。今回、24名全員の改選です。任期は3年。

 上述のエントリで選任の要件について述べました。「農業委員会等に関する法律」第8条でしたね。破産とか禁固刑などの者はダメという以外に、以下の条件があります。

  • 認定農業者が過半数をしめること(5項)
  • 所掌事項について利害関係を有しない者を含むこと(6項)
  • 年齢、性別等に偏りが生じないこと(7項)

年齢や性別の偏りをどう判断するか

 今回、女性は2人。正直、「性別等に偏り」がある気はしますが、法律に基準があるわけではありません。

 では「偏りが生じない」をどのように判断すれば良いのでしょうか?

 ひとつの判断基準として、地域での農業者の性別構成をふまえるとのことです。現在の丹波市の農業者数の男女比は次の通り。

経営体数男女比率
男性2,88596.4%
女性1083.6%
合計2,993
農業センサス2020による

 これに対して、農業委員における女性は2名ですから、24名のうちの2名、8.3%ということになります。
 なるほど、そういうことなら、母体である農業者の女性比率より高く、妥当なところということになります。

 年齢的には、昭和20年代生まれが13人、30年代生まれ8人、40年代生まれ2人、50年代生まれ1人です。
 最若手で40代半ばということになりますが、これもまぁ、農業者の年齢構成を考えれば、こんなところでしょうか。

 利害関係を有しない人も1名含まれています。
 一応、その確認方法を尋ねたところ、その人が農地を所有しておらず、営農計画書の提出もされていないことを確認し、農業に従事していないと判断されているそうです。

認定農業者数には「ただし書き」規定がある

 認定農業者は4人。

 あれ、先ほどの法律では、過半数つまり12名以上必要では、と思うところですね。
 実は認定農業者数を規定した8条5項に「ただし」とあって、「農林水産省令で定める場合は、この限りでない」とあるのですね。

 じゃあ、農林水産省令で定める場合って、具体的に何でしょうか。

 「農業委員会等に関する法律施行規則」です。その第2条に次のようにあります。

当該農業委員会の区域内における認定農業者の数が、委員の定数に30を乗じて得た数を下回る場合において、委員の過半数を法第8条第5項各号に掲げる者又は次に掲げる者とするとき。

 丹波市の委員定数が24名。それに30をかけると、720名です。丹波市内の認定農業者の数がこれより少ない場合、認定農業者以外に「次に掲げる者」でも構わないということになっています。

 最新の「丹波市農業・農村振興基本計画」によると、丹波市内の認定農業者数は令和2年度実績で97名です。
 うーん、残念なことに、減少傾向。高齢化の影響かと思います。

 ともあれ、720名よりは少ないわけで、「ただし書き」従って、認定農業者以外の方を加えることができます。
 じゃあ、どんな人が「次に掲げる者」かというと、以下のようにあります。

  •  認定農業者等であつた者
  •  認定農業者の行う耕作又は養畜の事業に従事し、その経営に参画する当該認定農業者の親族
  •  認定就農者である個人
  •  認定就農者である法人の業務を執行する役員又は使用人
  •  農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律第二条第四項第一号ハに規定する組織の役員
  •  農業の振興に関する国又は地方公共団体の計画において位置付けられた農業者である個人であつて、当該農業委員会の区域における農業において中心的な役割を果たすことが見込まれるもの
  •  農業の振興に関する国又は地方公共団体の計画において位置付けられた農業者である法人であつて、当該農業委員会の区域における農業において中心的な役割を果たすことが見込まれるものの業務を執行する役員又は使用人
  •  農業の経営又は技術について優れた知識及び経験を有し、地域において指導的立場にある者として地方公共団体に認められた農業者
  •  基本構想における効率的かつ安定的な農業経営の指標の水準に達している者である個人
  •  基本構想水準到達者である法人の業務を執行する役員又は使用人

 今回の場合、8名が提案されていますが、うち3名が「ヘ」で、「イ」と「ホ」が2名ずつ、そして「チ」が1名です。
 これで認定農業者の4名と合わせると12名、過半数となっています。

 ちなみに丹波市の場合はここまでで選任できていますが、この規則では、こうした「次に掲げる者」をもってしても条件を満たさない場合は、過半数ではなく4分の1でもいいよと規定し、さらにそれでも厳しければ、農林水産大臣が承認したら許すよと、かなりゆるくなっています。

うひゃあ、議決に参加できない

 さてさて、以下は余談ですが、実は今回、24名の候補のうちに、わが実の弟が入っているのです。

 やりにくいなぁと思っていたのですが、地方自治法によれば、次の通り。

第117条 普通地方公共団体の議会の議長及び議員は、自己若しくは父母、祖父母、配偶者、子、孫若しくは兄弟姉妹の一身上に関する事件又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない。但し、議会の同意があつたときは、会議に出席し、発言することができる。

(地方自治法)

 兄弟姉妹に関することは議事に参与することができないとのこと。

 ということで、24名のうち、弟に関するときは採決はもちろん、質疑の間も議場から退席せねばなりません。
 議案そのものは、1名ごと別々に提案されています。

 24名を一括で質疑という予定だったのですが、ぼくがこの1件だけ退席しなくてはならないので、1件ずつ審議を分けて進めることとなりました。時間かかっちゃいますが、すみません!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください