丹波市における非課税世帯数と困窮する子育て世帯

 6月議会が始まりました。

 5月31日が初日で、この日は議案2件を即日採決しました。即日採決といっても、同じ日に委員会を開いて審議した後に本会議で採決する場合と、委員会付託を省略して本会議での質疑の後、採決する(即決)する場合があります。

 今回はいずれの議案も委員会付託を省略して即決しました。議案内容を鑑みて、本会議での質疑で十分審議できると判断してのことです。

コロナ禍に困窮する世帯を支援

議案45号 一般会計補正予算(第1号)

 歳入歳出1億8,612万円を追加する内容です。金額的には小さくありませんが、内容は新型コロナウイルス感染症対策として、次の2つの施策に取り組むものです。

  • 住民税非課税世帯等臨時特別給付金
    住民税非課税世帯等に1世帯当たり10万円を給付します。
  • 子育て世帯生活支援特別給付金
    児童扶養手当受給者等に児童一人当たり5万円を給付します。

 いずれも国の施策を受けたもので、内容も2本だけということで、本会議での質疑を経て即時採決、可決しました。

 即日に決したのは、6月内の支給に向けて迅速な事務処理を行うためです。委員会付託を経て6月議会の会期末の採決では、国が言う6月支給に間に合いませんので。

 なお、補正予算1号の可決を受けて、通常の6月議会に提出される内容を含んだ補正予算第2号が、追加提案されました。

丹波市の住民税非課税世帯は?

 ところで、住民税は通常、個人ごとに課されます。昨年6月の「市民税非課税世帯とは?-6月補正を読む-」で紹介したように、丹波市としては、住民税非課税世帯が何世帯か把握していないのが現状でした。

 しかし、当時のプログラム改修、また昨年12月に行われた国の同様の施策(住民税非課税世帯への10万円の臨時特別給付金)を受け、丹波市でも世帯としての住民税非課税世帯が把握できるようになったそうです。

 で。何世帯か。

 約6,600世帯です。全世帯数が約26,000世帯ですから、およそ4分の1の世帯が、世帯構成員全員が住民税を納めていない世帯ということになります。

 なお、今回の支給対象は、前回に支給された世帯は除外されます。従って退職などによって新たに住民税非課税世帯となった世帯750世帯と、前回未申告の世帯や今年になって転入された世帯など合計で1,000世帯を見込んでいます。

 その他、「家計急変世帯」については引き続き申告を受け付けており、予算が繰り越されていますので、今回も継続して受け付けます。

低所得の子育て世帯の生活支援に5万円

 もう一方の「子育て世帯生活支援特別給付金」は、4月分の児童扶養手当を受給している世帯に5万円を給付します。対象児童数は820人(530世帯)。
 またそれ以外で、住民税均等割が非課税の子育て世帯の児童700人(350世帯)にも給付されます。

 ちょっとややこしいかも。

 年末から年始にかけても似たような施策がありましたね。「子育て世帯への臨時特別給付金」です。児童手当を受給する人及び高校生等が対象でした。対象児童は約8,000人、高校生等が1,800人(「子育て世帯への臨時特別給付金は年内スタート」参照)。
 児童手当にも所得制限がありますが、800万円を超える高い金額なので、約1万人という未成年者の多くが支給対象になりました。

 今回は児童扶養手当の受給者が対象です。つまり、ひとり親世帯です。これに加えて住民税非課税世帯ということなので、かなり対象が絞られます。

 国の施策では「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」と説明されています。子育て支援ではなく、低所得世帯への福祉的政策です。丹波市でも名称に「生活支援」を入れてはいます。

 今回のコロナ禍対策は、物価高などの影響を受けた生活困窮への支援の色合いのものであると理解しておけばよいでしょう。

気になる子育て世帯の貧困化

 ところで。

 児童扶養手当の対象が530人(世帯)という数字が気になっています。

 最新2020年国勢調査数字からは確認できていませんが、2015年の国勢調査分析(「丹波市を取り巻く現状の整理」参照)では、母子世帯が1.4%(324世帯)、父子世帯が0.2%(37世帯)で、合計1.6%だったんですよね。

 現在が530世帯とすると、26,113世帯の2.0%。数にして169世帯増え、割合としても増えているということになります。

 それから、前回の児童手当対象児童8,000人に対する、今回の非課税世帯の対象児童が700人という数字も覚えておきたいところです(この数字には、ひとり親世帯の児童820人を含みません)。
 つまり、ひとり親世帯の児童も含むなら、およそ2割の児童が、生活が不安ななかで養育されているということになるのではないでしょうか。

 格差社会の拡大はかねて指摘されているところです。この数字から透けて見える丹波市の子育ての実態がどうなっているか。市政の課題としてとらえていきたいと思います。

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