12月議会が始まりました。
恒例の議案解説を順次公開していきます。今回は、「公平委員会」にまつわる話。
〇〇委員の報酬っていくら?
・議案76号 丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正
行政にはさまざまな「委員会」があります。「選挙管理委員会」や「農業委員会」あるいは「総合計画審議会」「男女共同参画審議会」などなど。
加えて、「こども発達支援センター嘱託医」「有害鳥獣担当専門員」のような特別な役職もありますね。
これらの報酬額を規定しているのが、「丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例」です。
農業委員なら月額として34,500円、学校医なら年額として200,000円に300円×児童生徒教職員数を加えた額など、定額で決められているものもありますが、多くは、会議1回の出席に対して報酬が定められています。
会議等に出席した場合の基本額は、「弁護士、大学教授、准教授」は1回20,000円、それ以外は日額7,000円。
会議はたいてい半日で済みますから、市民から選ばれた委員の多くは、3,500円の報酬と交通費をもらって、会議に出ていただいているわけです。
今回の改正は、これまで日額7,000円の規定しかなかった「公平委員会委員」の報酬について、「弁護士、大学教授、准教授」20,000円の規定を追加するものです。
職員さんの訴えに対応する公平委員会
なぜ今、「弁護士、大学教授、准教授」を加えることになったのでしょうか。
委員さんの任期満了に伴う追加選出が控えているからです。
この機会に、後任として弁護士さんを選出したいと。そうすることで、より高度な判断が伴うような案件の議事をスムーズに進めたい、という意向です。
公平委員会については、「公平委員会というお仕事」にまとめています。
人口15万人を境として、それより大きな自治体では「人事委員会」として設けられているのに対して、丹波市の規模だと「公平委員会」。
主な仕事は、職員の勤務条件を審査したり、職員からの苦情を処理したりというものです。
丹波市の場合、3月に定期の委員会が開かれ、新年度からの職員の勤務体制について確認されるほか、臨時の会議で、具体的な請求案件について審査と採決が行われています。
令和4年度の状況を確認すると、令和3年度から継続している3件の審査のうち、2件は裁決がおり、1件は継続審査中とのこと。この1件、令和元年から継続なので、かなり難しい案件のようですね。
複雑化する職員さんの人権環境
提案背景の説明では、近年、複雑・高度な案件が増えてきた、と聞きました。
令和4年度においては新規の受理は無いようですので、もしかすると、令和元年度からの継続案件について、弁護士さんも交えて相談したいということかもしれません。
個別案件については推測に過ぎませんが、いずれにせよ、パワーハラスメントやクレーマー対応を始め、職員の人権配慮に関し、複雑化・多様化しているのは事実。
厚生労働省の「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」にもありますが、最近「〇〇ハラスメント」が増えていますよね。
セクハラやパワハラは言葉として一般化したように思いますし、最近ではマタニティハラスメントやモラルハラスメント、カスタマーハラスメントなどもよく聞くようになりました。
加えて、アルコールハラスメントや時短ハラスメント、さらにはスメルハラスメントやエアコンハラスメントなんて言葉も。
3名の公平委員のうち一人は弁護士さんにお願いしたい、というのも分かります。たいへんな時代だと思います。
兵庫県下で見れば、30ある公平委員会のうち、半分の15に専門家が加わられているのが現状とのことです。
なお、本議案については、提案初日に所管の常任委員会に付託、審査した上で本会議に戻して委員長報告、可決しました。
それを受けて、追加の議案として、弁護士さんを任命する同意案件が提案されました。
管轄する対象は2組織に
なお、丹波市の公平委員会は、市職員だけではなく、一部事務組合の職員も管轄しています。一部事務組合と市で共同設置している形です。
一部事務組合というのは、「一部事務組合って何だ?」でまとめましたが、丹波市はこれまで「丹波少年自然の家事務組合」と「氷上多可衛生事務組合」を持っていました。
「一部事務組合の協議と議会の議決そして教育委員会の意見」で紹介したとおり、このほど、「丹波少年自然の家事務組合」が解散となります。
そこで、共同設置している公平委員会(及び情報公開審査会)から、同組合名を削除しなくてはなりません。
・議案78号 丹波市・一部事務組合公平委員会設置に関する規約の変更等に係る協議について
・議案79号 丹波市・一部事務組合情報公開審査会設置に関する規約の変更等に係る協議について
削除そのものは一部事務組合で決定されることですが、それに先立って、協議に入ることを議会が承認するよう求める議案が、やはり12月議会に提案されています。
先述したエントリーで触れたとおり、地方自治法290条に基づくものです。