丹波市営駐車場運営の現状

 丹波市内JR各駅の駅前にある市営駐車場は、指定管理者に委託して運営されています。

 駐車場で支払われる代金は指定管理者が徴収を代行されており、指定管理者ではなく市の歳入になります。

市営駐車場の料金と利用状況

 現在9カ所の駐車場がありますが、利用料はどの駐車場も1回300円、月極は柏原のみ4,000円、他は3,000円です。

 区画数は全134区画。ここ5年の利用台数を見ると、コロナ禍の2020年、2021年は落ち込み、2022年になって回復傾向です。

年度年間利用台数1区画当たり
2018年33,335249
2019年32,597243
2020年23,789178
2021年25,775192
2022年29,772222

 これを収入額で駐車場別に見てみましょう。数字は令和5年度決算分を拾いました。

柏原駅東(62区画)1,446,000
柏原駅前(24区画)2,565,600
谷川駅前(41区画)1,720,500
下滝駅前(19区画)152,700
市島駅前(20区画)353,700
丹波竹田駅前(18区画)101,400
石生駅西(70区画)2,097,300
黒井駅前(9区画)386,400
黒駅前月極(18区画)505,500
たんば鉄道の日減収分215,700
合計9,544,800円

 たんば鉄道の日減収分というのは、鉄道利用促進のために駐車場料金を無料化した日の減収分を補うものです。

 駐車場は特別会計で、企業と同じ独立採算となっています。なので、政策として行った無料化の減収分は、丹波市の一般会計から(JR福知山線複線化推進協議会を通して)補うことになります。

 また、整備費用として基金が積まれており、市営駐車場整備基金残高は約7,100万円です。

駐車場管理方法が変更される

 この駐車場利用収入を、指定管理者が希望すれば、徴収代行ではなく直接自社の収入とすることができるように、丹波市営駐車場条例が改正されます。

議案20号 丹波市営駐車場条例の一部改正

 駐車料金も指定管理者が決めていいのですが、料金設定については現在の料金が上限となります。
 条文では「別表(料金表)に定める額の範囲内において」とあります。「範囲内」という表現、別表に定める額を上限としての範囲内という意味なのですね。

 今後、事業者の公募が行われます。令和5年度までは丹波市デマンド会に委託していたのですが、さて、新しい制度で応募されるところがあるかどうか。

 今回の条例改正に先立ち、サウンディング調査を市で行っています。5者が提案されたとのことなので、これら事業者の思いを汲み取った条件で、正式な委託先の公募がかけられることになろうと思います。
 きっと、応募はあるかな。

 それでも応募事業者が無ければ、従来の形で市の収入にすることになります。

 改正後の条例には、従来型の「指定管理者が代行収受して市に納入」する場合の駐車料金を「使用料」として残し、新しく「利用料」として指定管理者が直接収入する場合の規定を入れています。

 市の収入(使用料)と指定管理者の収入(利用料)のどちらもを条文に残しているのは、条例改正後、公募を経て実際の適用は令和7年からになるので、今年度は旧来のままという運用上の理由もあるとは思います。

駐車場管理委託料の予算計上

 新しい制度に基づいて駐車料金を指定管理者の収入とする場合、市から支払われる指定管理委託料は減額されます。
 予算書で確認しましょう。

 まず令和6年度の指定管理委託料です。これは旧来の形式。
 債務負担の執行分として779万円があがっています。駐車場の管理委託は、年度の区切りで閉鎖期間が無いよう、複数年度(5年間)で債務負担行為(将来の支出についてあらかじめ議会で議決を得ておくもの)として予算計上されています。

 ただし予算書を見ると、この債務負担行為の執行額とは別に、20万円の指定管理委託料が予算化されています。
 これは昨年度もあったのですが、5年間の指定管理契約をした際には予測できなかった事情により、現行の予算枠内では管理できないといった事情から、年度ごとに上積みされているものと考えれば良いでしょう。

 たとえば電気代の高騰とか、やむを得ない事情ってありますよね。そういう事情をくんで、20万円が上乗せされると。

 一方、新制度の指定管理委託料の見込みは、令和7年度から11年度までの債務負担行為として、747万円が提案されています。
 次の年度からの話ですが、指定管理者の公募は令和6年度中に行われるわけで、その裏付けとなる予算を、今回の予算で提案されているわけです。

指定管理者の採算性は?

 旧来型と新しい型、ふたつを比べると、これまで年間約800万円だった指定管理料が、約75万円になると想定されていますね。
 市としては大きな経費減少。ただし、一方で駐車場収入は失われます。先ほど見たように年間約1,000万円。

 指定管理者の側から見ると、これまで年間800万円だけだった収入が、駐車場料金の1,000万円と市からの委託料75万円に増えると。

 ただし。管理運営に必要な経費は指定管理者が負担しなくてはなりません。
 駐車場運営経費は、令和5年度決算でいえば下記の通り。

  • 消耗品 8,412円
  • 修繕料 103,400円
  • 郵券料 6,000円
  • 保険料 10,320円
  • 保守点検委託料 264,000円
  • クラウドサービス使用料 305,627円

 合計するとおよそ70万円。

 差引すると、およそ200万円くらい、指定管理者の自由度が生まれるのではと想定されますね。
 この自由度を活かして、駐車場運営の工夫がこらされ、利用率が高まると良いですね。

中学生用の駐輪場に関する条例

 駐車場とは関係ないですが、駐輪場に関する条例改正も。

 山南中学校の開校に伴い、山南町和田地域の中学生は路線バスを利用して通学されていらっしゃるかと思います。

 それらの生徒が、バス停に自転車を停めて通学しやすいよう、冨田橋バス停付近に自転車置き場を設けるため、「丹波市営自転車駐輪場条例」を改正します。

議案19号 丹波市営自転車駐輪場条例の一部改正

 これで和田地域における駐輪場は、「丹波市営和田小学校前バス停」「丹波市営和田下町バス停」に続いて3箇所目となります。

 バスそのものは坂尻を出て山南中経由谷川駅に向かうので、冨田橋というとちょうど小野尻方面からの道路が合流する地点。そちら方面からの生徒さんが、わざわざ和田小近くまで行かなくてもすむってことになりますね。

 どのくらいの生徒数があるのかな、と思って確認しました。

 歩いてこられる生徒さんもいらっしゃるでしょうし、正確な数字ではありませんが、おおよそ毎年、5名前後。

 なんていうんだろうな、こういうのって、費用対効果という尺度ではなく、住民福祉の向上っていう、自治体本来の役割から整備するものですね。

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