太陽光発電施設の開発規制が条例化される

 年間に提案される議案は100を超えるけれど、オリジナルな条例は珍しい、という話を以前書きました。
 この条例案は、そんな珍しい中でのひとつ。太陽光発電施設の設置を規制するものです。

議案90号 丹波市太陽光発電施設と地域環境との調和に関する条例

 太陽光発電施設。再生エネルギーの普及のためには欠かせない手段である一方、景観等の問題から、設置規制を求める声もありました。

 丹波市議会でもこれまで、常任委員会等で議論となってきており、条例化が望ましいとの結論を得ました。

 丹波市の現状は、「開発指導要綱」によって指導するものとしており、1,000平方メートル以上の場合は届出を求めてきました。
 平成30年以降、毎年15件前後の申請があり、令和5年度現時点までに88件を受け付けています。

 

 とはいえ、1,000平方メートル未満で、集落内の農振除外地や土砂災害警戒区域での設置などが相次ぎ、市民の方と事業者の軋轢が生じてきた現実もありました。

 こうしたことを背景に提案されるのが今回の条例。

条例による規制の概要

 では、どのような規制でしょうか。

  1. 対象面積
    200平方メートル以上5,000平方メートル未満。発電容量にするとおよそ10キロワット以上となります。FITが適用されるもっとも小規模な事業も対象になるということですね。
  2. 禁止区域と抑制区域
    禁止区域:保安林、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、農用地区域、土砂災害特別警戒区域、鳥獣保護区、兵庫県立自然公園
    抑制区域:河川区域と河川保全区域、砂防指定地、埋蔵文化財包蔵地、道路・鉄道・住宅用地に隣接する区域のうち規則で定める区域、その他(山頂や稜線及びふもとから3分の1を超えた区域、国道や鉄道及び住宅地境界から50メートル以内、等)
  3. 近隣関係者の了解
    隣接する土地の所有者、地元自治会の住民等に対して説明し、意向を尊重し、了解を得なくてはなりません。
  4. 適正な維持管理
    適正な維持管理を行い、撤去費用を確保し、廃止の際は速やかに撤去しなくてはなりません。市は、毎年これらについて報告を求めます。
  5. 違反の場合の罰則
    適正な維持管理が行われていない場合等は、勧告及び公表を行います。勧告に従わなかったり届出をしなかったものに対しては、罰則が適用されます(5万円以下の罰金)。

再エネ特措法の改正について

 さて。

 再生可能エネルギーについては、2021年に「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」が改正されたことで、より地域配慮の方向に変わった経緯があります。
 資源エネルギー庁による「令和2年度再エネ特措法改正」を参照にそのポイントを確認しておきます。

  • FITからFIPへ
    固定価格買い取りから、市場価格に上乗せする方式となります。蓄電して価格が高い需要の多い時間帯に売電することを誘導するものです。
  • 廃棄費用の積み立て
    10~50kwでkwあたり廃棄費用は1万円と見込まれています。これをもとに積み立てを必要とするものです。買い取り事業者が源泉するかたちで積み立て、廃棄時に設置者が取り戻す運用になっています。源泉額は、発電量1kwあたりで決まっており、2012年設置の場合は1.62円等となっています(残り買取期間=源泉期間の差で額が違う)。
  • 認定失効制度
    認定を受けてから事業化まで時間を要しているものの削減を図るものです。

 いちばん心配だった廃棄時のことについては、法令で積み立て費用が義務付けられ、対処されました。

GXとの整合性は?

 ところで、FIPへの見直しから除外されるものとして、「地域活用電源」があります。

 エネルギー地産地消を進めるため、また災害時のレジリエンスのためには、小規模の自家消費が広がることが重要です。そのため、そうした要件を満たす設備は収益が安定するFITの対象とするもの。

 太陽光のうちでは、50kW未満のもので、自家消費型(30%以上)がそれにあたるそうです。
 規制の一方で、再生エネルギーを普及し、地球温暖化の防止やエネルギーの安全保障を図っていくことは重要です。

 経済産業省でも「地域に根差した再エネ導入の促進」といった資料を作成されていますが、促進すべきだが地域環境への配慮も欠かせないという、難しい話です。

 なお、今回の条例における規制対象は、「建築基準法第2条第1項に規定する建築物に設置されるものを除く」としていますので、建物や倉庫等の屋根に設置されるものは規制の対象外です。

 地域としてはGXを進めたい。そうした中で太陽光発電施設をどのように扱うか、地域なりの明確な方針が必要なところです。

全国的な傾向

 他市町の状況も見ておきましょう。

 こういうとき、頼りになるのは、地方自治研究機構の情報です。今回の条例なら「太陽光発電設備の規制に関する条例」に詳しいです。
 平成26年の由布市及び遠野市をはじめとして、これまでに265条例が確認できると。令和5年も10月時点で33条例が設置されているので、現在も引き続き、条例制定が活発に行われています。

 兵庫県については、「兵庫県太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例」が制定済み。
 対象としているのは、5,000平方メートル以上の事業区域のもの。なので、丹波市の条例ではそれより小さな面積のものを対象としています。

 ただ、兵庫県の条例では、維持管理に関連する規定がありません。平成29年と先発だったためでしょう。近年制定された条例では、丹波市の場合もそうですが、維持管理について触れているものが多いです。
 そのあたりの漏れについては気にならなくはありませんが、先に紹介したように法律で対処されたので、大丈夫かな。

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