3月議会が始まりました(その2 新条例編)

 「3月議会が始まりました(その1 豆知識編)」に続いて、3月定例会に提案されている議案の紹介です。

 以前も書きましたが、実は地方議会では、まったく新しい条例ってそうありません。国の法律改正に伴う一部改正などが多くて。

 今回は、そんな珍しい「新しい条例」を紹介する「3月議会が始まりました(その2 新条例編)」です。(以下「3月議会が始まりました(その 3生活編)」「3月議会が始まりました(その4 はたらき方改革編)」と続きます。)

丹波市らしさを盛り込んだ「男女共同参画推進条例」

 議案20号「丹波市男女共同参画推進条例」。これはほんと、まっさらに新しい条例。ある意味、貴重な一本。

 新しい条例については、提案の前に所管の常任委員会で報告があり、市民の方へのパブリックコメントなどを経て議会に提案されます。
 この条例については、常任委員会で説明を受けた際、丹波市独自の工夫を提案しました。その提案が今回反映されています。

 その工夫とは何か。

 男女共同参画という言葉なんです。
 これだけジェンダーが多様になっている中で「男女」という表現が気になったんですね。ただ「男女共同参画」という表現は国も含め広く使われており、変更が難しい。そこで、言葉そのものは残しつつ、言葉を定義する条文で配慮してはどうかと委員会で議論しました。

 その結果、今回の丹波市の条例では「男女共同参画」の定義として「すべての人が性別にかかわりなく」という表現を採用いただいています。
 他の自治体では「男女が社会の対等な構成員として」に類した表現が主流です。丹波市の先進性を見せられたかなと思います。市民の方にも、そんなこだわりを読み取っていただければ嬉しいですね。
 また、氷上回廊から多様性につなぐ前文も丹波市らしい。ぼくは好きです。

市民プラザと復興砂防公園が新しくできます

 自治体が作る独自条例として代表的なのは、施設の設置に伴う条例です。今回の議会では2件の新しい施設が提案されています。

 ひとつは議案21号「丹波市市民プラザ条例」です。ゆめタウンの2階に11月オープン予定の市民プラザの設置条例です。
 あわせて丹波市立子育て学習センターが、氷上勤労青少年ホームから市民プラザ内に移転します(議案48号)。この場合は設置条例の一部(住所表記部分)を改正する形をとります。

 もうひとつ新しくできる施設が、議案24号「丹波市立復興砂防公園条例」。こちらは市島町徳尾にできる豪雨災害からの復興を記念する公園で、新設条例です。
 巨大な砂防堰堤があるところです。模型などもあり、防災教育などに活用される予定です。設置条例には用途や禁止事項、開館時間等も記されますので、それらが適切か、条文の確認が必要です。

市の財産譲与は議決対象、しかし例外も

 廃止される施設についても紹介します。

 住民センターやスポーツ文化関連施設については、2060年までを想定範囲とし、まずは25年後の適正規模を明示した「丹波市生涯学習施設整備方針」が作られています。この中で、稼働率などをもとに適正な施設数が算出されており、過剰な場合は、適正数に調整する方針となっています。

 市島の長尾テニスコート(議案22号)は、災害で使えなくなっていました。この度、更地にしてもともと借りていた先の地元自治会に返還されます。あわせて「丹波市立スポーツ施設条例」の一部を改正して長尾テニスコートに関する部分を削除します(議案23号)。
 テニスコートはこれまで市内で21面でしたが、前述の方針では11面が適正規模とされており、氷上総合グラウンドの4面と長尾の4面は廃止対象となっていました。

 青垣住民センターの別館も廃止されます。議案25号「丹波市立住民センター条例の一部改正」です。これもまた、もともと早期廃止方針だったのですが、この度、豪雨で傷んでしまったことを機に、修繕せず取り壊すものです。

 「丹波市立農村交流施設稲土市民農園休憩施設」も廃止(議案42号)し、稲土自治会に譲渡します(議案44号)。それに伴い「丹波市立農村交流施設条例」から稲土の施設を削除(議案43号)、残る農村交流施設は笛路地区の施設だけとなりました。

 「丹波市立徳畑交流施設」も廃止(議案45号)、「丹波市交流施設条例」から削除(議案46号)。徳畑自治会に譲渡されます。
 ただ、こちらは譲渡議案が無いんです。地方自治法96条では議会の議決事項を定めています。条例を設け又は改廃することや予算を定めることなどに続き、6項目に次のように定めています。

条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払い手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること

 議決に付さないとなると、ここに言う「条例に定める場合」にあたるはずで、ではその条例はというと「丹波市財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例」です。第3条に普通財産を譲与できるケースとして、4つが定められています。
 徳畑交流施設は、現在自治会の公民館として利用されているとのこと。したがって、以下の1つ目の条件に該当するため、議決は不要というわけです。

他の地方公共団体、その他公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公益事業の用に供するため普通財産を他の地方公共団体その他公共団体又は公共的団体に譲渡するとき。

 その他、市有財産関連では、氷上の領町区自治会の公民館の用地を無償譲渡(議案27号)、ただし敷地部分は石生区が使用している状態だったため、その旧慣を廃止(議案26号)した上での譲渡です。(ちなみに旧慣っていうのはずっとそのようにしてきたという意味ですが、ぼくは議員になって初めて知りました。)
 市島の安下自治会への土地譲渡(議案28号)もあがっています。

新病院の開院に向けての準備着々

 新病院の開院に向けて、市が管理運営する施設の運営者を決める段階に来ました。いずれの施設も、隣接する病院を経営する兵庫県に指定管理を出します(議案36号「丹波市ミルネ診療所に係る指定管理者の指定」、議案37号「丹波市ミルネ訪問看護ステーションに係る指定管理者の指定」)。

 また、病院関連で必要な市道拡幅などのため、兵庫県から土地を取得します。議案38号がそれで、金額は約2億1700万円。なお、一部県の土地と市の土地を等価交換するところもあります。
 一方、兵庫県と協定を交わしていた「丹波市地域医療総合支援センター(仮称)及び丹波市立看護専門学校建設工事」については金額を変更します(議案39号)。2億5500万円ほどの減額で、変更後約29億5500万円です。

 丹波市の行政組織にも変更があります。

 健康部にあった国保・医療課が、生活環境部に移管されます。国民健康保険や国民年金、後期高齢者医療保険などを担当する部門です。健康部は7月には新しくできるミルネに移るわけですが、この部分はは本庁に統合するということですね。
 こういう組織変更は「丹波市行政組織条例」を改正する条例を定める形で行われます(議案15号)。生活環境部にはもともと戸籍係があって、「戸籍、住民基本台帳及び印鑑に関すること」を分掌していました。今回、これに国保や年金関係が加わることで、たとえば生活保護とかの申請がひとつの窓口で完結できるということになります。

 以上、「3月議会が始まりました(その1 豆知識編)」に続く「3月議会が始まりました(その2 新条例編)」でした。
 続きは「3月議会が始まりました(その3 生活編)」「3月議会が始まりました(その4 はたらき方改革編)」へどうぞ。

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