増える耕作放棄地(不作付地)の今―丹波市農業のこれから【2022年版】―

 民生産建常任委員会で、農業委員会の皆さんと懇談をしました。

 今年は例年と趣向を変え、小グループに分かれて意見交換するスタイルで行いました。3グループに分かれ、それぞれのグループに議員3名、農業委員さん3名でのディスカッション。とても濃密な対談ができました。

 今年の対談のテーマは、「非農家」です。ぼくが参加したグループでも、まず農業委員さんから、次のような投げかけがありました。

現在丹波市の世帯数は約26,000世帯。そのうち、作付計画書を出されている人を農家とカウントするなら、農家は7,600世帯。非農家が少しずつでも農業に関わってくれれば、耕作放棄地の問題が解決に向けて進展する。

耕作放棄地と不作付地

 以下、この投稿では「不作付地」と「耕作放棄地」の言葉をあえて使い分けませんが、農業統計上は別の意味になるので、念のためご紹介しておきます(農林水産省「用語の解説」参照)。

 「耕作放棄地」とは、以前耕地でありつつ、過去1年以上作物を栽培せず、今後数年の間に再び耕作の意思がない土地です。
 一方で「不作付地」とは、過去1年間まったく作付けしなかったものの、数年の間には耕作する意思のある土地です。

 どちらも過去1年間の作付けがされていないという点では同じ。耕作放棄地と不作付地で違うのは、数年の間に耕作する意思があるかどうかという見込による違いですね。
 数年、というのはおよそ3年間くらいととらえると良いです。

 意思の違いによる区分けなので、現状という点ではどちらの場合も同じです。なので、この投稿ではあえて使い分けはしません。

耕作放棄地が増えるワケ

 農業委員会の事務局から伺った資料をもとに補足しておくと、丹波市内にある農地面積は約4,550ha。不作付地(耕作放棄地)は、その15%にあたる707haとなっています。

 この不作付地が目立つのが、25a未満の農家さんです。経営面積合計382haの内、47.5%にあたる181haが不作付地。
 以前の投稿「丹波市農業の現状と課題【2021年版】」で紹介したように、丹波市内の農家さんは中間規模が減り、25a未満の小規模農家と3ha以上の大規模農家に二極化しつつあります。

 小規模農家が増えている、そこに占める不作付地は多い。
 これはどういうことでしょうか?

 おそらくは次のような現象が増えているものと想像されます。

(1)親から相続したが農業するつもりはないので手を付けていない
(2)耕作委託をしていた人が高齢化し農地を返却されたが自分ではどうしようもない

 また、同時に次のような問題も起きているようです。

(3)親から相続したが自分は都市に住んでいるので手の付けようがない

 こういう場合、田畑の持ち主の住所地は丹波市外なので、土地としては耕作が放棄された状態で市内にありつつ、市の統計上は農地が減少することになります。
 この5年で市内の農地は、4,606haから4,550haへと約56ha減少していますが、そのうち少なくない面積が、こうした「隠れ耕作放棄地」であろうと推察されます。

不作付地を農地に戻すために

 小規模の耕作放棄地が今、丹波市の農業にとって悩みの種であることを紹介しました。

 面積としては、全体の不作付地707haのうちの181haですから、それがすべてではありません。しかし、これら小規模の不作付地を活用する道を探ることは、多くの非農家の方が、少しずつ農業に関わるきっかけを考えることにつながりそうです。

 もう少しイメージを固めるために、この小規模というのがどの程度のものなのか、見ておきましょう。

 不作付地が目立つ25アール未満の農家戸数は3,520、面積は382.1ヘクタールです。1農家当たりの平均は10アール、1反(1,000平方メートル)ですね。

 趣味で手を付けるにはちょっと広いかもしれません。
 多くの小規模農家さんは、わが家の農地を守るため、この1反農地で稲作をされ、そのために自分の本業の稼ぎを農機具に投じている、という現状ではないでしょうか。

 赤字が前提となると非農家の方には参入できませんので、設備投資が必要ない作物、つまり果樹や野菜を作る、くらいの活用方法が適していそうです。

水稲と肉用牛が多い丹波市の農業産出額

 前提知識として、農業委員会事務局から資料としていただいた、丹波市の農業産出額を確認しておきましょう。他市との比較も記載されています。

 都市近郊地では野菜の出荷額がダントツで、全体の産出額を押し上げています。丹波市は水稲が主たる産業であることが目立ちます。

 ふだん意識しないのですが、「肉用牛」が産出額として案外大きい。市島地域や山南地域には大きな畜産業者さんもありますし、こうした特徴も覚えておきたいです。

 農業経営上は、水稲はもっとも機械投資がかかる作物です。その分、手間は少ない。週末に兼業で管理するにはやりやすいという面がありますね。

 一方で野菜は機械投資は少ないですが、手間がかかる。付加価値を高めるためにビニールハウスを建てるとなると、そこは投資が必要になります。

 畜産はというと、飼育施設は必要ですが、ランニングでかかるのは飼料代です。

 こうした産業構造を前提に、「有機の里」丹波市として覚えておきたいのは、畜産が循環型農業の結び目として期待できることです。
 転作田で飼料用作物を栽培し、地産地消の飼料として牛に与える。牛の排泄物は、有機センターで有機肥料とし、農地に還す。こんなサイクルを作ることができます。

非農家の参入に向けた社会環境

 非農家の方に農業に関わっていただくことで、不作付地を解消する。

 グループ討議後の全体協議の時間に、スマート農業非農家の参入意欲についての議論がありました。

 作業負担を軽減するには、自動草刈機など農業のスマート化には期待したいところです。しかし低廉な価格で提供されるかというと、1反農家には向かないかもしれません。
 共同利用などの運用ができる仕組みが必要であろうと思います。一帯の農地としてスマート農業に向いたインフラとはどのようなものか、集落等での面的な整備の考え方を整えていくことが大切かもしれません。

 一方で、働き方改革の議論の中で、副業あるいは複業を許可する企業が増えています。自然と共にある暮らし、農的な暮らしへの関心も高まっています。
 であれば、小さな農業を副業として営む、そんな働き方へのシフトが起こっても良いのではないかと思います。

 それって結局「兼業農家」のこと? と思わないでもありません。

 違うのは、兼業農家は自ら所有する農地の保全が前提ですが、働き方改革時代の副業農業は、農地を持たないビジネスパーソンの選択肢という位置づけであることです。
 といって、いわゆる家庭菜園的な趣味でもない。お小遣い程度かも知れませんが、稼ぎを得る手段です。また、いざというときは生活の安全保障にもなります(飢えることは無い)。
 こうしたことを、これからのライフスタイルとして打ち出せないでしょうか。

 これは、注目度が高まっている「半農半X」とも少し違う概念といってよいでしょう。よりビジネスパーソンに寄ったとらえ方。例えば企業の人事窓口から副業としてできる農地リストが提供される、といったイメージ。
 時代をうまくとらえて、農地活用につなげられないかと思います。

 ということで、不作付地活用についてのディスカッション、ぼくのグループから出たアイデアについては、後編「市民が農業に少しずつ関わるために」でご紹介します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください