丹波市農業の現状と課題【2021年版】

離農する中間規模の農業者

 丹波市は493平方キロメートルという広大な面積を有しますが、その75%が森林で、農地は約13%、宅地は約3%にとどまります。
 農業振興地域は約11,000ヘクタール(110平方キロメートル)、このうち現況農用地6,568ヘクタールのうち約5,000ヘクタールが農用地として指定されています。

 昭和40年代から進められている圃場整備は4,615ヘクタールで計画があり、そのうち約84%の3,875ヘクタールで整備されています。
 農地の広さでいえば0.3ヘクタール以上の区画の農地(いわゆる三反田んぼ)は3割程度。狭い農地が多いということですね。

 これを経営規模別に見た動向が以下の表です。数字は「面積ヘクタール(農家戸数)」です。

経営規模平成24年令和元年比率
25a未満375.6(3,216)387.7(3,469)103%(108%)
25a以上
50a未満
772.7(2,117)654.2(1,797)85%(85%)
50a以上
1ha未満
1,313.9(1,891)1,080.7(1,561)82%(83%)
1ha以上
3ha未満
1,185.5(800)1,015.7(654)86%(82%)
3ha以上
10ha未満
752.1(147)873.3(175)116%(119%)
10ha以上242.1(15)548.4(33)227%(220%)

 分かりますかね。25アール未満の小さな規模と3ヘクタール(3町)以上の大きな規模で増加し、中間が減っているのです。

 言い換えると、1ヘクタール前後で農業を営まれていた中間規模の方が、高齢化や農業用機械の更新負担の大きさから農業から手を引かれていっているのが現状。

 で、その人が手放した農地がどうなっているかというと、ひとつは大規模農家に集約されている。
 ただ一方で、小さな農地はさすがに手をかけられないのが現状で、387.7ヘクタールの実に8割に及ぶ319.8ヘクタールが不作付地になっています。

農業者の現状と農地の適正管理

 ここで農業委員会から提出されている「令和2年度の目標及びその達成に向けた活動計画」も参考に、これら農地管理に対する取り組みの現状をみてみましょう。

 農地の管理主体として期待されるのは、認定農業者や集落営農組織です。
 丹波市でも認定農業者150、集落営農組織110を目標に取り組みが進められてきました。

 しかし、令和2年4月1日時点では、認定農業者は111集落営農組織は65です。また、新規就農として認定された人が11人、農業参入法人数は43です。

 認定農業者自身が高齢化されたり、地域の農会等の弱体化やリーダー不足で集落営農組織が解散したり設立できなかったり。
 難しいものです。

 もう一つの、小さな面積の不作付地問題。

 こちらについては、住まいるバンクに登録された空き家とセットの場合1アール(100平方メートル、30坪)でも売買できるようにしたり、それ以外の場合でも10アールから可能にするなど、農地法で定める50アールより下限を下げる取り組みをしています。

 移住者や新規就農者が、小さく農業を始めたりできるように工夫されているわけですね。詳細は「丹波市内の農地を売買・貸借・贈与したい方へ」をご参照ください。

 現在、丹波市の農地面積5,570haのうち1,289haは集積されてきており、集積率は23.1%。利用権設定等促進事業や農地利用集積円滑化事業等の成果でしょうか。

水稲と小規模農家が過半を占める

 丹波市における農業のもう一つの特色は、水田面積です。

 令和元年度の農地面積4,551ヘクタールの作付け状況を見ると、以下の通りとなっています(二毛作があるため合計は一致しません)。
 やはり米作りが主力なのです。

  • 水稲 2,878.9ha(61%)
  • 黒大豆 82.9ha(2%)
  • 小豆 283.0ha(4%)
  •  32.0ha(1%) ※ただし山林や畑地を含めると105ha
  • その他 751.8ha(16%)
  • 不作付地 661.8ha(14%)

 上記作付地約4,500ヘクタールのうち、1ヘクタール未満の小規模農家が担っている面積が約半分を占めています。

 兼業で週末だけ農地の管理をする。そのためには手間の少ない水稲がいちばん。そうした現状を反映した数値でしょう。
 丹波市の農地はこれらの方々によって保全されている側面を忘れてはならないですね。

丹波市の農業施策の体系図

 『農業・農村振興基本計画』の中で気になったのが、アンケート調査における農業者と地域住民の「農業活性化を図る上で重要と思われる取り組み」への意識のずれでした。

 いわゆる「直売所」が重要と考える農業者は8.6%に対し地域住民は17.0%。一方で「自治会等を巻き込んだ保全活動」が重要と考える農業者は27.4%に対し地域住民は13.6%。
 当然といえばそうかも知れませんが、農家さんが地域ぐるみで農地保全活動を期待するのに対して、地域住民は冷めている。一方、直売所を期待する地域住民に対して、農家さんの意識はそれほどでもない。

 このあたり、意識をあわせていく必要も感じます。

 現状を把握したところで、「農業・農村振興基本計画」から施策の体系図を示します。

 次ページでは、この体系図を手がかりに、冒頭に紹介した個別の計画や構想などを参照しつつ、主な課題別に丹波市の農業施策の方向性をご紹介します。

「丹波市農業の現状と課題【2021年版】」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください