先のエントリ「議会や議員とは何かがようやく法律に明記される」で、議会への請願書提出、議会から国への意見書の提出がオンラインでも可能になるという話を紹介しました。
ついでに、議会そのもののオンライン開催について、整理しておきます。
基礎資料は、令和5年2月7日に総務省が出した助言通知です(「新型コロナウイルス感染症対策等に係る地方公共団体における議会の開催方法に関するQ&Aについて」)。
オンラインは「出席」にあたるか?
まず本会議について。
通知によると、地方自治法第113 条における本会議への「出席」は、現に議場にいることと解されているとして、オンライン出席は認められないとのことです。
また第116条で、議事は「出席議員の過半数」で決するとされていることから、表決はその場に出席しなくてはならないと。
そしておもしろいのですが、表決に関連する質疑や討論なども議員が議場において行わなくてはならないと考えられ、オンラインで行うことはできないとしていいます。
条文はこちら。
第113条 普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。(以下略)
地方自治法
第116条 この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
一方で。
表決に直接に関係しない、団体の事務全般について執行機関の見解をただす趣旨での「質問」については、法律の定めがありません。
いわゆる「一般質問」ですね。
なので、一般質問については、オンラインで行うことは差支えないそうです。
ただし、議場に居ないので、「欠席」には違いありません。欠席議員がオンラインで質問する、ということになります。
欠席者の発言が議事録に残ることになるのかな。ちょっと不思議な気はします。
委員会のオンライン開催
次に。
委員会については、法律で細かいきめは無く、条例で定めることになっています。
第109条 普通地方公共団体の議会は、条例で、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会を置くことができる。
(中略)
9 前各項に定めるもののほか、委員の選任その他委員会に関し必要な事項は、条例で定める。
なので、条例で定めれば、オンライン委員会を行い、出席として扱うことも可能。
丹波市議会でも、条例でオンライン委員会の開催を可能としています。
第14条の2 委員長は、重大な感染症のまん延防止措置の観点又は災害の発生等により、委員が委員会の開会場所に参集することが困難と認めるときは、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法(以下「オンラインによる方法」という。)で委員会を開くことができる。ただし、第19条第1項の秘密会は、この限りでない。
丹波市議会委員会条例
2 前項の規定により開く委員会において、オンラインによる方法で出席を希望する委員は、あらかじめ委員長に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出をして、委員会に出席した委員は、委員会に出席したものとみなして、この条例の規定を適用する。
4 オンラインによる方法での委員会の開会方法その他必要な事項は、議長が別に定める。
現時点では、コロナ禍のときのように、「密」を避ける観点から集まることができない状況を想定した規定としています。
そのため「重大な感染症のまん延防止措置の観点又は災害の発生等」と理由を絞り込んでおり、育児や介護等は理由として認めていません。
このあたりは、今後の検討課題。
なお、丹波市議会の条例の基本的な条文は、全国市議会議長会からの「オンラインの方法による委員会の開催に伴う委員会条例等の改正に関する検討結果報告」に添っています。