保育士・幼稚園教諭等処遇改善など122回議会議案総解説

 3月議会が始まりました。丹波市になって122回目の議会です。

 今回の議会における同意案件は4件。人権擁護委員の推薦です。3名が再任、1名が新任。人権擁護委員については、以前のエントリー「人権擁護委員というおしごと」にまとめていますので、ご参照ください。

 議案は全部で38件(そのうち20件は予算関係)。例によってそれぞれをご紹介します。個別に深堀りしたい議案はエントリーを分けますのでご了承ください。

保育士・幼稚園教諭等処遇改善

議案13号 丹波市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例改正

 アフタースクールでお世話いただいている職員さんの処遇改善を行うものです。

 これ、コロナウイルス感染症や少子高齢化の最前線で活躍される保育士や幼稚園教諭等の処遇を改善しようとする国の施策を受けてのものですね(内閣府「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の実施について」参照)。
 今年の2月から、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げることを目指しています。財源も国から令和3年度保育士等処遇改善臨時特例交付金が交付されます。

 この提案が関係するのは、市営のアフタースクールの職員さんです。
 その他のこども園やアフタースクールの職員さんも処遇改善の対象ですが、民間運営なので条例改正は必要なく、各法人への補助金として支給されます。
 同時提案されている補正予算に組み込まれており、2か月分で合計1,108万円です。

 今回の条例改正では「給与の調整額」という項目を設け、市長判断で、給料月額の100分の25の範囲で増減できる規定を設けて行われます。
 会計年度任用職員の給与については、給与表によって規定されています。しかし給与表を改定すると全職員さんが対象になってしまいます。

 今回は職種が限られます。従って、その特殊性を判断する条件として次の条件を記し、調整額を支給するという手法です。

職務の複雑、困難若しくは責任の度又は勤務の強度、勤務時間、勤務環境、その他の勤務条件が同じ級に属する他の職種に比して著しく特殊な職に対し適当でないと認めるとき

 この条件、他市の事例も確認しましたが、「調整額」を定義するときに用いられる一般的な表現のようですね。

指定管理者の指定

 指定管理については「指定管理者制度について考える」で紹介しました。
 今回は2件の施設について提案が出ています。

議案14号 丹波市市民プラザに係る指定管理者の指定
議案15号 丹波市立青垣パラグライダー練習場に係る指定管理者の指定

 市民プラザについては年間2,642万円の指定管理料で、4年間を見込むもの。利用者数は年間1万人程度。収入は貸館だけですので、年間数十万円で、赤字額相当を指定管理料として見込むものです。

 青垣パラグライダー練習場は、年間の利用者が約1,000人(ここ2年はコロナの影響で650人程度)ですが、1人あたり5千円程度の利用料をかけた収入と、それに応じた支出があり、毎年50万円前後の収益が出ており、指定管理料は無料です。
 こちらについては、地元で経営されているパラグライダースクールとの連携が気になっていましたが、改善されているということで安心しました。

 氷上回廊を通る風の流れのある丹波市にとって、スカイスポーツは地形を活かした地域資源と言えます。風を求めて移住される方も少なくないと聞いており、今後とも期待しています。

その他の議案

議案21号 消防団員公務災害補償条例の一部改正

 消防団員の方への公務災害補償は、団員でなくなった後も有効です。

 しかし、損害補償を受ける権利(傷病補償年金や遺族補償など)は、譲渡したり、担保に供したり、差し押さえたりすることはできません。
 これまでは「ただし書き」があり、日本政策金融公庫等への担保にはできるとされていたのですが、これを削除するものです。

 この背景には、国民年金法の一部改正があります(厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」参照)。
 年金の受給開始年齢枠が75歳まで延長されたことなどが話題でしたが、一連の改正の項目のひとつに「年金担保貸付事業等の廃止」が入っています。

 本来年金は生活保障のために支給されるものです。それが借金の返済に充てられるようなことになれば、本末転倒。
 こうした趣旨からこれまでも縮小されてきて、どうしても資金需要が必要な方には「生活福祉資金貸付制度」で対応するようにされてきました。

議案24号 青垣診療所医師確保対策就業支度金貸与条例の制定

 青垣診療所に勤務いただく医師を確保するため、無利息で1,000万円を5年間貸与するものです。勤続年数に応じて、返済の免除もあります。

 青垣診療所では、平成30年度から小児科医療が充実され、内科医さんを中心に診療体制が組まれています(詳細は丹波市「国保診療所」をご確認ください)。

 このほど、医師の募集が必要になったことに伴い、制度を創設するものです。志のある方の着任を期待します。

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