市役所窓口は無くせるか?―自治体DX―

 自治体DXと言われます。行政のデジタル化ですね。

 関連した議案をご紹介します。最後に、デジタル化と市役所窓口についての小論を付しました。

マイナンバーカードの利用促進

議案18号 丹波市印鑑条例の一部を改正

 マイナンバーカードを利用することで、印鑑証明書の取得を便利にするための改正です。
 なんかね、言葉がややこしいんです。改正条文をご紹介します。

  1. (前略)ただし、登録者が自ら電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律第22条第1項に規定する利用者証明用電子証明書が記録された行政手続きにおける法律第2条第7項に規定する個人番号カードを添えて申請したときは、印鑑登録証の提出を省略することができる。
  2. (前略)
    (1)個人番号カードを使用して、多機能端末機に暗証番号その他必要な事項を入力することによりする方法
    (2)個人番号カードを使用して、電子情報処理機構に電子署名を行うことによりする方法

 行政用語オンパレード。日常の言葉にするなら。

  1. (窓口で申請するとき)印鑑登録証じゃなくマイナンバーカードで良いよ
  2. (1)コンビニの端末で交付できるよ(これは以前より行っています)
    (2)マイナンバーカードを利用してオンラインで申請ができるよ

 印鑑登録証明書を取得するにあたり、今回新しく、マイナンバーカードによる申請と、オンラインでの申請を可能にするということです。
 「電子情報処理組織」という言葉がナゾですが、特定の組織というわけではなく、行政のシステムと利用者のパソコン等がつながった状態のネットワークのことをこのように呼称するようです。

コンビニ端末の利用促進

議案19号 丹波市手数料条例の一部を改正

 コンビニでの交付手数料を窓口より安くすることで、利用を促進していこうというものです。

事項窓口コンビニ
戸籍謄本等450円350円
印鑑証明300円200円
住民票300円200円
納税証明300円200円

 ね、100円安くなります。コンビニ端末、ぼくも利用したことがありますが、便利ですよ。高額紙幣が通らないとか、電子決済が使えないという点が不便に感じはしましたけれど、安くなるなら、使わない手はない。

 市としても支所のスリム化のため、こうした取り組みはどんどん進めなくてはね。

電子データの許可

議案22号 家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正
議案23号 特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部改正

 簡単に言えば、こども園等で作成する文書を、紙じゃなくデータでも認めるというものです。
 以前「介護現場の現代的課題と条例改正」で、介護現場での文書を電磁的記録も可能にするという話を書きました。
 同じことを、子育て関連の施設でも行うということです。

 前者は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」の改定に伴いますし、後者は「特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業並びに特定子ども・子育て支援施設等の運営に関する基準及び子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和3年内閣府令第53号)」に則したもの。

 ちなみに「家庭的保育事業」とは、3歳未満のお子様を5人以下程度の少人数で家庭的なきめ細かさの中で保育するもの(福祉医療機構「地域型保育事業(家庭的保育事業)」参照)。

 2010年から児童福祉法の保育事業の一つとして位置づけられました。当時、待機児童の解消等の役割も期待されてのことであったと記憶しています。
 認可は市で、丹波市では現在2事業所があります。

 この「家庭的保育事業」は「地域型保育事業」のひとつです。地域型保育事業には、家庭的保育事業のほかに、6~19人の小規模保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業があります(内閣府「地域型保育事業の概要」参照)。
 2つ目の議案は、こうした地域型保育事業全般と、「特定教育・保育施設」つまり丹波市の場合では「認定こども園」13園をカバーするものです。

窓口業務の改革に向けて

 窓口業務といえば。

 銀行では窓口の廃止が進んでいると聞きます。人員対応が減り、ATMに置き換わっているんですね。JRの駅も有人窓口が廃止され、みどりの券売機の高機能化で置き換えています。
 市役所の窓口も、単純業務はATM化というか無人化の方向に変わるだろうと思いますし、そうしていかなくてはならないでしょう。

 前述した印鑑登録証明であれば、コンビニ端末を操作するだけで可能ですよね。
 ところが市役所の窓口ではなぜか「交付申請書」に記入して窓口に出さなくてはならない。これ、無駄ですよね。コンビニでできているのだから、市役所窓口でも書類は不要でしょう。

 なんてことを考えていたら、北海道北見市では「かんたん証明申請」という仕組みがあると知りました。
 申請書類を書く必要なく、窓口対応してもらえるんですね。これはこれで便利。まぁ、申請書が結果的には出力されるので、もう一歩ともいえるけど。

 要するに、手続き的な単純窓口業務は無くす方向で進め、職員さんは、市民の悩みの相談を受け、その解決策を共に考えるという、本来業務に時間を使えるようにしなくてはならない。
 市役所DX、しっかり方向性を持って進めてほしいものです。

 「次のページ」に、丹波市のデジタル市役所推進方針を示します。

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