黒井城は甦るか

 写真は2019年(猪年)元旦に撮影した初日の出に照らされる猪ノ口山。三尾山頂から望んだ風景で、奥の連山の手前に頭を出しているのが猪ノ口山です。
 その山頂にあるのが、黒井城(保月城)。おそらくこの時、黒井城跡では多くの登山客が初日の出を拝まれていたことと思います。

 黒井城は赤井直正の居城です。丹波の赤鬼と呼ばれ、『甲陽軍鑑』に徳川家康、長曾我部元親と並び称されるほどの武将。悪右衛門の異名も強烈ですね。
 司馬遼太郎の短編「貂の皮」にもちょっとしたエピソードとともに描かれています。

 それにしても丹波攻めの際は明智軍をボコボコ(?)にし、けっきょく明智が丹波を制したのは直正死して後のこと。明智光秀最大のライバルともいえるでしょう。
 今でも丹波市春日町黒井は、戦国の町として貴重なただずまいを残しています。

 明智の丹波制圧後は斎藤利三が城主となり、現在の興禅寺を下館としました。
 そこで生まれたのがお福。彼女は後の徳川家光の乳母であり、大奥の礎を築いた春日の局として知られます。
 と、ここまでが基礎知識。

景観破壊(?)に騒然

 『続・日本100名城』への認定に続き、来年から放映が始まるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』は明智光秀が主人公とあって、いま黒井城跡には登城者が急増中。
 そんな登城者が目をむく構造物が突如黒井城跡に出現し、景観破壊だとにわかに注目されています。

 空撮アーティスト前田太陽さんに許可をいただいて、その様子を空撮された写真を転載します。

撮影:空撮アーティスト・前田太陽氏

 赤で囲んであるのがアルミ製の階段。なじまないのは確かです。
 もっとも、この後に述べるような事情を考えると仕方ない面があり、どう解決していくか、ぜひ皆さんで知恵を出していただきたいのです。

 設置されて1週間ほど、SNS上で「炎上」状態になっていることもあり、さっそくですが、先の総務文教常任委員会で、教育部文化財課から説明を求めました。

 文化財課でも、皆さんの残念な思いについて理解されているところです。結論的なことを先に書くならば、次の要点にまとめられます。

  • 黒井城の整備は、黒井城跡整備基本計画に基づき行っている
  • しかし近年の登城者の急増により遺構の崩壊が進み始めた
  • 貴重な遺構を未来の世代に引き継ぎたい
  • とはいえ観光資源でもあり立入禁止にすることは避けたい
  • そこで登城者の安全と遺構の保護のために仮設的に階段を設置した
  • 整備基本計画では今後石段の修復等も考えている
  • しかし調査(発掘)もこれからなので期限は現時点では分からない
  • 人工物が景観にそぐわないという意見も理解している
  • 地元はじめ皆さんと協議しつつ塗装などの対応を検討する

 いかがでしょうか。
 ぼくは尾瀬の湿原に整備された木道のことを思い出しました。貴重な自然を残すことと人が立ち入って楽しむことのバランスの中で編み出された知恵。
 黒井城跡にも、そのような知恵が求められているのだろうと思います。

 痛々しい画像だけでは寂しいので、やはり空撮アーティスト前田太陽さんによる、秋深い朝の様子をご覧いただきましょう(使用許諾をいただいたことに感謝します)。
 心を癒していただいた後で、次のページで、もう少し詳細についてご紹介しますね。(下部、1/2/3とあるページネーションをご利用ください。)

撮影:空撮アーティスト・前田太陽氏

“黒井城は甦るか” への8件のコメント

  1. たまたま、12月のはじめ、作業がはじまったころに登山しました。杭を打って、ロープを張るだけなのかな? それにしては、材料が多いな~?と何となくイヤ~な予感をもちました。丹波新聞のネットニュースを読んで、おったまげました!なるほど、ここまで工事を計画していたのか!と。正直行って、整備計画に沿って云々とありますが、ハッキリ大河ドラマえの思いが逆に出たような。大河では丹波が描かれるかどうかは未だ不明、とはいえ、黒井城、八上城などは登山者が増えているという実感があります。先般、八上城も山上の主郭部分の樹木伐採作業が行われ、眺望を確保されましたが、観光という視点から見れば道半ばでしょうか。また、黒井と八上を分断するという金山城でも山上の樹木伐採作業が地元有志の方々の頑張りで行われました。しかし、金山城の魅力である石垣が伐採された木々によって近づけなくなり、眺望だけがよくなったという結果になっています。そして、黒井城、遺構保全、安全確保などで止むを得ないのでしょうが、山城ファンの心に寄り添わない、あまりにも短絡的に過ぎる整備といわれても仕方ないでしょう。西ノ丸方面への整備であれば、よかったのですが残念と言わせていただきます。竹田城もさまざまな経緯があって、かつてのように城を歩き回ることはできなくなりました。しかし、アルミの梯子をかけてよしというようなことはやっていません。黒井城の整備やイベントなどに頑張っていらっしゃった皆さんのことを思えば、正直、複雑な気持ちです。役所が作業をした現在、もう元には戻らないのでしょうね。本当に惜しまれます。

  2. 田中さん、ご無沙汰しております。確かにすぐに撤去ということは難しいと思いますが、元に戻らないということは無く、相談の余地はあるところと考えています。ぜひみなさん一緒になって取り組んでいただきたいと思います。

    ひとつ言えるのは、あらかじめ予告し意見を聞いていたら、結果的にアルミ階段しか仕方なかったとしても、今回のような騒動にならなかったはずで、そのあたりの対話力は、丹波市当局あるいは教育委員会には欠けているとは言えるでしょうね。

    もっともそれはわれわれ議員にも言えることです。予算段階でここまで想像し、確認をして市民の方々にお伝え出来なかったのは、まだまだ足りていないと反省してもいます。

  3. この意見には、如何にも登山者が遺構を潰した様な書き方ですが、どうでしょう!雨風で崩れたのではないでしょうか。今回の工事は丹波市の中で黒井城跡の在り方を全体で考えなかった結果です。それにいくら調査しても史実に基づく復元は出来ない。と言う所から出発しないと思う。私は現状を資料に残して、これからの黒井城跡を楽しむことが出来るように考える方が良いと思います。

  4. ありがとうございます。当然ながら、風雪の影響はあるでしょう。登山者の影響の有無は事実をもとにするしかないので、ここでは留保します。念のために補足すると、ここで影響しているとしているのは、もちろん個々の登山者の行動ではなく、登山者の急増という現象です。それぞれの方にはぜひ今後とも登城をお楽しみいただければと思いますし、多くの方に360度のパノラマ雲海を体験いただきたいです。

    臼井さんのおっしゃるように、現状をいわば記録保存して、今後活用できるものとして遺構の改変を容認するというご提案は、方向性としてありうるものと思います。時代に合わせて変わっていくことこそ文化の本質というとらえ方も重要なので。ただ現状は、そこまでのコンセンサスが皆さんにあるとは言えないかなと。

    文化財は行政のものじゃなくわれわれ市民のものですので、ぜひみんなで議論して、今後の黒井城(及び城下町一帯)のあり方を共有できればと願っています。

  5. 小橋さん、ありがとうございます。色を変えるにしても、撤去は出来ないでしょうか。人1人通れるほどの、木造りの段又は階段石だけ、文化庁の許可を得て、組み直すか。取り払って、何もしない(崩落石の危険は現状では有りません)私は景観重視です。抗議のため階段は使用してません。北側からこれからは上がります。一度でも決まったら戻れない仕組みを変えるには、黒井城保護関係者の主導で、署名活動をして頂くしかないのでは。
    その方が市担当者、教育委員会の皆さんの困惑を救うのでは無いですか。民主主義は全てを救う優しさ無いと安倍型行政になります。

  6. 実際のところ、本来そのための仮設です。ただしすぐにでもというのは、正直無理かと。調査と石段の復元で十年くらいかかるのではないかとぼくは予想します。

    いっそ石段の復元はせず、恒久的に木製の階段をつけましょうという方針に転換した方が、時間的には早いかも知れません。

    取り払って何もしないというお気持ちも分かります。一方で登城者の安全や遺構の保全が重要という声もまた正論であり、何もしないというのは行政としてあり得ないかなと。特に黒井城を観光資源として活かしていこうと考えるなら、それを前提に(例えば年間十万人が登られても耐えられるように)何らかの対策が求められます。

  7. 新年に入ってまた不祥事か…。情けない。問題の職員には何人か上司がいるはず。業務が進まない、市民からのクレームたくさんあったのにほったらかしか。普通、仕事できない職員がいたら代わりの者がするでしょう。防げたはずよね。どいつもこいつも仕事してないじゃん。もしかして支払うふりして支払わず自分の懐に入れているのか。疑うよね。余罪調べたほうがよいかも。
    真面目に仕事しているのが馬鹿みたい。

  8. どうしたものかと非常に暗い気分になっています。警察の調べに移っているので詳細は分かりませんが、むしろ評判は悪くなく、何というのでしょう、周囲と潤滑に進めるために不正を重ねていたような印象です。

    個人の問題ではなく組織的問題ではないか、注視していきます。議会としても責任を感じます。

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