<病>のスペクタクル―生権力の政治学

生権力というのは、西欧の近代社会で行使されている権力を名づけた、フーコーによる造語だ。美馬達哉さんが第四章「<生>のテクノスコープ」で行っている解説を参考に、少しまとめておこう。 君主が絶対的だった封建社会では、人々は、従わなければ殺されるという「死の権力」に 続き …

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性

ネットはときに、集団行動の契機となる。ネットイナゴと呼ばれたり、フラッシュモブと呼ばれたり、呼び方はさまざま。 ブログにコメントが殺到する「炎上」も、ある団体への支援に賛同者が殺到するのも、集団行動。それは「暴走」とみられる場合もあれば、「可能性」と感じられる 続き …

子どもが忌避される時代―なぜ子どもは生まれにくくなったのか

すばらしい本だ。 そう、現代は「子どもが生まれにくくなった」時代だ。少子化対策がとられてもいる。しかしそれらがどれほど実行力を持つか。 少子化を母親の、あるいは家族の問題としてとらえる傾向がある限り、子どもが生まれにくくなった真相は見えてこない。 本田和子さん 続き …

失われた民主主義―メンバーシップからマネージメントへ

必読。 ソーシャルキャピタル、地域コミュニティといった方面に関心を持たれている方にぜひお薦めしたい。 コミュニティについて語るとき、今もっとも参照されるのはロバート・D・パットナムによる「ソーシャル・キャピタル」の考え方だろう(『孤独なボウリング―米国コミュニ 続き …