2019年度予算案を読む【2内容編】

 さて、「2019年度予算案を読む【1基礎編】」に続き、個別の内容を見ていきましょう。議会での議論ではまず歳入から入るのですが、皆さん気になる歳出を中心にします。
 一般会計規模で年間351億円ということは前回お伝えしました。

 予算ガイドでは、丹波市が新年度に取り組む10の重要施策ごとに解説されています。

事業は市の総合計画に添って行われる

 確認のため、丹波市の総合計画にあげられている6つのまちづくりの目標と今回の主要施策を照合しておきます。

(1)みんなで支え、育む生涯健康のまち
 →主要施策3)医療・保健・福祉・介護の連携
 →主要施策9)次代を担う子育て支援
(2)誰もが住みたい定住のまち
 →主要施策4)暮らしを支える都市基盤の構築
(3)あいさつでつなぐ安心して暮らせるまち
 →主要施策2)安全・安心なまちづくり
(4)美しい自然と環境を大切にする源流のまち
 →主要施策7)森林環境譲与税の活用と丹波の森づくり
(5)ふるさとに愛着と誇りをもった人づくりのまち
 →主要施策8)人材育成と交流の輪づくり
 →主要施策10)市民総がかりの教育の充実
(6)丹波力を生かした創意ある元気なまち
 →主要施策5)産業振興の強化・充実
 →主要施策6)農業の持続的発展

 総合計画のまちづくり目標に添って主要施策が組み立てられていますね。ただし、主要施策1「シティプロモーションによる地方創生」は別枠。まちづくり目標個別というより、それらを総合するような施策です。

 シティプロモーション全体については改めて別の稿「丹波市シティプロモーションが抱える課題」で触れます。

新規事業のバランスはどうか

 予算ガイドでは新規事業や拡充された事業などが分かりやすいように記されています。
 これら予算配分は適切でしょうか。新規、あるいは拡充されたものは本当に必要な事業でしょうか。

 新規の事業が多いのは「主要施策9 次代を担う子育て支援」です。ここでは6事業が新規、2事業が継続とされています。
 予算ガイドで特集として組まれているのも子育て施策です。子育て施策については、また機会をあらためて触れたいと思います。

 次に目立つのは「主要施策5 産業振興の強化・充実」です。7つの新規事業、1つの拡充事業となっています。新規事業のうち4つは黒井城跡補修工事と大河ドラマ関係。大河ドラマはこの時期だけのこと、それに乗るためには必要なことです。

 その他の主要施策についてもそれぞれ出ていますので、順次見ていきましょう。

都市基盤の整備

 まず「主要施策4 暮らしを支える都市基盤の構築」です。未来都市創造部ができて、今後20年のまちづくりビジョンが構想されている中、どのような取り組みが行われているのでしょう。

 まず前年度からの繰越1,744万円に今年度303万円を追加して、ビジョンづくりが進められています。1,744万円はコンサル会社への委託料で、なんでこんなに高いのだろうとも思いますが、他の市の基本計画的なものの場合も、こんなところが相場のようです。財源の内612万円は県の交付金、870万円は基金の取り崩しとなっています。

 公共交通の充実に関しては、公共交通バス対策事業に1億4,107万円、福知山線複線化促進対策に2,646万円です。いずれも市の独自財源で大きな予算です。
 公共交通バス対策に関しては、5,225万円は路線バス維持のためのバス会社への補助金。また、活性化協議会への負担金が5,303万円あります。これは主としてデマンド交通の運行に使われる費用です。
 その他には、新しく乗車券や定期券の購入補助が始まります。新病院ができて、新病院へのアクセス路線も充実されるだけに、利用者の増加につながってもらいたいと思います。

 福知山線の複線化に関しては、利用者向けの補助金として350万円、駅周辺の駐車場利用に関しても129万円の補助枠があります。また、市島駅及び石生駅の券売業務をシルバーさんに委託しており、それぞれに615万円の予算が確保されています。
 新規の目玉としては、これは一般会計ではなく駐車場特別会計からになりますが、駅前駐車場をICOCA対応にするために926万円が予定されています。駅の改札をICOCA対応にという声はよく聞きます。そこへの一歩となってほしいものです。
 ただ、正直複線化は、将来が見通せません。券売業務など必要な事業についての予算が大きいものの、本来的には、抜本的な考え方の転換が必要な時期かもしれません。

 公共施設の管理も都市基盤にとっては重要な課題です。
 すでに平成28年度に「公共施設等総合管理計画」が策定されているところですが、今年度は145万円をかけて「公共施設再配置基本方針」を策定し、個別施設の計画との橋渡しが予定されています。
 また、廃校については、残る遠阪小学校などの活用に向けた視察や地元協議などに97万円の予算が予定されています。
 市営住宅については8,857万円をかけて長寿命化。この長寿命化というのはキーワードですね。学校なども含めて、これまでの一般的な耐用年数を超える年数をもたせる工夫が求められています。

施設の管理などにはいくらかかっている?

 予算審議は、「総務文教分野」と「民生産建分野」の分科会に分かれて行います。ぼくは総務文教ですので、主としてそちらから、主な項目をご紹介します。

 はじめに、みなさんが利用される施設の管理にどのくらいかかっているか、ざっと見てみましょうか。
 負担金として出していたり、補助金だったり、直接経費だったりはあります。負担金、補助金と断っていないものは職員の人件費は含んでいないと考えてください。ただし、外部に出している作業員の賃金などは入ります。

  • 国際交流協会 843万円(補助金)
  • 丹波少年自然の家 10,527万円(負担金)
  • 兵庫丹波の森協会 10,648万円(負担金)
  • いきものふれあいの里 576万円
  • 丹波布伝承館 881万円
  • 図書館 3,693万円(うち書籍購入には2,000万円)
  • 歴史民俗館 1,568万円
  • 氷上総合グラウンド 761万円
  • 春日総合運動公園 2,956万円
  • 山南中央公園 890万円
  • B&G海洋センター 393万円
  • スポーツピアいちじま 1,383万円
  • 住民センターは場所によりますが、いちばん安い春日で1,000万円、高いのはライフピアいちじま2,200万円です。

その他の事業費

 その他、いくつかご紹介して、予算のご紹介を締めたいと思います。

 まず、男女共同参画推進条例ができたばかりの男女共同参画社会推進事業には532万円。印刷製本費や講師謝金などが主です。

 人口減少対策である、U・Iターン推進事業は3,771万円。定住促進住宅の工事費に500万円、関西大学連携事業に410万円、U・Iターン者向け住宅取得奨励金に500万円の他は、民間企業に事業委託するための費用が主になっています。

 今年は地方選挙の年ですね。選挙にはどのくらいかかるのでしょうか。

 7月に予定される参議院選挙には3,464万円が予定されています。もっとも、その費用の全額について、国から入ってきます。
 また、4月の県議会選挙は1,700万円。ただし3月末から選挙期間に入っていますので、これは新年度分のみ。

 国の方で話題の統計問題。
 丹波市の統計調査費は1,668万円。国や県からお金が入ってきて、工業統計や経済センサス調査などを行います。

 学校給食には7億円かかっています。こうしてみると結構な額ですね。そのうち保護者の方に給食費として負担いただくのは2億7,200万円と予定されています。

 以上、「2019年度予算案を読む【2内容編】」でした。基礎的知識については、「2019年度予算案を読む【1基礎編】」をどうぞ!

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