不確実な未来に向けて「質問」をする

新任議員研修2日目での学び、第2弾として、議会での発言、特に「質問」について触れます。

議員の議会での発言の種類は限られています。「質疑」「質問」「討論」「提案理由説明」「動議の提出」「議事進行上の発言」「一身上の弁明」などです。
本会議の会期が30日とすると、およそ次のような流れになります。

  • 初日 議案提案
  • 数日後 質疑通告締切
  • 1週間後 本会議での質疑→議案を委員会に付託
  • 最終日近く 討論通告締切
  • 最終日 委員会審査報告→討論→採決

ちなみに討論っていうのは、賛成、反対それぞれの立場に立って最終的に論を述べることを言います。

さて、実は上記の流れのほかに、これは重要だと思うものに「質問」があります。特に「一般質問」というのは、議員としての公約を市政に反映させる重要な機会と考えています。
「質疑」と「質問」、似た言葉なのでぼくも研修中に質問してしまったのですが、「質疑」が前述の通り、提案に対する疑問を質すものに対して、「質問」は、会期前に通告締切があって、会期中、およそ3週目の終わり頃に行われるものです。議案と離れて自分なりの問題意識を市政に対して投げかけることができるわけですね。提案型の政治を行うにあたって、これを利用しない手はない、と思う次第です。

一般質問については、丹波市の場合、1人あたりの持ち時間が60分と制限されています。最近は一問一答形式がほとんどなので、最初の発言こそ例えば3つの質問事項を一気に述べ、回答も3つを一気に受けるわけですが、以降は1つの項目ごとに掘り下げて再質問していくことができます。
60分というのは回答時間も含めてですので、当局が回答に時間がかかったら困るなぁと思ったりするわけですが、がまんするしかないようです。

いずれにせよ、一般質問を有効に活用するには、論点を明確にし、印象ではなく事実に基づく議論になるよう下調べを行い、再質問も方向性を明確にして筋を逸れないようにし、よりよい市政に向けて議論を深められるよう、工夫しなくてはなりませんね。
議会事務局からは一般質問の参考資料として、『地方議会人』という研修誌の連載の抜粋を配布いただきました。その中に、かつてポストモダン思想を読み込んだ身としてはとても共感できる一節があったので、最後に紹介します。

<政策・制度>は現在の課題をこえた未来をつくるための手法で、未来は不確実なのだから、「正しい解答」は誰にもわからない。
政策に「正解」はないが、だからといってその課題を放っておくわけにはいかない。だから、「わたしたちなりの答え」を一定の手続きによって確定していく。

このことをわきまえておくことは、議員として非常に重要なことであると思います。

丹波市の未来を創るために確実な「正解」なんてありません。謙虚にそれをわきまえておく。だからこそ20人の議員が必死になって知恵を交換し、首長と議論し、少しでも「正しいらしい答え/わたしたちなりの答え」を導いていく。この不断の努力こそ、議会の本質なのでしょう。
「答え」は、ある人にとっては利益でありつつ、ある人にとっては不利益になる場合があります。そのために議会は、できうる限り多様な考え方を俎上にのせ、意思決定過程を明らかにし、不利益となるだろう人の立場も十分に検討されたと納得してもらわなくてはならない。
議論のプロセスを住民と共有し、共に答えを見出していく。議員一人だけでなく、すべての議員、すべての住民と作り上げていくのが、議会という会議の場なのですね。
初議会が楽しみになってきました。

 

質問通告書
上の写真は、一般質問の通告書の一部です。丹波市市議会会議則の定めにより、質問をしたい場合は、あらかじめ決められた日時までに議長宛に通告しなくてはなりません。締切を1秒でも過ぎると許されません。質疑や討論においても同様です。

「不確実な未来に向けて「質問」をする」への4件のフィードバック

  1. 小橋さん、貴方はやはり、凄い!
    貴方の判断、いいね!を越している。
    初心忘れず、流されず、頑張って下さい。

  2. ご返事が遅くなって申し訳ありません。いつまでも、この気持ちを忘れないよう、がんばります。ありがとうございます!

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