園バスの安全、社会的事件から自治体の対応への道

 昨年、通園バス内で取り残された園児が死亡するという、やりきれない事故がありました。社会的にも大きな話題になり、園での対応が求められたところです。

 国でも省令の見直しが行われ、これを受けた条例改正が行われます。社会的に注目を集めた事件が、国を、そして地域の現場を動かした事例と言えます。

議案23号 児童福祉施設等の設備及び運営に関する基準の見直しに伴う関係条例の整備

 令和4年末、厚生労働省から2つの「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令」(159号175号)が発表されました。
 いずれも4月1日施行で、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」を改正するものです。

国で行われた改正のポイント

 省令の改正により、具体的に追加される安全対策は次のようなものです。

 まず、159号の省令に記されている改正が、以下のポイント。

  • 安全計画を策定することを義務化(6条)
  • 業務継続計画を策定することを努力義務に(9条)
  • 感染症及び食中毒の予防及びまん延防止のための研修や訓練の努力義務(10条)

 そして175号での改正は、まさに通園バス事故を防ぐためのもので、以下の2点です。

  • 乗降時に点呼すること
  • ブザー等見落としを防止する装置を装備すること

 これを受けて、丹波市の「丹波市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例」及び「丹波市アフタースクールの設備及び運営に関する基準を定める条例」の改正を行うのが、冒頭で紹介した条例改正です。

 条例改正と並行して、この3月に上程されている補正予算で、幼児や児童が利用するバスへの安全装置を取り付ける補助を行う対応をしています。

インクルーシブ保育に関する規制緩和

 省令159号では、併せて、たとえば保育所に児童発達支援施設を併設している場合、これまでは完全に分けなくてはいけなかった職員(保育士)を、両者を兼ねることができるよう、規制緩和が行われています。

 これに対応した条例改正も行われます。現在の条文は以下の通りです。

(他の社会福祉施設等を併せて設置するときの設備及び職員の基準)
第11条 事業所等は、他の社会福祉施設等を併せて設置するときは、必要に応じ当該事業所等の設備及び職員の一部を併せて設置する他の社会福祉施設等の設備及び職員に兼ねることができる。ただし、保育室及び各事業所に特有の設備並びに利用乳幼児の保育に直接従事する職員については、この限りでない。

 改正案では、「その行う保育に支障がない場合に限り」という前提条件を加えた上で、現在の条文から、上記で下線を引いた部分を削除することとなっています。

 通常保育を行っている保育園が、発達障害のある子どものための保育を並行して行っている場合、これまでは「ただし書き」による限定があったため、別々の職員を充てなくてはなりませんでした。
 この限定を「保育に支障が無い場合」は外す。つまり、同じ職員が、通常の保育と発達障害のクラスを併せてみることができるようになるということです。

 なお、今回の規制緩和の対象は「家庭的保育」事業者です。丹波市内では2カ所で、どちらも現状は発達障害のクラスは持たれていません。従って丹波市における現実的な効果はありません。

 今回は、そんなこともあって、これ以上踏み込みませんが、インクルーシブ保育という考え方は、包摂型の社会を目指すこれからの時代にあって重要な概念です。
 別の機会にまとめたいと思っています。

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