応能と応益
前掲の税額一覧表。所得割を何パーセントにするか、均等割や平等割の額をどうするかは、兵庫県から示された標準表を参考にしつつも、市が決めることになります。
毎年「国民健康保険運営協議会」が開催され、そこからの答申を得て議案が作られます。
今年の場合、協議会で次の方針が示されました。
- 医療給付費分
所得割 0.5ポイント軽減 - 後期支援分
均等割 400円増
平等割 300円増
この結果、応能応益割合が、どちらについても、前年度の52:48から50:50となりました。医療給付費分は所得割を下げることで、後期支援分は応益割をあげることで実現したわけですね。
応能というのは、支払える能力に応じた部分ということで、所得割がそれにあたります。上限はあるのですが、所得が増えるほど支払額(保険税額)は大きくなります。
応益というのは、受益者が平等に負担する部分で、均等割と平等割がそれにあたります。定額ですが、低所得者に対しては、所得に応じてそれぞれ7割、5割、2割の軽減措置があります。
次のような状況ですね(水色の部分が減額分)。
国保税の検討にあたっては、応益分の7割と5割、5割と2割の境界線(所得額)の位置や、応能分が限度額に達する位置などの変更を通して、低所得者への支援策を厚くする(境界線の位置を右にずらす)などの改正が行われたりします。
今回、前述した未就学児の均等割の半額というのは、上図でいえば、たとえば7割減の下に残っている3割分を、未就学児については半分(1.5割)にするということです。
応能応益割合を考える
実は、兵庫県から示されている標準税率は、以下の通りです。
区分 | 医療給付費分 | 後期高齢者支援金分 | 介護納付金分 |
所得割 | 7.00% (8.00%) | 2.67% (2.55%) | 2.63% (2.75%) |
均等割 | 30,238円 (27,100円) | 11,184円 (8,500円) | 13,550円 (11,800円) |
平等割 | 19,685円 (20,600円) | 7,281円 (6,500円) | 6,728円 (6,100円) |
応能応益負担 | 45:55 | 45:55 | 46:54 |
応能応益割合の目標値は、医療給付費、後期支援分とも45:55です。
これは、平均を50:50と考えて、被保険者の平均所得が高いところは所得に応じて支払う応能部分も多めに、低いところは少なめにという考え方からきています。
丹波市の平均所得は県平均より低いので、応能が占める割合も少なくする。これが県が示す標準税率の考え方です。
具体的には全国平均を1とすれば、丹波市の所得水準は0.89だそうで。さらに、令和4年度は年金所得で1%、給与所得で5.1%減少する予測で計算したから、さらに所得水準は低くなる(給与所得が5.1%も少なくなるって、雇用環境をそれほど厳しく見積もっているってことですね)。
ただ、そうするとどうなるでしょう。
応能応益の割合が45:55。これだと、応益にあたる均等割・平等割部分が高くなりすぎて、世帯人員の多いところは大幅に国保税が増えてしまう。
そうしたわけで、丹波市は、標準が示すよりも所得割の比率を高くしています。
それにしても。
そもそも被保険者が負担すべき総額はどのように決まっているのでしょう?
「国民健康保険税の決まり方と財政」で踏み込みます。