グリーン&DX、そしてふるさと移住
今回の予算の基本姿勢というのがこれです。3つ。引用します。
- 丹波市ならではのグリーン成長をめざす
市民総がかりでごみの減量化や環境美化に取り組みながら地域で環境や経済の循環(ローカルSDGs)の構築をめざします。 - デジタル技術による市民サービスの向上をめざす
人工減少かにおいてもデジタル技術を利用して市内どこにいても利便性の高い市民サービスの向上と効率的な行政運営をめざします。 - ふるさと移住の促進をめざす
それぞれのライフステージに合わせ、丹波市のくらしを選んでもらえるような移住環境をめざします。
アメリカ大統領選のテーマにもなったグリーン&DX(デジタルトランスフォーメーション)、これは欠かせません。
グリーン成長ではローカルSDGsをうたっています。「SDGsのある丹波市の未来」に記したように、以前からSDGsに取り組む重要性を提言してきたので、この言葉が丹波市役所で定着してきたことを嬉しく思っています。
ただ、SDGsってそもそも「誰ひとりとり残さない」という、市民に寄り添う姿勢が基本。あえて「ローカル」とつけているのは環境省の用語のようですが、矮小化されないか気がかり。
デジタル技術については、市民サービスの向上という基本から描かれているのは良いですね。役所のデジタル化ということでは、副区長の推進力でデジタル化を進めている渋谷区役所が有名です。
同副区長による「都市に求められるデジタル・レジリエンス」における紹介を参照してもらうと良いですが、「誰もこない庁舎を目指す」というのもキャッチ―な目標ですね。
丹波市の場合も、究極はこれだと思います。誰も庁舎に来なくて良いようにする。結果として、新庁舎建設は不要だし、支所も廃止できる。そうして市の財産を減らしていくことが重要です。
ふるさと移住というのも重要な視点です。おそらくは新規移住だけじゃなく、「帰ってきたい」という人を増やすことを意識した柱と思います。
そのために「ふるさと定住促進課」を設置して取り組むと言います。実は課題としては広くて、まず今いる自分たちがまちに誇りを持たないと「帰ってこい」とは言えません。その上で、実際に若い人たちが「帰ってきたい」と思える雇用や子育て環境があるかどうか。
3つの姿勢それぞれについて、もう少し詳しくみます。
ゴミ減量がグリーン戦略の柱?
グリーン成長では次の4つの柱があげられています。
- 環境基本計画の中間見直し
丹波市の第2次環境基本計画は、平成29年度から令和8年度までの10カ年の計画です。その中間となる令和4年度を前に、後半の5年間を見通した見直しをかけようとするものです(612万円)。 - 太陽光規制の研究
太陽光発電施設の乱開発を防ぐ。必要なことですが、これまで丹波市では「開発指導要綱」によって規制してきました。面積基準が適切か、条例化の必要があるかどうか。研究するとのこと。 - 森林環境譲与税の活用
針葉樹が植えられたまま未整備の森林がありますよね。これを光が届く程度に伐採し(環境機能増進伐というそうです)、跡地に広葉樹を植えることで中長期的に混交林化をめざす事業(1,092万円)が新規に始まります。森林環境譲与税は、ほかに統合山南中学校の木質化などにも利用されます。丹波市に入る森林環境譲与税は、新年度予算で7,399万円を見込んでいます。 - ゴミの減量化
新市長目玉公約のひとつに関係するものです。ゴミ袋の開封調査など予定されています(280万円)。これについては以前「みんなでゴミ袋半額化を目指そう!」で考え方を述べましたが、あらためて別のエントリーでまとめます。
ちょっとね、グリーン成長というには小粒、というか成長戦略になっていない。
丹波市といえば有機の里。今回の予算でも「有機センター整備(8,185万円)」として発酵設備を更新し、良質な堆肥を提供できるように取り組まれます。
道の駅丹波おばあちゃんの里整備でもオーガニックコーナーの充実が図られると聞いています。こうした事業をうまく連携させ、オーガニックを基盤にしたグリーン成長を目指すくらいのことを考えてしかるべきではないでしょうか。
進むのか? デジタル市役所
柱のふたつめのデジタルトランスフォーメーション(DX)。項目としては以下の4つがあがっています。こちらも大きな絵が欲しいところ。
- マイナンバーカードの普及
普及専門員を配置(244万円)。申請時に確認することで交付は来庁せず書留で送る流れに。また、企業等での一括受付も。仕組みとしてはこれまでの住民票に加え、戸籍もコンビニで交付できるようになります(1,953万円)。ぼくとしては、丹波市が全国に先駆けて導入した予防接種実施判定システムの更新(2,420万円)に合わせて連携し、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種でも利用できるくらいにしてほしかったですが。国の動きもあるので難しいのでしょうか。 - ICT支援員の配置
学校関連ではICT支援員を増員するほか、モバイルルーターの貸与(275万円)やタブレットドリルの導入(536万円)などが進みます。個人的にお薦めはスクールライフノートの導入(882万円)です。デジタル端末を学習の道具としてだけではなく、いじめの兆候や悩みをつかむのに利用できるようにしていくのがこれから大切だと思っていて、その一歩と期待しています。 - 行政手続きのオンライン化
- RPA・AI・OCRの活用
RPA(定型業務の自動化)やAI-OCR(AIによる書類読み取り)の導入、職員用PCの通信機能整備などに1,392万円。正直、何から手を付けたものか迷われている様子です。ICTアドバイザー業務の委託料(524万円)も見込まれているようなので、そのあたり整理されていくと良いですが、戦略的な考え方を導入できるかどうか。いわゆるCIO(情報統括官)的な立場の人が必要ではないでしょうか。
期待したい子育て施策
ふるさと移住では、以下の4つの柱があがっています。
- ふるさと定住促進課の設置
定住関連の部署を総合政策関連の部に移すとのこと。総合戦略との関係も深いし、それはそれで良いかなと。実は定住関連の部署は、最初は地域づくり、次に住まいと合わせて建設部に、そして今回総合政策に移りました。 - 活躍人口の受け皿となる地域づくり
予算項目にこれといったものは見受けられません。ぼくとしてはシビックプライドの醸成が重要と思うのですね。その柱に期待するのが「氷上回廊水分れミュージアム運営 2,145万円」です。これに、いきものふれあいの里で高校生が連携する「博学連携事業 41万円」や前に紹介した森林環境譲与税活用事業、バイオマスの普及を目指す「新・省エネルギー普及事業(1,508万円)」などを組み合わせ、水源と丹波の森を擁するふるさととして市民の誇りを育む。水と森に根差した地域づくりが進むといいなぁと思っています。 - 関係を深めるふるさと住民登録制度
登録1年目の人にプレゼント(191万円)。まぁ、それはいいけど、どう活かしていくか。 - ハッピーバース、病児保育などの子育て支援
妊娠確定前診察費助成(400万円)、ハッピーバース事業(1,241万円)、病児保育室(1,228万円)など、子育て関連は現場の知恵が素晴らしい。今後に期待したいです。子育て支援については、民生産建常任委員会での継続審査案件になっているので、またあらためてまとめますね。
令和3年度の予算については、ざっとこんなところです。
姿勢は良いのだから、どこを目指して走るのかゴールを定め、コースや戦略を見極た上で、心をあわせて向かっていただきたいと思います。