水道法が改正されて、上水道の管轄が厚生労働省から国土交通省に変わりました。
なので、条例の方でも、厚生労働大臣に届けるとしていたものを国土交通大臣に変更する必要があると。
・議案31号 丹波市水道事業給水条例及び丹波市水道事業敷設工事監督者の配置基準及び資格基準並びに水道技術管理者の資格基準に関する条例の一部改正
水道関連の条例にある主務大臣を「厚生労働大臣」から「国土交通大臣」に変更するものですね。
改正としては単純なものですが、背景が気になって。
水道をめぐる縄張り争い
実はこれまでも「下水道」は、国土交通省(かつては建設省)の管轄でした。
これに対して、上水道は厚生労働省(かつては厚生省)が管轄していた。
イメージとして、道路などのインフラ的なものは建設省と考えると、上水道も下水道と同じく建設省で良さそうなものですよね。
ただ、歴史的に見ると、上下水道は公衆衛生の向上のために整備されてきました。
公衆衛生といえば厚生省の役割。
ということで、飲み水に関連する上水道はもちろん、下水道でも最終の下水処分を扱う部分は、厚生省が譲らなかったという事情があったようです。
ま、縄張り争いですね。後には工業用水は経済産業省(当時は通産省)が出っ張ってきたというから、まったく官僚って(笑)。
新型コロナが隠れた要因
こうして複雑化していた上下水道関係の権益を、国土交通省に統一する。
すなわち、上水道も下水道も、インフラとしてみていくということになります。
ただし、水質等は環境省と連携する形になります。
実はこの機構改革、新型コロナウイルス感染症対策への反省を踏まえた今後の危機対応の中で生まれたものだそうです。
官邸から発表されている「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取り組みを踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策(概要)」から引用します。
- 厚生労働省における平時からの感染症対応能力を強化するため、健康局に「感染症対策部(仮称)」を設置し、(中略)平時からの感染症危機への対応準備に係る企画立案や、感染症法等に係る業務を行う。
- 上記の感染症対応能力の強化とあわせて、厚生労働省から、食品衛生基準行政を消費者庁へ、水道整備・管理行政を国土交通省(水質基準の策定等については環境省)へ移管する。
そういえば一時、感染症対策センター的な機能が政府に必要っていう議論ががあったっけ。その機能を厚生労働省にあげるから、水道権益は手放しなさいと。
ま、そんなとこかな。
もっと詳しく知りたい方は、「水道行政、約60年ぶりの機構改革、国土交通省に一元化-新型コロナ問題が飛び火、通常国会で法改正へ」に丁寧な解説があるのでご覧ください。
市の審議会も上下水道を一体化
上下水道事業の料金等を審議する委員会が新たに設置されます。
・議案30号 丹波市上下水道事業運営審議会の設置
附則で「丹波市下水道事業運営審議会の設置に関する条例」が廃止されるように、これまで下水道のみを対象とした審議会はありました。
これに対して、上下水道を一体的に審議できるようにと、今回新たに設置されます。
設置条例では所掌事務や組織等について定められており、委員報酬は「丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例」の中に追記されます(大学教授等なら20,000円、その他は日額7,000円)。
審議内容は次の通り。
- 上下水道事業に係る計画の策定等に関すること。
- 水道料金及び下水道使用料に関すること。
- 水道事業に係る加入金並びに下水道事業に係る受益者負担金及び分担金に関すること。
- その他管理者が必要と認める事項
上述した上水道を国土交通省に一体化することに合わせた体制変更と考えれば良いでしょう。
進む下水処理施設の統合
農業集落排水施設として整備された市島の「川東」と「美和西」を廃止し、特定環境保全公共下水道の竹田処理区及び吉見処理区に統合します。
・議案32号 丹波市コミュニティ・プラント及び農業集落排水処理施設条例の一部改正
「同じようで違う下水処理施設―及び規則と規程ってどうちがう?―」で紹介したことがあります。
下水処理施設では、農林水産省が出っ張っている。省益確保をめぐる闘いってきっとあるんだろうなぁ。
一地方議員には想像するほかありませんけれどもね。
なお、市島については、最終的に2つだけになる予定で、前山と鴨庄も今後統合予定です。