昭和54に年設立された、青垣にある「丹波少年自然の家」。自然学校などで利用した思い出のある方も多いのではないでしょうか。
アイキャッチの写真は、その昔、東京のホームワーカーズコミュニティさんにテレワーク体験をしていただいたときにレポートいただいた内容から(出典:「丹波少年自然の家でテレワーク?」)。そう、当時はゲストハウスも少なく、丹波少年自然の家に宿泊いただいたのですよね。
ソフトバンクさんと行ったインターンシップでも会場になるなど、いざというときにお役立ちでした。
構成市町脱退に伴う協議
丹波少年自然の家の運営母体は、丹波市も構成員の一員である一部事務組合「丹波少年自然の家事務組合」です。一部事務組合とは何かについては、「一部事務組合ってなんだ?」をご参照ください。
■議案87号 丹波少年自然の家事務組合規約の変更に係る協議
この組合からこのほど、尼崎市が脱退することになりました。規約を変更する協議に入りたいので、議決を求めるという議案です。
一部事務組合のこれまでの構成市町は次の通りです。
- 尼崎市
- 西宮市
- 芦屋市
- 伊丹市
- 宝塚市
- 川西市
- 三田市
- 猪名川町
- 丹波市
- 丹波篠山市
一部事務組合については地方自治法に規定があり、脱退については次のように定められています。
第286条の2 (前略)構成団体は、その議会の議決を経て、脱退する日の2年前までに他の全ての構成団体に書面で予告をすることにより、一部事務組合から脱退することができる。
これに基づき、尼崎市議会では令和3年2月に議案が提出され、翌3月、書面で予告が各構成団体に送付されました。
そして2年が経つ令和5年3月に脱退されるというわけです。従って、規約改正の施行日は令和5年4月1日と計画されています。
脱退に至る背景
ここに至る背景については、尼崎市で動きのあった令和3年の2月に丹波市議会でも報告がありました。
尼崎市さんでは、同様の施設として「美方高原自然の家」を直営で持たれています。その老朽化に伴う施設改修費がかさむことが見込まれていました。
そうした中、外部監査からは、平成26年度以降、「丹波少年自然の家」負担金の負担率と利用者数の費用対効果がかい離していると指摘されてきたそうです。
児童数が減少し、今後は直営の施設だけで市内全小学校の受入が可能と見込まれ、また提供プログラムも直営の方が市の趣旨に合っているなか、2つの施設に対して投資を続けるのは財政的に困難といった判断から、脱退を決断されたとのことです。
丹波少年自然の家の運営費は、主に次の3つの費目別に負担割合が決まっています。
- 借地料
丹波市100分の80、丹波篠山市100分の20 - 建設費(起債の元利償還金)
丹波市及び丹波篠山市以外の市町が100分の100
そのうち均等割分は1割、残り9割を人口割で按分 - 管理運営費
丹波市100分の7、丹波篠山市100分の3
残りの市町で100分の9は均等割、あとの100分の81は人口割で按分
令和3年度決算で言えば丹波市の負担金は約1,046万円でしたから、人口が多いところの負担はずいぶんであったとは思います。
丹波少年自然の家利用の現状
令和元年度の丹波少年自然の家の利用実績は、117校10,186人です。1校当たり平均90人程度の規模ということになります。
利用内容は、4泊5日の自然学校での利用です。正規職員は8名。
仮に丹波少年自然の家が無くなってしまうとどうなるのでしょうか。
兵庫県内の自然学校受入公共施設数は、国立淡路少年交流の家、兵庫県立嬉野台生涯教育センター、兵庫県立南但馬自然学校など全部で14施設あります。
これら14施設の空き枠は90枠程度で、117校を受け容れる余裕は現状ではありません。従って、自然学校の受入について、時期をずらすなど調整が必要になります。
一方、今後については児童数は減少していきます。
仮に尼崎が脱退すると、117校だった利用校は108校に減り、それら108校の児童数は9,386人です。
小学5年生の宿泊推移として、今後の予測をみてみましょう。
令和元年度宿泊実績は延べ17,210人、売上は3,550万円。
これが令和10年に、宿泊は14,500人、売上は3,030万円まで減少する予測です。
こうした厳しい状況をもとにしつつ、議論が続いていましたが、どうやら解散やむなしの方向で、現在事後処理が相談されている現状のようです。
ようですっていうのは、議会へはまだ正式な報告が無いような気が。でも、先日の地方紙に、2023年末をもって解散、来年7月以降は受け入れを中止とありましたね。
ていねいな説明が欲しいところですが。