「9月になると基金が積み立てられるのはなぜ?-補正予算を読む-」として紹介した今回の補正予算、審議過程で気になることがあったのでメモしておきます。
「桜づつみ公園」関連予算の削減です。
ウッドショックの影響による事業の延期
この事業は、氷上桜づつみ公園の丘の上にある展望台が古びてきたので改修するというもので、当初予算で500万円が計上されていました。
これを取りやめることとし、今回の補正予算で出されているのが次の内容です。
- 地方債で「桜づづみ公園管理事業(一般単独・合併特例債)」470万円を廃止
- 歳入で兵庫県からの「ひょうご地域創生交付金」85万円を減額
- 歳出の土木費で「桜づつみ公園」の工事費500万円を減額
地方債と兵庫県からの交付金の合計が555万円。工事費との差額55万円は公園の管理費に充当する分です。歳入は削減するものの管理は必要なので、この分だけ一般会計から持ち出すことになります。
国庫措置のある地方債や県からの交付金が無くなり市独自財源になるので、額としては小さいものの、財源としては不利です。
予算削減の理由は、いわゆる「ウッドショック」の影響と言います。木材需給のひっ迫で輸入材が高騰し、あわせて国産材が高くなるという現象ですね。
見積もってみると900万円と予算の1.8倍に。価格が落ち着くまで見合わせることにしたとのことです。
そんなものかなぁと思っていたのですが、委員会で他の議員さんからの質疑を聴いていて、ぼくの中にも「ちょっと待って」という思いが芽生えてきました。
なぜこの時期の事業中止か?
その議員さんの質疑は、材料費が高いといっても地元からの調達であり、一定の金額で落ち着くのをみて、経済を回す意味で予算を増額することを検討しても良かったのではないかとの主旨でした。
なるほど、丹波市では「丹(まごころ)の木づかい推進プラン」として地元産材による木造化、木質化を推進しているところです。
そうした考え方も重要です。
また、見積もりを取ってみたら900万円だったとのこと。
いくら木材が高くなるといっても材料費部分の話だし、全体の工事費が1.8倍になるってそもそも予算時の見通しが甘かったのでは? 展望台修繕に900万円って高すぎない? とか疑問も出てきます。
その上で、ぼくの中でより大きな疑問がもくもくと。
なぜ9月のこの時期に「今年度は中止」という判断をしたのだろう?
というのはこの事業、「子育て支援」として行う丹波市の重要プロジェクトのひとつなのです。
ビジョン無き補正は市の未来を誤らせる
国の地方創生に合わせて丹波市が立てている「丹(まごころ)の里創生総合戦略」があります。子育て世帯を増やすことを大きな目標としており、3つの主要プロジェクトを走らせています。
- 地域とともに出産や成長を喜ぶ仕組みや産前産後のサポートの充実
- 子育て世代のニーズに適う公園の整備に向けた公園整備方針の策定
- 仕事と子育ての両立を応援する取り組みの検討(病児保育のあり方)
この二つ目のプロジェクトに今年度含まれるのが、「氷上さくら公園の展望台改修」「道の駅丹波おばあちゃんの里の遊具設置」「山南中央公園の基本計画策定」「三ツ塚児童公園の遊具修繕」です。
先に総務文教常任委員会で報告されたところによると、創生総合戦略を議論いただいている民間委員さんからも、公園整備計画は好評でした。
こうした重要プロジェクトに対して、9月の段階で安易に中止する。
その結果、現在のようにトラロープで立入を制限した状態がさらに1年は続くことになります(キャッチ画像参照、撮影:Mr.Kiichiro Ohta)。
お子様を遊ばせたい家族にとって、それがどれほど残念なことでしょう。
市況の高いときに手を出さないという賢さは、予算管理上必要です。しかし今しばらく様子を見、年度末の段階で着手が遅れれば、年度をまたぎ繰越明許費であげても良かったのではないか。
そうしたことをせず、はやくも「中止」と決めてしまう。
この補正への対応に、市の子育て施策への本気度(の低さ)が表れているのではないか。来年度検討するとの言葉を聞いて賛成はしましたが、ビジョンの無いことと感じました。
ため池整備への地元負担が減りました
その他、先のエントリーで「確認します」と述べていた事項について。
まず「医療支援型グループホーム」ですが、想像していた通り、医師が常駐するグループホームとのことです。
人工呼吸器が欠かせず常時サポートな必要な方、たとえばALSの患者さんなどを受け入れてくれるのがこうしたグループホーム。家族の負担を考えると大切なことですね。
とはいえ、そうした施設は多くありません。他市の施設に入居される場合、居住地の市からその施設に県と随伴しつつ補助金を支給します。
次に「ため池整備事業」。
- 歳入「農林水産業費分担金」で、ため池等整備事業分担金が390万円減
- 歳出「農地費」で、ため池等整備事業負担金が391万円減
これ、今年度になって、負担割合が変更になって、地元の負担が少なくなったそうです。
なので市が地元から「分担金」として徴収し、「負担金」として県に納める予定だった金額が減額になっているというわけです(1万円差がありますが、千円単位で丸める際、歳出は切り上げ、歳入は切り捨てといったことなのかなと推測します)。
ため池の重要性って、近年とみに言われるようになりましたね。そうした政策変化が背景にあっての負担割合の変更であろうと推測しますが、すみません、後付けられていません。
その他。
おばあちゃんの里に導入されるのは、厨房で利用する設備です。
感染症対策基金への積立は、昨年度はまとめて事業見直しをした上で積み立てたわけですが、今年はそうした事業見直しではなく個々の減額ですので、積み立てる予定はないとのこと。