強みを生かした健康まちづくり

前回「健康まちづくりの基本方針が必要では?」で、健康まちづくり基本方針の必要性を感じる背景について説明しました。
そして、その基本方針は、総合的なものではなく「エッジを立てた基本方針」であるべきと指摘しました。

では、そのエッジの手がかりとなるのはどのような方向でしょうか。ここでは大きく5つの方向性を示しておきたいと思います。
細かい内容はともかく、どういうところに力を入れるのかを明示し、その方向に向けて各分野(健康部だけではなく産業経済や環境や建設などを含めて)の力を統合していくことが求められます。

(1)健康長寿モデルゾーンの整備

吹田市では丹波市と同じ時期となる2019年7月、吹田操車場跡地に国立循環器病研究センターが移転します。それにあわせて「北大阪健康医療都市(健都)」とするまちづくりが、「吹田市『健康・医療のまちづくり』基本方針」のもと進められています。
吹田市の基本方針はきわめてシンプルですが、「国循の移転等も見据え、循環器病予防に関する施策を推進」と分野を明確にし、「まちづくりの『吹田モデル』を創成し、世界をリードする健康都市に」とゴールを描き、「様々な立場の方からご意見をいただきながら具体的内容を検討」と進め方を示しています。

丹波市の新統合病院の周辺を見ると、「丹波年輪の里」という市民の憩いの公園があり、公園内ではウォーキングコースが整備されています。商業施設も多くあり、美容やジム、製薬といった健康産業が立地しています。飲食店が多いのも特色です。
ならば、新統合病院一帯を、健康長寿のモデルゾーンとして「見える化」することが、「健康寿命日本一」に向けてどのように取り組んでいくかを明確にし、意識向上を図るきっかけになるのではないか。

モデルゾーン内では、健康イベントに取り組む市民活動を促したり、レストランでヘルシーメニューを促進したり、リラクゼーションやジムなど健康産業を振興したり、ウォーキングコースやサイクリングコースあるいは健康づくり器具設置を進めたり、ケア付コミュニティの実現を図ったり、医療講座を開催したり等の施策を行います。
ただし留意してほしいのは、あくまでも「モデル」であることです。ここでは、この後で述べるさまざまなプロジェクトの事例を見せ、マップ化などもできると良いですし、視察にいらっしゃればこの一帯をご覧いただければいいと思いますが、この一帯への集中を目指したものではありません。
むしろこのモデルを参考に、小学校区ごとを目安に、同様の「ゾーン化」が進められたらと考えています。

(2)医療ビッグデータを活かし日本の予防医療に貢献

丹波市の予防接種ネットワークに現在、処方・調剤情報を追加する計画が進んでいます。このシステムには、特定健診の結果や介護情報などを統合することが可能です。

今後はここに、市民ひとりひとりの毎日の歩数などの運動情報を統合してはどうでしょうか。加西市などで歩数に応じてポイントを獲得しショッピングセンターで使える「健康ポイント」が実施されていますが、こうしたシステムと合わせれば、市民にとってもありがたいですよね。
スマホでお薬手帳だけではなく、過去の健診結果をたどったり健康アドバイスが得られたりといった展開も考えられ、市民にとって便利な仕組みになります。
健康施策において「無関心層」への広報は大きな課題なのですが、スマートウォッチなどと合わせて各個人が使いやすく楽しめる仕組みを構築し、全国のモデルとしたいものです。

でも、それだけじゃないのです。というか、これこそがこのネットワークのすごさですが、このシステムを何年も使い続けることで、データベースには、どのような運動、どのような健康状態にあった人が、どのような病気にかかりやすいかといった膨大なデータがたまってきます。
こうした集団を対象とした疾病研究を「疫学」と言いますが、丹波市におけるデータは、もちろん匿名性を確保した上でですが、全国でも類をみない自治体規模の医療・健康ビッグデータとなります。
これを利用した予防医療は、丹波市民の健康増進につながるだけでなく、日本の疫学研究や健康産業をリードすることにもなるでしょう。

そこを目指して、今から取り組みを進めるべきではないでしょうか。活用しやすいデータ基盤の検討、データサイエンティストなどの人材育成、シビックテック環境等を整備し、大学や企業との連携を図るのです。

(3)歩く丹波市の実現

実は国土交通省が「健康・医療・福祉のまちづくりの推進」をうたっておりまして、そこに引用されている研究によると、1歩あたり0.061円の医療費抑制効果があるといいます。

仮に丹波市民のおよそ3分の1、2万人が1日100歩余分に歩けば、丹波市全体で、年間約4,500万円の抑制効果ということになります。
国土交通省の計画そのものはコンパクトシティ化を目指すもので、丹波市の都市計画とは少し違うところがありますが、「歩く」ことに焦点をあててまちづくりを進めることには価値がありそうです。(自転車なども良いのですが、ここではあえて絞ります。)

丹波市の「健康たんば21」でも「たんば・すまいるウォーク21」としてウォーキングの取り組みが進められているのですが、認知度は約1割。
事業の認知度よりも歩くという実際の行動の方が大切なので、認知度そのものを過度に心配する必要はありませんが、歩くことを促す情報発信はもっともっと必要です。

ノルディックウォーキングイベントやハイキング登山など、市民発の取り組みの紹介、地域ごとのウォーキングマップ制作とそれを集約した情報発信。
あるいは氷上回廊ウォーキング、伊能忠敬の道散歩、花めぐり散歩、歴史まち歩きなど、ヘルスツーリズムと合わせた取り組みも有効と考えます。

 

以上3つの方向性のほか、「健康まちづくり」という文脈のもとに描かれる丹波市の強みとしては、以下の2つも重要ではないかと考えていますが、これらについては産業や教育の方向の色合いが強いので、別の機会に取り上げたいと考えています。

(4)健康食ビジネス(サラダタウン)
(5)健康森活(森林の体験への活用)

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