健康まちづくりの基本方針が必要では

この先50年の丹波市のことを考えています。

確実に進行する人口減少と高齢化のもと、このまちはどうあるべきでしょうか。いくつか切口を持っているのですが、答えを出したかった一つが、「統合新病院をどう生かすか」です。
高齢化する社会にあって、健康と福祉が基盤的なテーマになることは間違いありません。兵庫県立丹波医療センター(仮称)、丹波市地域医療総合支援センター「ミルネ」、丹波市立看護専門学校からなる統合新病院(タイトル画像はそのパースです)は、どのような役割を果たすのか。

それに対して、「統合新病院があるから医療は安心」というだけでは、遠足にあたって「けがしたときのために絆創膏を持っていくね」と言うに等しいのではないでしょうか。
救急箱を充実させるだけではなく、遠足の行程や見守り体制、あるいは日常的な体力づくり。それらの取り組みこそ、重要です。

丹波市は2006年に「健康寿命日本一」を宣言しました。志高く、それ自体は良いのですが、掛け声倒れにならない努力と行動が必要です。
新統合病院は、健康寿命日本一にむけた理念と行動を市民に示し、取り組んでいく千載一遇のチャンスではないでしょうか。

健康まちづくりの基本方針を

しかしどうすれば、「健康寿命日本一」への共感を育み、行動を促すことができるでしょうか。必要なのは言葉ではなく、行動としての「見える化」です。
ここに、「健康まちづくり基本方針」の必要性を感じるのです。

丹波市では国の「健康日本21」に応じて「健康たんば21」という健康施策の基本計画を策定しています。「健康たんば21」においては、地域全体の意識向上なども課題として盛り込まれているものの、ゴールは市民ひとり一人の健康です。
これを「まちづくり」をゴールとして描くのが「健康まちづくり基本方針」です。そこには、健康産業や農業政策などの経済面、道路整備や公園整備などの景観面、食育や啓発などの教育面、森林や水環境などの環境面など、多くの分野が関係してきます。

一例として、健康長寿社会の実現を目指す「スマートウエルネスシティ」を提唱する首長研究会の会長ともなっている新潟県見附市の「スマートウエルネスみつけ」の概要図を参照しましょう。
ここでは、「狭義の健康施策」とされる諸施策以外に、まさに上にのべたような4つの分野が書き込まれています。丹波市の「健康たんば21」は、ここで言えば「狭義の健康施策」ですね。

健康まちづくり基本方針の方向性

健康寿命日本一宣言という根っこに「健康まちづくり基本方針」という幹を伸ばし、そこに各分野の枝葉を茂らせる。
この大樹を見せることで、次のような好循環を生むことを目指します。

  1. 市の先進性に対する市民の共感と誇りを醸成し、
  2. もって健康づくりに取り組む市民・団体の増加を図り、
  3. 先進地として丹波市の知名度を向上させる
  4. これにより医療従事者や関連企業が定着し
  5. 丹波市への移住・定住者を増加させる

ちなみに、この大樹の描き方には二つの方向性がありそうです。事例として示すのは、以下の二つのケースです。

前者は、市の総合計画のテーマそのものが「健康寿命延伸都市」であり、したがって、健康寿命延伸都市というテーマの中に、総合的な施策が盛り込まれています。丹波市で言えば「人と人、人と自然の創造的交流都市~みんなでつなぐ丹(まごころ)の里~」がこのテーマにあたります。
後者は、「ヘルスケア・ニューフロンティア」というテーマのもと、「未病を治す」「最先端医療・最新技術の追求」という二つのアプローチに絞って、戦略を立てています。

今の丹波市が狙うのは、後者のアプローチと考えています。統合新病院という具体的な「場」が生まれることもあり、それを核にしつつ、シンプルで分かりやすい基本方針とした方が、市民の共感を得やすいと考えます。
その代わり、丹波市の強みをベースとして、エッジを立て、まさに「日本一」と言えるような「健康まちづくりの基本方針」を立てる。
そんなことを考えています。

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