議案撤回?!

 ほんと議会ではいろいろなことが起こります。

 この9月議会では、最終日、市長から議案の撤回請求が出されました。しかし本会議において11名の議員が異議を唱え(賛成は8名)、撤回を認めませんでした。

 議案の撤回は執行部の要望にそって行われるもので、それを議会が認めないというのは異例のことだそうです。
 また、撤回を認めないというのは、不信任をつきつけるようなものという議論もありました。

 ぼくは撤回を承認しませんでした。上記、「撤回の不承認」「不信任相当」の2点について、考えたことを述べておきます。

ことの経緯

 対象となった議案は、「9月議会での議案審議あるいは施行日の謎」で紹介したうち「議案89号 丹波市特別職の職員で常勤の職員の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例」です。
 市長、副市長、教育長の報酬を5%アップするという議案で、提案趣旨は次の通り。

丹波市特別職報酬等審議会に諮問した常勤の特別職の給料について、平成31年3月28日の答申を受け、所要の改正を行う。

 議案は9月11日本会議での質疑後、総務文教常任委員会に付託され、13日に審査しました。
 常任委員会では「もっと高くすべき」「不祥事もあり市民感情から考えてどうか」といった意見が出ましたが、それぞれ「当局としては言えない」「報酬審議会の委員は民間の方であり市民感覚を反映していると考える」などの回答があり、採決の結果、賛成多数で可決されました。

 しかしその後、9月25日になって市長から議案の撤回請求が出されました。理由は次の通りです。

事務ミスが多発している状況において、常勤特別職の給料額を増額することは市民の理解を得られないことから、適正な事務執行に向けた改革が確認できる時期まで提案を延期すべきと判断したため

 9月30日の本会議の最初の日程で、この撤回請求が議題となり、不承認となった次第です。

撤回は正当か

 そこで最初の論点、今回の撤回を不承認としたことが妥当か、です。

 不祥事が相次いでいる中で市長の給料をあげるのは市民感情にそぐわない、という理由、一見まともです。ぼくにもわかります。

 でも、落ち着いて考えたいのです。

 先ほどの議案の提案理由と、撤回理由を読み直してください。提案は報酬審議会の答申を受けた「市長」(副市長や教育長も含みますが簡略化します)という役職に対する給料についての話です。
 近隣市町との比較や15年間変わらなかった間の社会情勢などを鑑み、アップすべきというのが答申でした。現在の市政への評価とは関係ありません。

 一方、撤回理由は「現在の市政の不祥事があるからあげる時期ではない」です。こちらは現在の市政への評価が入っています。

 感情としては分かるのですが、ちょっと落ち着いてこう問いかけたいのです。

 あなたの不祥事を理由に未来の丹波市長の給料まで縛るのですか?

 このように問いかけると、一連の流れの矛盾が見えてきませんか。
 自らを反省されるのは貴いことです。市民感情を考えて給与のアップを遠慮するというのも立派です。

 でも。だったら、別の条例を提案して、自らの市長報酬のカットを行えばいいことではないでしょうか。「丹波市長の給料」という抽象的なポストに対する給料と一緒にしての議案撤回は筋が違うように思います。

 そんなわけで、ぼくはこの撤回に正当性を認められませんでした。

請求の不承認は不信任か

 撤回請求を認めないという判断は、市長の不信任に近い、という声も聞きました。最終的な態度を決める前、仲間ともその点を確認しました。

 結論から言うと、不信任のつもりはないが、そうとらえられても仕方がない、と考えました。

 まず第一に、すでに常任委員会での採決が終わってからの撤回です。その後大きなできごとがあればともかく、不適切な事務処理については当初から監査委員に厳しい指摘をされているものであり、委員会以前から分かっていたことです。
 それをやり過ごしておいて、委員会が終わってから撤回するという、異例の請求であるということ。

 加えて、委員会での採決は可決だったのです。

 否決されたから撤回するということなら、まだわかります。提案された条例が効果を発揮しないという点では変わりがありませんから。

 ところが、可決したものを撤回という。なおかつその理由は委員会でも議論が出て、それぞれの議員さんが判断して採決したものです。
 つまり、議員の判断を軽んじていることになる。

 正直、議会軽視と言ってもおかしくないのではないでしょうか。

 従って、不信任とは考えていませんが、仮にそれに近いものと執行部がとらえられるなら、それも仕方ない。
 そう考えました。

適正な事務執行とコンプライアンスの徹底を求める決議

 本会議最終段階で、同僚議員から「適正な事務執行とコンプライアンスの徹底を求める決議」が出され、ぼくも賛成しました。

 決議文では、決算についての事務処理のほか、議案訂正などが相次いでいること、また「9月定例会においては、付託された総務文教常任委員会での議案審査を終了し、採決され可決した議案の撤回を申し出る異例の事態」についても触れられています。
 これらに時間をとられ、住民サービスと福祉の向上のために注がれるはずの労力が無駄になっていることを肝に銘じるべきであるとしています。

 なお、決議文の相談時、ぼくからはこの決議が、現場で汗をかかれている職員さんの士気をそがない文面にしてほしいと要望を出しました。
 それをふまえ、最後の段落には次の一文が盛り込まれています。

 同時に市長は、今一度原点に立ち返り、職員の声に耳を傾け、働きがいとやりがいのある職場づくり、また風通しの良い職場風土の構築に向けた取り組みなど継続的な対応を強く求めるものである。

 正直、現在の丹波市は、力のある職員さんを生かせていないように思えます。
 議会自身の姿勢も含めて、一体になって取り組まねばならないと、議会終了後仲間と話したことでした。

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