議長の選び方、そして丹波市議会初の議長選立候補者所信表明はこうして実現!

初議会初日、終了しました。長いようで、短い1日でした。

初議会では議長、副議長の選出、各委員会の委員(及び委員長等)の選任、今後の日程の決定などが主な議決事項となります。議題だけ見ると午前中で終わりそうなのに、実際には1日がかりです。
ちなみに、議長が決まるまでの司会(座長)を誰がするか、ご存知でしょうか?
地方自治法第107条で、最年長議員が臨時の議長を務めると決められています。今回だと70歳の前川豊市議員が最年長で、臨時議長でした。

さて、議長選です。議長は議場の秩序を保持し、議事を整理するだけではなく、議会の事務を統括、議会を代表する存在です(地方自治法第104条)。公式行事などに丹波市議会を代表できるのは議長だけですから、重い役割です。

議長選は、投票による選挙です。地方自治法第108条、議会において行う選挙は公職選挙法の規定を準用すると書かれていることに基づきます。で、公職選挙法では以下のように決められています。

第46条
議員は、議席において、議長の当選人とすべき議員一人の氏名を投票用紙に自書して、投票箱に入れなければならない。
第95条
有効投票の4分の1以上の得票を得た者のうち、最多数の票を得たものをもって当選人とする。

これまでの議会だと、臨時議長が仮議席(あらかじめくじを引いて決め、その番号に着席しています)の指定を行った後、さっそく投票が行われる流れでした。会派決定が先なので、会派形成の段階で誰が議長になるか、見えていたのです。
しかし今回、新人会派「丹新会と維新」は議長候補を出しません。議会20人中10人という最大会派が自主投票です。投票の参考とするため、議長候補者から立候補への思いを聞かせていただきたいとお願いしました。

とはいえ、前述のとおり法律に基づいて行われる選挙ですから、いきなり本会議で立候補制を導入と、そう簡単にいくものではありません。先輩議員も、ずいぶん考えていただいたと思います。仮議席の指定が終わったところで、議長選挙に関わる議員総会を開催する旨、動議が出されました。

議員総会というのは、全議員による協議の場のことを言います。丹波市議会会議則164条に規定されているもので、根拠法は地方自治法100条の第12項「議会は、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができる」です。
動議が承認されたところで、本会議は「暫時休憩」に入りました。

休憩の間、議員は別の部屋に移動して、議員総会を開催しました。その場が、議長立候補者の所信表明を聞く場となったのです。
議員総会では動議の趣旨説明があったのち、他の議員さんからの質問に答える形で、次の点が確認されました。

今回限りの措置であること
細かな制度設計がされていないため、永続的な導入には向きません。
本会議では通常通りの選挙方法とすること
したがって本会議で立候補者以外の名前を記すこともできます。
所信表明時間は5分とすること
根拠がある時間ではないですが、時間は公平の方がいいでしょう。

さすがと思いましたね。こういう細部を固めておくことで、意思決定の場がその時々の事情によって軽々と揺れることが無いようにする。このあたりの配慮は、新人ではなかなか思いつきません。

議員総会の場で、「新風クラブ」の太田喜一郎議員と「丹波クラブ」の林時彦議員から立候補表明がありました。
太田議員は、3期12年間取り組んできた議会改革(中継や報告会等)を今後も進めていきたいと決意を述べられ、議会基本条例に基づき、開かれた議会、分かりやすい議会運営に努めること、さらには行政への監視機能を強化するとともに議会全体の資質の向上を図ること、前期で初めて実現した議員提案条例のような議会からの提案を進めること、これらを新人議員とともにやっていきたいと所信がありました。
続いて林議員からは、議会の使命は政策を最終決定することと、執行機関の公平性や民主制を市民目線で批判することであると指摘があり、議員に投じられた一票一票が市民の声であるという自覚が必要と述べられ、新人議員とともに日本一の議会を作っていきたいと決意を表明されました。
これをもって議員総会は閉会しました。そして、本会議へと移ったわけです。

さて、休憩を終え、本会議での投票です。

投票はおおよそ次の流れで進みます。

  1. 議場閉鎖
    出入口がロックされます。
  2. 出席議員数報告
    投票はこの時点で議場に在席する議員のみが行えます
  3. 立会人指名
    議席番号の若い方から2名が指名されます。
  4. 投票用紙配布
    配布漏れがないことが確認されます
  5. 投票箱点検
    問題がないことを一堂が目視で確認します
  6. 投票
    氏名が読み上げられた順に議長席の前にある投票箱に投票していきます。
    なお、臨時議長にも投票する権利があり、最後に投票します。
  7. 開票
    投票漏れがないか確認され、立会人のもとで開票作業が行われます。
  8. 選挙結果報告
    議長に結果が報告されます。
  9. 議場閉鎖解除
    出入口が解錠されます。
  10. 当選の告知
    当選した議員が議場にいるので、その場で告知がなされます。
  11. 当選者発言
    ひとことだけ、あいさつがあります。

このあたりは形式的なようですが、投票行動をするにあたって、その重みを自覚させる効果もあるなぁと思ったことでした。

議長には新風クラブの太田喜一郎議員が当選されました。太田議員に12票、林議員に8票。投票は無記名ですから、ぼくたち自身にも誰が誰に投票したかわかりません。おそらくは、太田議員には新風クラブの3名、公明党の2名、丹新会と維新から7名が投票したものと思われます。一方の林議員には、丹波クラブの3名、共産党の2名、丹新会と維新から3名と思われます。
臨時議長の職務はここで終了。太田議員が議長席につきます。

その後、副議長選挙が行われました。こちらは、丹波クラブの前川豊市議員が17票を得て当選されました(無効票2、林議員1)。議長選では対立した会派が、議長と副議長を分け合った形です。対立から対話へ、新しい議会を象徴する結果となったのではないでしょうか。

議員バッチ

写真は、いわゆる「議員バッチ」。本会議の場や公式の行事では着ける必要がありますが、あとは各人の判断とのことです。そんなわけで、ぼくは最低限必要な時だけ、つけることにします。バッチをつけて常に自覚するという考え方もありますが、一市民として、隔てなくみなさんと接したいという思いからです。

「議長の選び方、そして丹波市議会初の議長選立候補者所信表明はこうして実現!」への2件のフィードバック

  1. 議会報告、ご苦労様です。新たな「議会報告誌」が楽しみになりました。
    ただ、今回の記事の中で気になったことがあります。
    副議長選挙で「無効票2」、これは何を意味しているのでしょうか?
    議員としての資質に疑問を感じています。無記名ですから投票者の特定はできませんが、無記名方式のデメリットなのでしょうネ。

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