2000年11月、某企業のサービスブランド促進用サイトに掲載した、「メールマーケティング」についての文章。
最後の方で触れている文章術などは、今も有効かも。
(2020年12月29日追記)
注目を集める電子メールコミュニケーション
某社ブランドサイト2000年11月号
早い反応、高い効果が期待できるメールマーケティング
いまメールマーケティングが熱い。バナー広告に代表されるWeb広告が浸透し、それを補うマーケティング手法として注目を集めている。メールマガジンへのテキスト広告も一例だが、最近増えているのが、あらかじめ希望する利用者から購読登録を受けた上で、希望に添った内容をメール配信するサービス。各企業が独自に行っている場合も多く、メールマガジンと区別して、ハウスメールないし企業メールと呼ぶこともある。
電子メールによるコミュニケーションは、読者からの反応が早いことに第一の特徴がある。配信したメールの中に埋め込んだURLのクリック数推移を見ていると、配信の当日、ないしは翌日までに大半のクリックが行われる。応募は明日までなんていう即効性のある告知が可能なのだ。また、クリック率が高いのももうひとつの特徴で、2桁を超すことも珍しくない。通常のバナー広告やメール広告で1%を超えることはまずないことを考えると、あらかじめ配信許諾を得たメールマーケティングの威力のほどがわかる。
メールによるコミュニケーションは顧客中心志向で
Webサイトでハウスメールの購読を募るケースが増えているが、残念ながら基本的な表示項目が欠けている事例も多いので注意したい。そのひとつは、個人情報の取扱方針を明記したプライバシーポリシーを明らかにしておくこと。提供したメールアドレスが名簿業者等に転売されないか不安視する利用者は多い。また、登録を解除したい場合にどうすればいいかも明確にしておこう。読者減少を防ぎたいあまり解除方法を明記しない場合もあるようだが、解除の自由をうたわないことでむしろ敷居を高くしている。
では、メール本文を書くときにはどんなことに気をつければいいだろうか。第一に、メール内のわかりやすい場所に、なぜ送っているのか、解除するにはどうするかを明記すること。読者に「送られている」という受身の姿勢ではなく、自らの選択で受信しているという認識を持ってもらうことが、メールへの反応を高くする。
メール本文の長さに制限はないが、読者はあまり読んでくれないということを前提にした方がいい。長くなるときは適宜小見出しを入れ、それを読んだだけでも内容が把握できるようにする。
自分たちの視点から説明するのではなく、その結果読者が何を得られるのかから書き起こすことも重要だ。「Aを行ってくれればBになりその結果Cになる」と説明するのではなく、「Cという結果が得られる、そのためにはAを行いBになってほしい」と説明するのだ。
購読から解除まで選択権すべてを利用者に開放し、文体においても読者の立場から記述する。メールマーケティングに必要なのは、まさに顧客中心志向なのだ。