ゼロ年代ぼくらはメールマガジンで情報を集めていた

今回は日経BP社の『Find’X』という媒体に、当時のメールマガジン界の状況を解説した記事を紹介します。

記事の中にもあるように、当時はほんとうに多くのメールマガジンがあり、多くの人がそこから情報を入手していました。

なにせGoogleは無いし、SNSも無い。情報をどうして探すかって言うと、一番良い方法が、誰かがセレクトしてまとめてくれたメールマガジンから得るのが効率的、ということだったのです。

実際どんなメールマガジンがあったかというと、当時のぼくのサイトのアーカイブに「役立つメールマガジン100選」というコーナーがあるので、そちらを参照してみてください。リンクは多くが切れていますけれども。

では今、メールマガジンに代わる媒体があるかというと、代替とまではいかないのかな、今でもメールマーケティングを評価する声は根強くあります。

(2019年追記)


メールマガジンで情報収集! ~情報達人になるためのコツ~


日経BP『Find’X Weeklyスペシャル』2000年4月28日号

■メールマガジンのこれまで

 メールマガジンが注目されるようになって、もう2年になるだろうか。いや、注目される、という点では、97年夏の段階で「メールマガジン百花繚乱なのだ」(橋本大也著)なんて文章が書かれてもいるので、はやくから注目していた人もいるわけである。
 日本でのメールマガジンの隆盛を語るとき、「インターネットの本屋さんまぐまぐhttp://www.mag2.com/」に触れないわけにはいかないだろう。1997年1月7日にサービス開始、無料で手軽にメールマガジンを発行できるとあって、多くのメールマガジンがここから創刊された。

 数として爆発的に増え出すのは1998年に入ってからで、1周年を迎えた段階で2000誌に満たなかったまぐまぐ経由で発行されるメールマガジンが、同年暮には1万誌を超える規模に育っている。同年夏には@niftyによる「Macky!」が始まり、その後も他社の参入が相次いだ。
 現在では毎月1000誌前後が創刊されているとみられ、まさにラッシュの状態となっている。

■種類豊富なメールマガジン

 企業発行のものから個人発行のものまで、メールマガジンの種類は多い。それらを編集形態で分類するなら、「報道型」「分析型」「教育型」「選別型」「投稿型」といったところになるだろうか。

 「報道」型のメールマガジンは、取材した結果をニュースとして配信するもので、さらにおおきく2種類がある。ひとつは、実際に自分たちの足で取材した結果などを流す形のもので、記者を配置しなくてはいけないなどの関係か、企業発行のものが中心だ。「BizTechメール」のように、ウェブサイトと連動して、メールマガジンではサイト記事を読むためのURL情報だけを流すといった形式が多い。
 一方、同じ報道形態でも、いわばネット記者とでもいったスタイルで、インターネット上でのニュースを中心に報道する形のものもある。「WebCatch」や「Internet NOW!」など、小さな組織でも可能なスタイルで、記事は関連するURLと解説からなっている。

 インターネット業界などについてじっくりと読ませる「分析」に重点をおいたものもある。「アクセス向上委員会通信」などがそれだ。最近この手のじっくり読ませるタイプが減っている気がするのは錯覚だろうか。

 資格取得や業務知識など「教育」を目的としたものもある。「SOHO、家庭向け初心者ネットワーク構築講座」などがそれだ。定期的に自分のメールボックスに届くので、一般の解説書と比べて継続しやすいところが特徴か。

 それから「選別」。これはインターネット上に数ある情報の中から作者独自の視点で選別、つまりフィルタリングして、それら情報へのリンクを提供するものだ。「今日の雑学+http://unplugged.ne.jp/」などもそれにあたるだろうか。自分にあった選別をしてくれる作者さえ見つければ、情報があふれる現代には重宝する。

 ユーザからの「投稿」を中心に成り立つものもある。「FIRST NEWS」のような新着サイト案内誌や懸賞情報誌などがそれにあたる。投稿を介して、ユーザからの質問に作者が答えたり、別のユーザからの答えを掲載したりといった交流まで発展させるケースもある。

 もっとも、じつはこれらの形態はすべて1998年までの段階で出揃っている。ここで紹介したメールマガジンも、すべて1998年前半までに創刊されているものばかり。そういう点では、メールマガジンは創刊数は増えているものの、コンテンツ面での変革は逆に減ったといえるかもしれない。

■自分にあったメールマガジンの選び方

 メールマガジンは購読の申込・解除が簡単なので、しばらく購読して納得できなければ解除する、といった気軽なスタイルで試し読むのがいいだろう。もっとも、その場合、メールマガジンの購読解除方法やプライバシーポリシー(個人情報保護指針)が明確に表示されているかどうか、確認してから申し込むようにしたい。
 試し読みするにしても、ある程度目的をはっきりしていたほうがいいだろう。その方がメールマガジンも探しやすい。IT系に絞って、いくつか紹介しよう。

1.IT関連の基礎知識を身に付けたい
基礎知識を身に付けたい、あるいは資格取得を目指したいといった目的でメールマガジンを利用する場合は、上記「教育」形式のメールマガジンを購読することになる。

2.インターネットビジネスの現状について知りたい
これはやはりコンサルタントなどの専門家が出しているメールマガジンに質の高いものが多い。誌面の中に紹介されているURLが豊富なものに優秀なものが多い傾向がある。作者がそれだけ多くの情報源を下敷きにして書いているからこそだろう。

3.最新業界ニュースを手に入れたい
業界ニュースといっても、新商品動向を知らせるものや、業界ニュースを知らせるもの、その他各種ある。各誌の特色を把握して、自分の興味のあるニュース分野で登録したい。

 メールマガジンは、自分の情報源を広げてくれる媒体だ。いろいろ探索して、自分にあったメールマガジンに出会ってほしい。

■海外のメールマガジン

 メールマガジンの便利さに目覚めたら、海外のメールマガジンを購読してみるのはいかがだろうか。IT系の情報は米国発の場合が多いので、ひと足早く情報を手に入れることができるほか、英語に慣れるという点で一石二鳥かもしれない。
 米国では一般にメールマガジンのことを、「E-zine」「Newsletter」といった名称で呼んでいる場合が多い。日本のように個人発行マガジンが乱立するといった状況ではないが、多くのサイトで電子メール配信サービスは行なっている。

 たとえば「Wired Newshttp://www.wired.com/」のようなニュースサイト、「ICONOCASThttp://www.iconocast.com/」「eMarketerhttp://www.emarketer.com/」のように最新のインターネット調査結果からポイントを伝えてくれるようなもの、「ANDOVER UPDATE」のようにニュースからひとこまマンガまでそろっている総合誌的なもの、「eRetail.Net」のようにEC関連の注目情報を選別して知らせてくれるものなど、各種ある。
 米国ではHTMLメールも多く、これらカラフルなHTMLメールは、日本に多いテキスト形式のメールマガジンに慣れた目には新鮮でもある。

■メールマガジンの持つ特色と活用法

 最後に、メールマガジンの特色と、その特色ゆえの活用法をご紹介しよう。

1.作者の個性が出る
メールマガジンは編集者の手を経ず、作者が直接発行することができる媒体だ。それゆえのメリットとして、作者の個性を出しやすいことがある。自分と興味の合致する作者を見つけよう。そうした作者が「選別」して紹介している情報は、あなたにとっても価値が高い。

2.テキストとして保存できる
メールマガジンは自分のメールソフト内で、テキスト情報として保存できる。なにか情報を探したいとき、メールソフトの検索機能を使えば、それらは強力なデータベースとなる。メールマガジンは削除せず、保存しておくといい。

3.定期的に届く
メールマガジンは、定期的に届く利点がある。毎朝のニュースチェックや、あるいは昼休みを利用した資格勉強など、生活にリズムをつけるのにもいい。

4.プッシュ型である
メールマガジンはウェブサイトと違って、半自動的に届く。たとえばニュースチェックなどに、忙しくてサイトを見る時間がないときでも便利だ。

5.返信が容易
返信ボタンを押すだけで、作者に対して返信がすぐにできる。こうしてコミュニケーションを広げていくこともいいだろう。

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