歳入における増減
・鳥獣被害防止総合対策事業分担金 142万円減(受益者負担)
・鳥獣被害防止総合対策事業補助金 711万円減(県補助)
いわゆる獣害防護柵を設置する事業です(農水省資料参照)。設置費用の1/2を国が補助してくれるもの。国の定める投資効率を満たさなかったため、採択されなかったとのこと。
ここで紹介したのは収入での減ですが、対応する支出での工事請負費は1,421万円の減となっています。つまり全事業費のうち半額(711万円)を県を通して国が補助、1割は地元負担(142万円)で、残りを市が補助するスキーム(仕組みの枠組み)だったということですね。収入と支出を見合わすことで、このように理解できます。
ちなみに、防護柵については市単独の事業もあり、そちらの場合は資材費の80%を補助しています。資材を購入して日役などでみんなで設置していくやり方を想定したものといえます。
・ふるさと寄附金 8,000万円
丹波市へのふるさと寄附金を受け付けるサイトを増やした効果で寄附が増えました。現在は「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天ふるさと納税」で受け付けています。
こういう増加は嬉しいです。
支出における増加の要因は?
支出における増加の要因では「見込みより増えた」「想定外の事態への対処」などがあります。当初予算の見込みが甘くなかったかなどを検証しなくてはなりません。
・戸別受信機設置等委託料 120万円
不具合対応が増加したそうです。令和2年度は11月までで新規設置166件、受信環境改善が95件ありました。
受信環境改善のうち38件は転居などに伴う設定変更ですが、残り57件は放送が入らなかったり聞き取りづらかったりするもの。23件は外部アンテナを設置して対応したほか、場所の移動やACアダプターの交換で対応したとのことです。
当初予算で268万円でしたから、かなりの増額ですね。見込みが甘かったのかな。
・人生いきいき住宅助成事業 264万円(県から132万円)
高齢者等に対応した住宅改修に補助金を出す県の事業です。市を通して支給され、市が補助額の1/2負担をします。申請者が増えたとのことでした。
・子育て世帯への臨時特別給付金 300万円
新型コロナウイルス感染症に伴う支援として、児童手当を受給されている世帯に一律1万円を給付された事業がありましたよね。一般の世帯は自動的にもらえたのですが、公務員は申請が必要でした。申請受付の結果、見込んでいたより多くなったとのこと。
特別定額給付金の場合にもそうでしたが、「公務員は給料が減らないから受け取るな」みたいな論調がありましたよね。この給付金もしっかり申請して受け取られているということですが、ぼくはそれで良いと思っています。
給料が減る減らないで判定せず、そもそも一律に配られたもの。堂々と受け取って、生活苦はそれほどでもないという公務員さんは、その分、物を買ったりして経済を回していただければと願っています。
・クリーンセンター管理運営事業 764万円
ごみの処理量が増えたため、施設管理委託料を上積みするとのこと。もともと令和11年度まで12年間(+4カ月)で41億7,852万円で契約されていました(債務負担行為)。当初予算段階の委託料が6億5,432万円。うち施設管理委託料が3億2,997万円となっており、そこに764万円を追加するものです。
それ以外の灰処理や運搬(約3,000万円)、資源再生(約600万円)、場内作業(約2,700万円)、ごみ収集(約2億4,400万円)などは変更なしです(カッコ内は当初予算)。このあたりはどういう考え方かな。
念のため4月からの6カ月分のごみ処理量を昨年度と比較します。
昨年度が755万6,189kg、今年度が743万8,300kg。おや、増えてませんね。プラゴミの方は15万2,620kgから16万7,540kgなので1割ほど増えています。
山南地域のごみは丹波篠山市の清掃センターに持ち込まれます。こちらは確かに増えているのですが、その話じゃないですね。
ちょっと説明と数字が合わないので確認しなくては。
・スポーツ施設総務費 342万円
崇広小学校グラウンドのPCB廃棄物処理費用とのこと。ん? これ、どういう事情があったのだったか。議会への報告はあったかな。記憶にないので確認します。
同じ増額でも明るい話題は嬉しい
同じ増額でも、新規に事業が決まったりして前向きな気持ちにさせてくれるものは気分的に明るくなりますね。
・アフタースクール事業 486万円
アフタースクールでもタブレットを使えるよう、ネット環境を整備します。
・観光拠点整備事業 798万円
西山酒造場さんが宿泊できる施設を整備されます。全体の事業費は約3,500万円(税別3,200万円)。兵庫県の外郭団体である「ひょうご観光本部」がそのうち4分の3を支援。その4分の3のうちの1を丹波市が負担するというスキームです。
西山酒造場の建物は国の登録有形文化財、県の景観形成重要建造物に指定されています。こうした建物に泊まりつつ、蔵人と交流する。完成は今年度内の予定です。
定員は6名。1人あたり2万円程度の宿泊費(食事別)を見込み、稼働率3割で採算が合うようにする。「NIPPONIA」などのノウハウが活かされるようです。
・街なみ環境整備事業 351万円
柏原の地方裁判所前の水路工事を前倒しするもの。柏原は水路を活かした街並みへとまちづくり計画が進められています。
訪問客も増えており、今後に期待です。
予算減の補正項目
補正予算で事業費が減少となるものについては、その理由が大事です。賢い削減なら良いのですが、本来行うべき事業ができなかったなら、それはなぜか、どう対処するかを考える必要があります。
・農業総務費 420万円減
イベントが中止されたことで、県などと組織する協議会への負担金が減額されました。
・農作物等輸出支援事業補助金 200万円減
対象となる海外輸出が無かったため減額されました。この事業、有効性について決算でも指摘させていただきましたが、事業そのものの見直しになろうかと思います。
・担い手農業者育成事業 2,203万円減
対応する収入では国庫から「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」900万円減、「法人化促進総合対策事業補助金」843万円減があります。支出でも同額の減額。これに加えて、「地域おこし協力隊起業支援補助金」100万円減、「農の学校修了生育成支援事業」360万円減が内訳となります。
「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」で2件応募していたが、採択されなかったとのこと。ただ、国庫補助3/10のようですが、ここにあがっている900万円というのは事業費全体ですね。本来その3割じゃないかと思いますが、どういうことかな。
また、この事業については、今後の担い手を育てていく予定だったものができなくなっているということですから、単純に予算が減って良かったとは言えず、それぞれ事業が実施できなかった理由を解明し、今後は事業が実施できるように対処していくことが必要であると考えます。
地域おこし協力隊の起業、農の学校の修了生育成についても同じことが言えます。