丹波市コロナ対策補正予算まるわかり

 丹新会では、「コロナ対策21の提言」において、「コロナ不安ゼロを目指して」と題し、「経営不安」「雇用不安」「来庁不安」「子ども・高齢者不安」「医療不安」それぞれの不安をゼロにすること、そして「アフターコロナ」を見据えた取り組みという6つの柱で提言を行いました。

 今回の補正予算ですが、提言が活かされている(すくなくとも提言の柱に添って評価ができる程度には)と受け取りました。皆さんの声をいただいて、丹新会の所属5名の議員(大嶋恵子、吉積毅、広田まゆみ、谷水雄一、小橋昭彦)で議論したことが役に立ったと思います。(すみません、自画自賛で。)

 そこで、以下では21の提言項目について、個人的に、「〇(実現)、△(一部実現)、×(実現せず)」を添えながら、補正予算の内容をご紹介します。

【1】経営不安ゼロへの回答

  1. 業種別の営業・休業の明確化 △
    結果的に県の指針に従った形です。しかし市内事業者への影響範囲についての調査は十分にはできていないと考えます。
  2. 休業が必要な事業者への支援 〇
    家賃補助が実現しました(前述)。また別に兵庫県が行う事業に随伴する「休業要請事業者経営継続支援事業589万円」が創設されます。
  3. 事業者による自粛対策への支援 〇
    飲食店が行うテイクアウト事業への支援について「飲食店の消費促進支援1,540万円」として実現しました。2,000円以上購入で1スタンプ、3スタンプで3,000円のたんば共通商品券。ただ手法としてはまだるっこしいですね。この際ですから、キャッシュレスの「たんばコイン」でその場で半額還元とかの方が小回り効いて良かったとも思います(利用率を考えると難しいのだろうとは推測しますが)。
  4. デジタル化の支援 ―
    企業へのオンラインショッピング導入やテレワーク導入の支援を提言しましたが、今回の補正での独自事業は無し。ただ「中小企業デジタル化応援隊事業」など裏付けとなる国の制度はありますし、少し長い目線で評価する必要があると考え、評価を保留します。
  5. 市内事業者の活用促進 △
    市の業務における市内事業者比率をあげること及び給食休止への対応を求めました。「学校給食停止による給食用食材の受入れ対応等180万円」としてパンや牛乳の加工賃等の損失補償が行われます。その他の事業見直しはまだこれからのようですから、一部実現とします。
  6. コロナ相談専用窓口の開設 △
    雇用調整助成金申請支援620万円」として社会保険労務士による相談会と業務代行への委託費補助が行われます。一応実現なのですが、各種の補助金も合わせてワンストップで対応できる体制を提言していましたので、一部実現と評価します。

【2】雇用不安ゼロへの回答

  1. 雇用継続支援助成の創設 △
    前項で述べた「雇用調整助成金申請支援」を活用することで雇用維持の推進という姿勢は見えました。雇用を継続した企業への助成金を提案していましたが、それは無し。しかし「中小企業者事業継続応援事業3億円」として10万円を3,000企業にとか。これには斜め上すぎて驚き。3,000企業というと丹波市商工会の会員数が約2,000事業所で、非会員の事業所が800程度と聞いていますから、市内のほぼ全事業者を対象と考えているといってよいです。費用対効果を考えてどうなのか。評価としては一部実現としておきます。
  2. 失業者の臨時雇用 ×
    コロナの影響で内定取り消しを受けたり仕事を失ったりした人を市として期間限定で採用することを提言しましたが、実現しませんでした。
  3. 生産拠点誘致の強化 ―
    国による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を活用して企業誘致の強化を図ることを提言しました。産業経済部内で柔軟に人員を配置する考えが示されました。ただ時間がかかる事業ですので、現時点では評価保留とします。

【3】来庁不安ゼロへの回答

  1. 窓口の感染予防 〇
    遮蔽物については提言後いち早く4月中に専決で実現しました。また、今回も「庁舎等の感染拡大防止1,071万円」として体温計や消毒委託料等が計画されています。
  2. オンライン化の促進 ―
    オンライン申請の推進や捺印の廃止を提案しましたが、これからの課題でしょう。現時点では評価は保留します。
  3. 勤務体制の社会的距離戦略の推進 〇
    職場における職員の社会的距離が適切に保たれるようにすることを提案しました。テレワークやフレックスといった抜本的な対策は進んでいませんが、住民センターなどの空き部屋を利用した「分散勤務」や休暇取得の促進で職場密度7割減を目指すとのことなので、一応、実現としておきます。

【4】子ども・高齢者不安ゼロの回答

  1. オンライン教育の推進 〇
    ネット環境の調査が実施され、「小・中学校学習用タブレット端末の整備2億6,287万円」も前倒しされました。もっとも国の「ギガスクール」構想の中でもともと進められていたものという側面があり、時期も2月頃と先。オンライン活用への取り組みは道半ばです。
  2. 図書等の移動貸し出し ×
    読書環境の維持を提言しましたが、実現しませんでした。
  3. 野外遊びガイド等の配布 ×
    実現しませんでした。丹波市ならではの「ステイホーム」を考える良い機会と思いますので、引き続き期待したいと思います。
  4. 施設における感染防止支援 〇
    こども園やデイケア施設の感染防止への資材確保などを提言しました。さっそく4月の専決処分で行われたほか、今回の補正でも、「福祉施設等の感染拡大防止800万円」「介護施設等の感染拡大防止649万円」のほか、「看護専門学校の感染拡大防止282万円」「学校等の感染拡大防止2504万円」が計画されています。専決でできなかった、いざ発生したときのための施設消毒委託料などを備えておくものです。

 なお、子育て世帯向けの支援としては、上記のほかに、「保育料減免(登園を自粛した0~2歳児の保育料減免の減収分を補てん、対象園児数500人)1,070万円」「子育て世帯支援(児童手当の臨時給付、月額1万円×7,800人)790万円」といった国の制度を利用した事業、丹波市独自では「路線バス通学定期券購入費負担軽減(補助を受けている21人を対象に学校休業中の自己負担額を補助)215万円」があります。

【5】医療不安ゼロへの回答

  1. 医療用マスク・防護服生産体制の整備 △
    医療用衛生資材確保を提言、救急隊員向けの準備がなされました(前述)。ただし、市内企業を支援しての資材生産の開始にはいたっていません。提言は企業との連携姿勢にも重点を置いていましたので、一部のみ実現としておきます。
  2. 健康センターミルネ等における万全な体制 〇
    発熱外来の必要性などを提言しました。「青垣診療所に発熱外来開設215万円」として実現しました。ミルネの診療体制も気になっていたところですが、もともと新型インフルエンザ等を想定して、発熱者の診療と通常の診療は交わらないように設計されていることを確認しました。
  3. 感染流行地域からの転入者用一時滞在施設の確保 ×
    実現しませんでした。

【6】アフターコロナへの回答

  1. 市内で利用できるクーポンの配布 △
    収束後に利用できるクーポン配布を提案しました。「プレミアム商品券発行支援1億5,654万円」として、10月以降に1セット5,000円分を4,000円で配布というのは、ある意味収束後の経済活動支援ではあります。しかし新鮮味が無く、今回のような事態に適しているかは正直、評価が難しいです。なので、一部実現扱いとします。
  2. こどもケアの充実 〇
    学習指導員の配置234万円」「教育委員会における情報発信の強化63万円」あるいは冒頭に述べた補食支援などの事業が実現しました。スクールカウンセラー体制なども引き続き充実が図られます。

 なお、丹新会の提言ではどちらかというと経済面を主体にしたこともあり、広報のことや、生活困窮者への支援については触れていませんでした。

 今回の補正予算では、広報として「広報たんば臨時号88万円」、生活困窮者向けには「特別定額給付金事業64億5,215万円」「国民健康保険加入者への支援(感染者または感染の疑いのあるものへの傷病手当支給、10人を想定)330万円」「住居確保給付金支援(住宅を失う恐れのある困窮者への支援、5世帯9カ月想定)162万円」があがっています。
 また「子ども・高齢者不安ゼロ」のところで紹介したように、子育て世帯への支援策も複数追加されています。

 以上が、今回の補正予算です。市長としては「感染予防」「生活安定支援」「産業経済支援」を3本柱として予算を組んだとのことです。

 で。

 星取り結果。〇(実現)8事業、△(一部実現)6事業、×(実現せず)4事業、評価保留3事業となりました。評価保留を除けば18項目の提案のうち14項目は何らかの形で実現したことになります。

 丹新会では引き続き、みなさんの声を市政に反映すべく活動を続けていきます。これからもご意見をお聞かせください。

「丹波市コロナ対策補正予算まるわかり」への7件のフィードバック

  1. 隣、西脇市では市長がfbメッセージ動画で、6月から半年間、上水道料金を無料にする他、市独自の手厚い支援を表明しています。
    丹波市は相変わらず農業者中心の支援策ですか?
    西脇市と丹波市はそんなに農業者(農業)の規模は違うのですか?

  2. 補食が必要な児童・生徒の生活支援ですが、児童全員に弁当と牛乳を配れませんか?もちろん、給食費は徴収しますが、家計が大変なところは減額したらいいと思います。そうすれば、給食に食材を卸している業者も助かるのではないでしょうか?家庭も自粛で食費もかかっていますから、家庭も助かるのではないでしょうか?素人の考えなので、案としてコメントしました。

  3. 決して農業者中心ではなく、むしろ今回は商工業に手厚いです。緊急的な状況の事業者が多いとの認識です。

    西脇市も一部そうですが、兵庫県営水道から水道を購入しているところは、県が無料措置を取っているので、無料化しやすいのです。丹波市は独自水源なのでそこが難しい。

    生活支援については、今回まずは困窮者対策をとったので、今後の様子も見つつ、より幅広い支援の検討が必要と思います。

  4. 実はそれも案として考えました。ただ、配食の方法などで良い解決策が思い浮かばず、提案を諦めました。せめてこども食堂的な運動と連携するとかできないかなとも思ったのですが、、、

  5. 臨時議会お疲れさまです。オンライン授業や会議、通常の業務で疲弊しています。あちらこちらで無理難題を言ってきますが、3人(正規1人と非正規2人)の職場でどうやってこなしていったらいいのか。追い詰められています。業務が偏りすぎなんですよ。めちゃめちゃ不公平です。マンパワーがほしいです。これからICTが必要となってくるのに財政課はケチを付けます。現場を見てほしいです。

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