緊急事態宣言がなされ、日本のコロナウイルス感染拡大対策も正念場を迎えています。
私が所属する丹波市議会の会派「丹新会」では、本日、市長に対して「コロナ対策21の提言」を行いました。
市議会の政策討論会等を通して議員の総意として届ける方法もあるのですが、開催調整などに時間がかかります。
そこで会派提案として、スピード感をもってまとめ提言したものです。
提言にあたっては会派5名の力を合わせ、ある議員は店舗を回って生の声を集め、ある議員は国会議員から取り寄せた国の施策を研究しと、それぞれの得意分野を補完し合うことができました。
ぼくは文案のとりまとめ役です。大嶋恵子、吉積毅、広田まゆみ、谷水雄一、各議員に感謝しています。
コロナ不安ゼロを目指して
私たちが暮らす丹波市では、1人の感染者があり回復された後は、感染の報告はありません。
しかし、「ステイホーム」が要請される中、ほとんどの飲食店は開店休業状態ですし、住宅設備関係も中国からの部品が入らず工事ができないという声を聞きます。
一方で丹波市はというと、国や県の施策を待つ姿勢で、積極的に独自策を打つ気概があるのかどうか。
確かに感染対策の最前線は県の健康福祉事務所です。丹波市ができることは限られているかもしれません。しかし、市民の生活を預かるもっとも身近な行政庁として、市民に寄り添った施策を組み立てていけないか。
感染ゼロは難しくとも感染不安ゼロを目指すことはできるのではないか。
そんな思いから各自が案を持ち寄り、提言をまとめました。コロナ不安ゼロを目指して、5つの柱ごとに不安の解消策を提案するとともに、アフターコロナにおける対策についても触れました。
以下に、その内容をご紹介します。みなさんからのご意見もいただければ幸いです。
【1】経営不安ゼロを目指して
- 業種別の営業・休業の明確化
今後、県から休業等の要請の可能性もあることから、東京都の出した指針も参考に、丹波市内において休業が必要な業種を明確に示し、企業情報をあらかじめ把握すること。 - 休業が必要な事業者への支援
休業時間中の料飲業への家賃補助など、上記で把握した情報をもとに、国の補正予算を補完する市独自の支援策を導入すること。 - 事業者による自粛対策への支援
市内事業者にはすでに多大な影響が出ており、飲食業ではテイクアウトを始めることで多少でも補う工夫も見られる。こうした場合にはテイクアウト用資材費や宣伝費を補助するなど、国による「持続化給付金」を活用しつつ、売上減対策への具体的な助言指導も含めた支援を行うこと。
また、神戸市ではウーバーイーツ社と組んでテイクアウト食品を家庭に配布する事業を始めている。丹波市には同様の事業者が無いことから、民間事業者を公募して、失業者を雇用し宅配する事業を委託するなど、この危機をチャンスとして新市場を創造する働きかけを行うこと。 - デジタル化の支援
国の「中小企業デジタル化応援隊事業」などを利用して、市内事業者のテレワーク促進を支援すること。デジタル会議システムの導入支援などを行い、採用面接や社内会議等での活用を促すこと。
また収束後を見越した国の「Go To キャンペーン事業」はオンライン出店を前提している内容もあることから、EC化を支援することで対面に頼らない販売チャネルの構築を進めること。 - 市内事業者の活用促進
中小企業・小規模企業振興基本条例をふまえ、丹波市が行っている事業を洗い出し、市内事業者の活用をさらに進めること。
また、休校に伴い給食納入業者も悲鳴をあげている。高山市などは牛乳を買い上げて無料配布する取り組みを行っている。農林水産省でも「食べて応援学校給食キャンペーン」を行っている。これらを参考に丹波市としても対策をとること。
自治体の中には、職員がお昼のお弁当に、飲食店からのお弁当を積極的にとることをアピールしているところもある。こうした姿勢は市民の共感を得るものと考える。 - コロナ相談専用窓口の開設
商工会とも連携し、市内の全事業者を対象として、コロナ対策相談専用窓口を設置すること。窓口においては、災害時協定に基づく行政書士会、あるいは社労士会等と協力し、人材を新規に登用するなどして、事業者にとって必要な手続を代行し、一刻も早く支援が行き届く体制を整えること。
【2】雇用不安ゼロを目指して
- 雇用継続支援助成の創設
休業補償に対する不明確な基準や計画解雇による失業保険利用などが話題になっている。丹波市においては、国による「雇用調整助成金」の活用を促すとともに、丹波市独自の雇用継続支援助成制度を設けるなどして、雇用の維持を図ること。 - 失業者の臨時雇用
複数の自治体で、コロナの影響で内定取り消しを受けたり仕事を失ったりした人を期間限定で採用する動きがある。採用した人材は、フランスのように農業を支援する「農業部隊」とするような例もある。
丹波市においては、現在の状況下でも人手を必要とする分野がある。援農のほか、森林環境譲与税を活用して社会的接触が低い林業に従事させたり、コロナ対策部門につけたり、市の課題解決にあたってもらう仕組みを含めて検討されたい。 - 生産拠点誘致の強化
国では「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を準備している。この機会に、職員の増強を図ってでも訪問誘致に注力し、企業誘致の強化を図ること。
【3】来庁不安ゼロを目指して
- 窓口の感染予防
市役所窓口の感染拡大防止対策を早急に進めること。マスク着用、遮蔽物の設置などを進めること。
マスク不足の折、丹波布を利用して手作りマスクを作ることを職員に推奨するなど、手作りマスクキットの開発を促し販売につなげることを検討されたい。 - オンライン化の促進
デジタルガバメント化を進め、来庁の必要性を減らすようにすること。捺印の廃止など、紙でないといけない業務を減らすこと。 - 勤務体制の社会的距離戦略の推進
職場における職員の社会的距離が適切に保たれるようにすること。そのために、勤務時間のシフトやテレワークの導入を進めること。すべての職員で週1~2日出勤とすれば、7割削減を実現できる。
【4】子ども・高齢者不安ゼロを目指して
- オンライン教育の推進
家庭におけるネット環境の調査を早急に行うこと。国の「遠隔教育・在宅教育普及促進事業」を利用するなどして教育の情報化を進め、当面は宿題のPDFによる配布等から進め、将来的にオンラインによる教員とのやりとりが可能な環境を整えること。 - 図書等の移動貸し出し
図書館が閉館となったことで、休みの間に読書を薦めることも困難になっている。オンライン予約を利用した図書の移動貸し出しなど代替手段がとれないか、検討すること。 - 野外遊びガイド等の配布
子どもたちが家の近所で野草を探すなど、屋外遊びでストレスを発散できるよう、野外遊びガイドDVDを配布するなど、丹波市ならではの遊びを推奨すること。
高齢者については、百歳体操の代わりになる、家庭でできる体操ガイドなどを配布すること。 - 施設における感染防止支援
こども園での感染防止体制について把握し、資材の配布など必要な支援を進めること。また、デイケア施設等においても同様の体制をとること。
【5】医療不安ゼロを目指して
- 医療用マスク・防護服生産体制の整備
医療用マスクの配布が始められたものの、今後については不透明な状態が続くと予想される。全国的なマスク不足のため市場でのマスク価格は通常の4~7倍となっているのが現状で、緊急的にはこうしたマスクで手当てすることもやむなしと考える。
一方で丹波市内には、複数の縫製工場やウレタン等の製造企業がある。国の「マスク・アルコール消毒液等生産設備導入補助事業」を活用し、これらの企業がマスクやアルコール、あるいは医療用のフェイスガード等の製造に取り組むように行政側から積極的に働きかけられたい。 - 健康センターミルネ等における万全な体制
一部の医療機関において待合などで3密状態が生まれている、病院から出るときには消毒液を使えないといった声が寄せられている。西脇市では発熱トリアージ外来を設け拠点病院を守っている。
市の所管の施設においては、現状・現場を確認し、改善に努められたい。また、行政指導として所管の施設・業種などに働きかけていただきたい。 - 感染流行地域からの転入者用一時滞在施設の確保
鳥取県では転入者に二週間の外出自粛を要請する、山形県では県境で検温するなどの動きがある。丹波市においても感染地域からの一時帰省などの動きが出てきている。こうした方のため、休業しているコテージ施設や市内宿泊施設の空室等を借り上げ、対外的な接触を自粛する際の滞在施設として準備することを検討されたい。
【6】アフターコロナへの取り組み
- 市内で利用できるクーポンの配布
豊岡市ではコロナが収束した後、市内の子どもたちや宿泊で来られる人を対象に、市内の体験施設で利用できるクーポンを配布する。国の「Go To キャンペーン事業」を利用し、丹波市でも同様の取り組み、また市内で利用できる食事券等を配布すること。 - こどもケアの充実
普段ない事態のもとで、子どもたちの学習面及び心のケアが重要である。事態が収束した後に、丹波市の豊かな自然や農林業の現場を活用して子どもたちの心身の回復を図ったり、学習支援を充実させたりするため、特別な体制を構築し、専門的に対応できるよう備えること。
オンライン教育の環境を整備してもそれを使いこなせる人材が不足してます。正規職員でもほんの数名です。カバーしきれないのが現状です。報酬が高ければよいのですが。
ありがとうございます! はい、その点は危惧しています。既存のオンライン教材もありますので、上手に活用してスキル不足を補うように期待しますり
内容はともかくとして、行政に意見を言うのは皆さんの仕事です。
提言された内容は、ニュースやネット新聞で十分に分かります。
その前に住民の声をどう集約したかです。まだまだ住民の新型コロナ対策への危機感の不足です。
十数年前に起きた研修医制度改革で起きた地方病院の医師不足の医療崩壊です。
その時小児科を守る会の方々の行動は、国や県に対して何しろ、これしろと言うのではなく、住民へのメッセージです。
お医者さんを守ろう。コンビニ受診をやめよう。この言葉が医療崩壊を救い、丹波市に素晴らしい病院が維持できているのです。
もう一度市民の皆さんがあの時の気持ちになれば、新型コロナには打ち勝てます。
その先導役に皆さんがなって頂きたいです。