令和4年8月の人事院勧告(「給与勧告の仕組みと本年勧告のポイント」参照)を受けて、国家公務員の給与等が改定されました。
均衡の原則というのでしたか、国家公務員の改定に合わせ、丹波市の職員の給与も改定するために提案されている議案です。
■議案90号 丹波市職員の給与に関する条例の一部を改正
人事院勧告から給与改定へ
人事院勧告から給与改定に至る流れは、総務省の「地方公務員の給与改定の手順」に詳しいのでご参照ください。流れ図を引用しておきます。
人事委員会については、「公平委員会というお仕事」で紹介しましたが、都道府県や指定都市、特別区等に置かれている組織で、それらの地方公共団体では、自分のところの人事委員会の勧告が参照されます。
一方で、人事委員会を置かない地方公共団体は、人事院の勧告を参照して、給与改定方針を決定することになります。
では、人事院勧告はどのような仕組みで算定されるのでしょうか。冒頭に紹介した人事院勧告資料をもとに、おさらいしておきます。
4月の国家公務員給与及び民間給与を調査
まず民間の給与の調査対象です。
規模としては50人以上の従業員を擁する企業を対象とします。これは、50人未満の規模だと役職段階が公務員より少ない場合が多く、精緻な調査ができないからです。
正社員の65.6%をカバーしているとは言いますが、まぁ、どうしても高めに出るかもしれませんね。
ただ一方で、公務員の職場の規模という意味では、50人以上規模がやはりふさわしいでしょう。たとえば丹波市の場合でも600人規模、非常勤の方も含めると1,000人規模の会社ということになります。
企業規模に応じた苦労もあるだろうと考えると、この選択はやむを得ない気はします。
これをどう比較するかというと、「ラスパイレス比較」という方法を用います。どのような方法でしょうか?
給与は、次のような要素ごとに違います。
- 役職段階:部長、課長、係長、主任、係員等
- 年齢:2歳刻み
- 勤務地域:東京23区、地域手当1級地域、2級地域等
- 学歴:大卒、短大卒、高卒、中卒
まず、これらの要素を掛け合わせた層ごとに、給与額を国家公務員の平均と民間の平均を算出します。
たとえば「大卒×東京23区勤務×24歳・25歳×係員」という層の、国家公務員給与平均と民間給与平均を調べるっていうことです。掛け合わせパターンでいえば、5,000層くらいになりますかね(現実的にはそれだけは無いとは思います)。
で、出てきた各層の平均をそれぞれ足しあげます。国家公務員給与の場合と、民間給与の場合が出てきますね。
すると、それを国家公務員の総数で割るのです。
令和4年4月調査の場合、国家公務員給与総額の方では405,049円に、民間給与総額の方では405,970円になりました。
その差は921円で、国家公務員給与の方が0.23%少なかったと。これが人事院勧告の数字です。
ボーナスは事業所別調査を参考に
一方、期末・勤勉手当については、54,900事業所という母集団から11,800事業所を対象として調査します。
調査の期間は前年8月から勧告する年の7月まで。その支給実績を調査した上で、民間の年間支給割合を求め、これに国家公務員も合わせるというやり方です。
ということで、今年の人事院勧告は、、
- 給料表は、民間給与との較差(0.23%)を埋める(若手中心)
- 期末・勤勉手当は0.1月引き上げ4.40月に
というのが主な内容です。
給与改定については「人事院勧告を職員給与に反映する」で、少し変わったケースを紹介しました。
今年は6月に、前年支払った分を差し引きますっていうことがあったのでしたね。
今回は人事院勧告の仕組みについてご紹介しました。