閑話休題。12月議会が5日から始まります。改選から2年が過ぎて、組織の編成替えです。
12月議会に先立ち、新人10人で結成していたぼくたちの会派「丹新会と維新」は解散し、新しく9名で「丹新会」を結成しました。維新の1名も一緒にするためには会派名に「維新」をつけなくてはなりませんが、今後は党派色の無い会派名にしたいということで合意し、円満に決着しました。
そしてぼくは「丹新会」の代表をおおせつかることとなりました。未熟ですがと甘えが許されるものではなく、今後は会派としての真価を問われると覚悟し、仲間とともに取り組んでいきます。
さて、12月議会に上程される議案は、同意案件が1件、議案が第118号議案(今年118番目の議案ということです)から28件です。
以下にそのご紹介と、ファーストインプレッションを記します。しかし、議論が進む中で意外な問題点が浮かび上がるケースもあり、油断できません。
同意案件は任期が満了する教育委員の再任です。良く働いていただいているリーダー的な方ですので、個人的には賛成です。
子育て世帯への支援関連議案が出ています
生活に密接に関係する議案としては、子育て関連で3議案。
議案132号は、現在午後6時から7時のみ行われているアフタースクールの延長保育を、長期休業中などの1日開所の日は、午前7時半から8時までも対応するもの。
延長料金は早朝部分で日額400円、1カ月上限4,000円とされています。この料金は現在の1時間延長のちょうど半額となっているので妥当です。
したがって議案としては、念のため財政支出規模を確認する必要はあるものの、保護者の方の負担軽減になる事業でもあり、子育て支援の観点から喜ばしい内容ではないでしょうか。
議案133号は議論が分かれるかもしれません。
現在丹波市では、アフタースクール事業に従事する人数を、1支援単位ごとに2人以上と決めています。その上で、(A)利用者が20人を超える場合は10人につき1人を追加する決まりです。また、(B)補助者は教諭資格を有していなくてはならないと決めています。これを緩和し、(a)利用者が30人を超える場合に1人を追加、(b)補助者は教員教職免許を有するもの、とします。
緩和する理由は、人材確保の困難さです。厚生労働省による「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」では、1支援単位を40人以下としていますから、30人を超えると1人を追加というのは、国の基準よりはなお厳しい基準ではあります。また、資格要件も、同じ厚生労働省の基準に添ったものです。人材不足の中、妥当な範囲の提案ではありますが、緩和であるだけに念のため、現場の声を確認する必要はあろうかと思います。
上位の法律等の変更に伴うのが議案125号で、福祉医療費助成の際、未婚の母又は未婚の父であっても、寡婦又は寡父の場合と同様に扱うというもの。ひとり親という状態は両者に違いはないわけで、妥当な変更でしょう。
もととなっているのは、厚生労働省による「児童福祉法施行令等の一部を改正する政令の公布について」 です。これは、平成28年通常国会で成立した児童扶養手当法の一部改正に対する附帯決議「一部の地方公共団体が取り組んでいる未婚のひとり親に対する保育料軽減等の寡婦控除のみなし適用について、その実態の把握に努め、必要に応じて適切な措置を講ずること」を受けて、厚生労働省が政令を改めたものです。
妥当であるだけに、福祉医療費助成だけでなく、他の手当等についても不平等がないか、確認しておいた方がいいですね。
公務員給与や共済額も議会で決まります
議案119号は、人事院勧告に基づいて国家公務員給与が改定されたことに準拠し、市の職員も平均0.2%、手当で年0.05月分引き上げるものです。
これについては公務員ばかり高くもらってという反対意見があるでしょうね。丹波市の職員のラスパイレス指数(国家公務員との比較)は96%台。全国平均は99%前後なので、民間給与が低い傾向にある地方の状況に応じて、低めに設定されてはいます。ここはむしろ民間の上昇を願いたいところですし、そのために公務員さん、議案は承認するので、しっかり地元でお買い物や飲食に使ってねと願うのがぼくの気持ちです。
議案129号は農業共済の賦課単価を決めるものです。平成31年1月1日以降、家畜共済が死亡廃用と疾病障害に分離されるため、新たに規定するものです。
共済事業は、国庫負担等の収入で賄えない分を、共済加入者である市民の方に負担いただきます。こうした市民の負担に関わる部分は議決が必要と、丹波市農業共済条例で定められています。
具体的には、家畜共済を分離したといっても事務量は変わらないため、事務費は例年に準じて約920万円と想定し、それに応じて賦課単価を定めます(たとえば水稲だと共済金額1万円あたり24円等)。本来、事務費の積算根拠や単価の妥当性が問われるところですが、あらたに検討するというより、前年度まで可決してきた判断基準がありますし、その基準に添っているかという目で見るのがいいのでしょうね。
市議会選挙でまくビラを公費負担にする議案118号は、上位法の改正に伴うもの。公職選挙法で市議会議員のビラが解禁されたのです。
市長はこれまで12,000枚まで許されていて公費負担でした。議員選挙でも4,000枚を上限として公費負担にします。税金からの支出が増えますが、選挙が資金力により不公平になることが無いようにという主旨からすれば、理解されるのではないでしょうか。念のため予想される総額と国庫補助の有無は確認ですかね。
新しい委員会等が設置されます
市議会に提案される議案は通常は一部改正等が多くなっています。そうしたなか、今回は新しい条例を提案するものが2件あります。
議案123号は「丹波市地域福祉計画推進協議会」の設置条例。「地域福祉活動促進計画」が満了することに伴い、新たな計画の策定と進捗管理をする協議会です。
この計画は、「社会福祉法」で規定された行政計画と社会福祉協議会の行動計画を一体的に策定したものでした。平成29年に社会福祉法が改正され、地域福祉計画が福祉分野の上位計画と位置付けられた上で策定も任意から努力義務化されたことで、重要性が増しました(参考「地域福祉計画(厚生労働省)」 )。
議案131号は「いじめ問題専門委員会」の設置条例です。教育委員会の附属機関として設置し、重大事態が起こった場合は、被害者側に寄り添う特別委員を置くことができるようにも予定されています。平成25年施行の「いじめ防止対策推進法」に添ったもので(参考「いじめの問題に対する施策」)、ふだんの対策のほか、重大事態への対応も行う組織です。
こうした新しい組織の設置条例に関しては、「なぜ今か」という必要性、所掌事務の適切性、委員構成の妥当性などが問われることになります。たとえば後者では、日本弁護士連合会がいじめ防止対策推進法に関する「意見書」を出したりしていますから、そうした視点も参考に検討することになります。
なお、新しい組織が立ち上がると、そこに参加いただく委員の報酬額を決めなくてはなりません。「丹波市特別職に属する非常勤の職員の報酬及び費用弁償に関する条例」がありますので、その一部を改正して、当該委員の項目を追加することになります。
議案134号として提案されており、大学教授や弁護士等の専門家は1回20,000円、それ以外は7,000円です(他の委員会等の場合と同等)。
額はいいとして、今回の提案の場合、「いじめ問題専門委員会」の方は専門家で構成される前提で「それ以外」が追加されていません。しかし重大事態の場合の「被害者に寄り添った立場の委員」の追加では保護者的な「それ以外」の方の参加もありそうなのですが、規定していなくて大丈夫でしょうかね。
過去、後になって「それ以外」を追加した事例もあるので、初めから要確認です。
市の財産の処理や高額の契約等については議会の議決が必要です
市の財産や契約に関係するものも複数あります。
議案121号はソフトウェアに関する契約を長期契約できるように条例を改めるもの。通常、市の契約は単年度契約です。条例によって2,000万円以下のリースや電気、防火設備点検などは長期契約ができるようになっています。
ソフトウェアの場合5年間は使用する前提で開発しますが、保守管理契約は5年間で結べなかったものを、可能にするものです。
その他では以下の通りです。
- 議案120号 田中自治会(氷上町賀茂)に市有グラウンドを譲渡する
- 議案122号 春日自動車教習所に関連しさらに30年間同一事業者に土地貸与する
- 議案128号 農村滞在施設「綿ばたけ」をさらに5年間遠坂自治協議会に指定管理する
- 議案130号 薬草薬樹公園をさらに5年間(株)ウェルネスサプライに指定管理する
また、来年7月にオープンする健康医療センター「ミルネ」に関連した議案も以下のように、複数あります。
このうち購入契約は、2,000万円を超えるものは市議会の議決が必要と条例に定められているため、議案として提出されます。
- 議案124号 休日応急診療所を現在の柏原からミルネに移設
- 議案126号 医療機器の購入(約9,000万円)
- 議案127号 内視鏡の購入(約3,000万円)
今回、開会当初に上程される予定の議案は以上です。加えて、補正予算も提案されていますが、これについては稿を改め「12月議会11億の補正予算」で。
丹新会では明日、これら議案について議員間で議論する予定にしています。最終的には会派で統一した結論に達したいと考えています。
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