再質問、議会での議論の活性化のカギは?

一般質問における再質問の話。
議員側が、執行部の答弁をさまざまに予測し、再質問の準備をすることは前述の通り。

ただ正直、思うのですが再質問で事例や数字を準備するのって、なんとなく落ち着かないですね。執行部はその事例や数字を初めて目にするわけで、抜き打ちしているような気がしてしまいます。

といって一般質問の通告段階で資料を膨大につけるのもはばかれますし、やはり当日の配布資料として準備するのが妥当なところでしょうかね。

ちなみに追加の配布資料については、各議員が印刷代を負担しなくてはなりません。幸い、議員側はタブレットに入れて共有する形にすることで印刷代をセーブできます。執行部にもタブレットを導入すれば、追加資料配布に気づかいしなくていいかも。
余談ですが、会派内で共有したい資料など議員活動と密接に関係する資料でも、コピー代は有料です。政務活動費(月額1万円)があるのだからそれで支払いなさいってことです。このあたり、議会事務局はしっかりしております、はい。

ところで通常、執行部が一般質問の場でできるのは「答弁」だけです。しかし「反問権」が認められていれば、議員に対して疑問点を尋ねることができます。
これがあれば、たとえば市長から議員に対して「その〇〇はどういう主旨か」などと問い返すことができるのです。

反問権があれば、一般質問におけるやりとりをより深められますね。というわけで、丹波市議会でもこれまでの議会改革の中で、「反問権」が導入されています(全国ではまだ6割くらいだとか)。

丹波市議会基本条例から関連部分を引用しておきましょう。

第11条 議員と市長、その他執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係は、緊張関係の保持に努めなければならない。

  1. 議員と市長等の質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。
  2. 議長から本会議及び委員会への出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して反問することができる。
  3. 議員は、会期中又は閉会中にかかわらず、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。この場合において、市長等に文書により回答を求めるものとする。

考えてみれば、市の業務執行を追及するタイプの質問であれば、当局側は答弁に徹することができます。一方で、提案型の一般質問が増えてくると、主旨をつかむためにも、執行部から議員に問い返すことが増えてくるものと想定されます。

これまで丹波市議会で反問権が利用された回数はそれほど多くないですが、今後は、議員にも政策立案能力、政策実現能力が求められるところでもあり、一般質問の場で市長から議員に反問するケースが増えてくるかもしれません。
むしろそうあることが、議会の活性化につながるようにも思います。

もっとも、そうすると反問で時間が過ぎてしまう可能性もあるので、質問と回答往復で60分という制限を、質問だけで20分とか30分といったように制限方法を変える必要があるかもしれません。(追記:丹波市議会では反問の間はカウントダウンが止まるとのことです。)
現在丹波市議会では、議会基本条例の目的が達成できているか見直し、必要なら改革もしていこうと、議会運営委員会で進めています。開かれた議会に向け、ぼくもいろいろ考えていきたいと思います。

さて、ぼくの質問の要旨は「一般質問の組み立て方~マーケティングとイノベーション解題」で書きました。
これに対して、再質問にあたって触れた先行事例などは次の通りです(一部紹介しきれなかったものもあります)。

シティプロモーション
千葉県流山市「母になるなら、流山市。」プロモーションは有名です。専門の人材を採用しての取り組みですね。福井県鯖江市の「ゆるい移住」もユニークな事例。満点を狙うんじゃなく、失敗してもいい気持ちでとんがっていかないといけないです。
市民参加型プロモーション
福井県鯖江市の女子高校生がプロジェクトを行う「JK課」が有名ですが、他にも奈良県生駒市「いこまち宣伝部」、千葉県酒々井(しすい)町「YOUNG EYES」、福岡市カワイイ区(Facebook、現在では休止?)などの事例があります。みんなが参加したくなるような土壌づくり、ソーシャルな目線へのセンスは必要な気がします。
企業との協働の推進
丹波市ではホームワーカーズコミュニティ株式会社、NECさん等と総務省のふるさとテレワーク推進事業を行っていますが、こうした企業との協働をどんどん取り入れていくべきと考えています。たとえば、岐阜県美濃加茂市はドローン活用についてそのトップ企業であるDJIと取り組んでいますし、埼玉県横瀬町は、Dropbox等の企業と「よこらぼ」と名付けた実証実験を行っています。長野県塩尻市は「MICHIKARA」と名付けた官民協働事業を行っています。近くでは、京丹後市のUber実験も気になりますね。
市民が主役の事業
横浜市「共創推進室」での「共創フロント」という、公募型の課題解決の取り組み。予算ゼロの公募もありと、けっこういけてます。鯖江市も「提案型市民主役事業」をやっていますね。実は丹波市でも事業ごとの評価シートを作っていますし、外部委託も進んでいます。「市民活動課」を「市民主役課」にでも改名して個別事業の民間公募を一元的に管理、協働の窓口を分かりやすくするだけでも一歩前進ですが、どうでしょうね。
スーパー公務員
地域に飛び出す公務員ネットワーク」に参加して全国の職員さんと情報交換するような、前向きな方がどんどん出てきてほしいと願っています。塩尻市、鯖江市、海士町など、そうしたいきいきした公務員さんがいらっしゃいます。丹波市でも、まずは若手公務員さんの間で自主的勉強会が生まれるような動きを期待しています。

先日「TAMBA地域づくり大学」に参加して福井県鯖江市を視察に行きました。職員さん、外部の協力者みな、市長に親しみを感じている様子が伝わり、感銘を受けました。「何もやらないと叱られる」「反対されるほどやる」「とにかく挑戦しないといけない」という言葉が何度も出てきて、挑戦する文化が市役所内、そしてそこに協力する市民に根付いているんだなと印象的でした。鯖江はずっと人口が増えているまちです。

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